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会場の扉が閉まり、照明が全て落とされたところで、新郎新婦の入場曲が、エレクトリックピアノの音色で流れ始めた。
♪Eternity Ring Compose@2011♪
「ご列席の皆様、本日は、新郎、葉山怜さん、新婦、音羽奏さんの結婚披露宴にお越し頂き、誠にありがとうございます」
ソプラノサックスの柔らかな響きと重なり合うように、司会者が開式の挨拶を始める。
「──新郎新婦の準備が整いました。それでは皆様、後方の入り口にご注目下さい。新郎新婦のご入場です」
アルトサックスのメロディが奏でられると、扉が開き、奏と怜が二人揃って入場してきた。
場内の列席者に深々と礼をすると、ゆっくりと歩みを進めながら各テーブルを周り、一礼していく。
終盤のサビの部分では、奏と怜が新郎の親族席に辿り着き、お辞儀をすると、圭は唇を僅かに緩め、拍手を送った。
彼が、新婦の友人の席を見やると、美花が花婿と花嫁に温かな眼差しを向けながら、惜しみない拍手をしている。
後奏部分で、奏と怜がメインテーブルに着き、曲が静かに終わると、二人揃って黙礼の後、椅子に腰を下ろした。
会場内が明転し、温かな明かりに包み込まれる。
「只今の入場曲をご紹介させて頂きます。新婦のご友人、浦野美花様が、今日の二人のために書き下ろした楽曲、『Eternity Ring』です。浦野様、ご起立頂けますでしょうか?」
司会者から紹介を受けた美花が、照れながら立ち上がり、メインテーブルに着席している奏と怜に微笑んでいる。
「皆様、浦野様に今一度、大きな拍手をお願いいたします」
彼女は照れ笑いを浮かべつつ、会釈をした後、着席した。
(もしかして……彼女、嬉しい事があって楽曲を作り始めた、と前に言っていたのは…………この曲の事……だったのか…………?)
美花に拍手を送りながら、圭は、以前彼女がHanaとして、ハヤマ ミュージカルインストゥルメンツに来社した時に話していた事を思い出す。
披露宴は、司会者が二人のプロフィールを述べた後、出会いのきっかけを紹介している。
「怜さんと奏さんの出会いは、ちょうど一年前、この会場にて執り行われた、新郎の高校時代の友人、本橋豪様と、新婦の小中学校時代の友人、本橋奈美様の挙式と披露宴でした」
司会者の紹介で、新郎の友人のテーブルが微かにざわめき、紹介された夫婦が顔を見合わせている。
(そういえば、あの彼、何度か家に遊びに来てたな。怜と奏さんが知り合ったのは…………彼らの結婚式がきっかけだったか……)
圭は、司会者の紹介に耳を傾けている美花へ、徐に視線を辿らせていた。