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📷 シーン1:決壊する静寂
星峰特区の朝、空は鉛色に曇り、空気は張りつめていた。遠くの山に雷光が走り、不穏な風が吹く。
ナヴィスはカムリン族の集落の外れでギアとともに準備を進めていた。
ギアは腰まである機械式のマントを翻し、ヘッドセットを指で押さえる。
「こっちは準備完了。碧いとびら、四基を同時展開する。制限時間は……最大で5分」
「5分か……」
ナヴィスは髪をひとつ結びにして、青い瞳を鋭く光らせた。
背中には軽量化された防弾カメラ装置、右手には銃型の保護フラクタルを装着している。
「それだけあれば……“未来”を通すには十分だ」
📷 シーン2:火種
その時だった。村の中央から狼煙が上がった。
ジャムツァが、黒と金のローブをなびかせながら高台に立ち、腕を広げる。
長い黒髪が風に揺れ、額の碧族紋様が太陽を受けて輝いていた。
「カムリンの血を持つ者よ!聞け!
赫共産部隊は、おまえたちを兵器として消耗し、灰に変えている!
だが今日、我らは“碧き者”として生きるために、立ち上がる!」
集まった村人たちの碧素が一斉に反応し、光が走る。
それは反乱の合図だった。
📷 シーン3:赫軍の襲撃とゼインの登場
ドォォン!
山道の奥から装甲車が現れ、赫軍兵団の部隊が突入してきた。
赤い制服の兵士たちが無数の銃を構える。
「反逆者は即座に排除せよッ!」
「ゼイン、突入可能。現在、接近中」
すずかAIの声がナヴィスの端末に入る。
次の瞬間、爆煙の中から黒い影が跳び出す。
銀の髪、鋭い双眸。黒いフラクタルジャケットを纏い、碧素のオーラが滾っている。
「……遅れて悪い」
ゼインが一言呟くと、拳を構えた。
「《グラヴィティ・クラッシュ》!」
大地が沈み、赫軍の装甲車ごと地面が崩落する。
📷 シーン4:脱出の門
その隙に、ギアが次々と「碧いとびら」を展開していく。
手にした機械端末から碧素が放射され、半透明の楕円状ゲートが4つ、空間に展開された。
「次!次!走れ!こっちだ!」
村の碧族たちが、家族を抱えながら続々とゲートに飛び込んでいく。
「こ、こんな……日本に、本当に行けるのか?」
「保証はしねぇ。でも、ここよりマシだろ?」
ギアがニヒルに笑う。
そのとき、碧いとびらの一つが赤く点滅を始めた。
「まずい、エネルギー限界だ……!」
📷 シーン5:崩れる均衡
赫軍の新兵が現れた。
巨大なバイザーと赫の腕章を持つ碧族化兵士が、村を焼き払おうと立ちはだかる。
「貴様ら、逃がすものかァッ!」
ゼインが即座に迎撃。
「《オーバーライド》!」
敵のフラクタルが一瞬バグを起こし、ゼインが一閃する。
「《エターナル・ギフト》、展開」
ゼインの動きがさらに研ぎ澄まされ、赫軍兵士を次々に沈めていく。
ナヴィスがカメラを構えながら、すずかAIに囁く。
「今の全部、送信してくれ。あの人たちの未来が……そこにあるんだ」
「映像記録、送信完了。日本碧族情報機関、受信確認」
📷 シーン6:終わらぬ闘い
ジャムツァが最後に一人の少年の背を押す。
「お前たちが、新しい世界を作るのだ。我らは……守る者として残る」
「……ありがとう、ジャムツァ」
ナヴィスの声が風に溶けた瞬間——
碧いとびらが最後の光を放ち、音もなく消えた。
ゼインは血まみれの拳を振り下ろしながら、低くつぶやく。
「これが……始まりにすぎねぇってこと、分かってるよな」
ナヴィスは頷く。
「だからこそ、逃がしたんだ。希望を」