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「それで?」
豪が、鋭い眼差しで奈美を見やる。
小さな唇が、うっすら開いたかと思うと、何かを言いかけ、戸惑う様子を見せながら閉じる。
何度かその仕草を繰り返した後、彼女は唇を引き結んだ。
「身バレしたから、クンニだけの関係を終わりにしようって事か」
敢えて冷淡に言い捨てる豪だが、苛立ちが次第に湧き上がってくるのを抑えようとした。
「身バレしたから、もう会うのをやめようって事か」
奈美の瞳をしっかりと見つめながら、豪は尚も彼女を煽っていく。
「俺が……今までどんな想いを抱えながら、君と一緒にいたのか…………わかんねぇか……?」
彼女の肩に指が食い込むほど、力が込められた。
豪と眼差しを交わしたまま揺らいでいる、奈美の澄んだ瞳。
気付くと荒い言葉を言い放ち、豪を纏う『理性』という名の衣が、簡単に剥ぎ取られようとしていた。
「口淫だけの関係が切れても……」
黒い瞳は艶を増し、雫に覆われ潤ませながら、豪を捉えている。
「俺は、ただ君と一緒にいたい。それだけだっ……!」
怒りを抑えるような声音で、彼は本音をぶつける。
奈美の肩を壁に押さえつけたまま、壁に突いた手を小さな顎に添えると、親指で上を向かせながら奈美の艶やかな唇を奪った。
「……っ…………んんっ」
微かに開いた彼女の口腔内に舌を割り入れ、絡ませながら歯列をなぞる。
部屋に漂い続ける、ネットリとした水音。
奈美の舌は、ぎこちなく蠢き、豪の舌に触れてきた。
焦燥感に煽られながら、彼は食い荒らすように奈美の唇を貪り続ける。
上唇をそっと食んだ後、唇を離し、彼女に眼差しを送った。
「奈美……」
吐息混じりの声色で、彼女の名前を呼び捨てた。
角度を変えながら、奈美の唇を塞ぐ。
括れを抱き寄せて撫で回し、後頭部に手を添えると、豪と彼女の唾液が絡み合い、舌同士が抱き合う事で、水音が更に際立っていく。
長く深く交わし合うキス。
豪は構わず、彼女の口腔内を愛撫し続けた。