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ぎこちない手つきで、侑の身に纏っているものを、一つずつ、ゆっくりと脱がしていく瑠衣。
その様子を見ながら、彼女は今まで好きな男と身体を交える事は皆無だったのだろうか、と疑問に思う。
もしかしたら、恋愛経験も全くないような状態で借金取りに娼館へ売り飛ばされ、娼婦として自分を始め、多くの男と身体の関係を持つ事になってしまったのではないか、と侑は彼女の所作を見ながら感じていた。
(娼婦だった瑠衣を初めて抱いた時……無茶苦茶な抱き方をした俺が、こんな事を思うのは筋違いかもしれないが……俺がこれから先、瑠衣を…………大切に抱きたい……)
震える細い指先を見つつ、侑は愛おしさを滲ませながら瑠衣に眼差しを向けた。
時間を掛けて侑のパジャマと下着を全て脱がせた瑠衣は、羞恥心に覆われているのか、顔を俯かせている。
侑は、改めて瑠衣へ視線を這わせる。
全てを剥がされた瑠衣の身体、華奢な体型にしては大きめな胸の膨らみに、彼は息を呑んだ。
(瑠衣の全てが美しくて愛おしい…………こんな感情を抱くのは、人生で初めてだな……)
堪らず侑は瑠衣を抱き寄せ、白磁の肢体を掻き抱いた。
「瑠衣」
「はい」
「…………瑠衣を抱いていいか?」
侑は彼女の耳元に吐息混じりで問い掛けると、くすぐったいのか肩を硬直させ、濃茶の瞳が微かに丸くなる。
いつも彼女を抱く時、わざわざ許可なんて取らなかったが、想いが通い合ったからこそ、彼女に確認しないとならない、と彼は考えていた。
今までの情交とは違う。
互いに好きだという気持ちのセックス。
瑠衣は何かを言おうと唇を薄ら開いたかと思うと躊躇うように閉じ、この仕草を数度繰り返す。
やがて震わせながら大きくため息を吐くと、瑠衣は一重の鋭い眼差し捉えながら、消え入りそうな声音で呟いた。
「せん……せ……い…………私を…………抱いて……」
繊細な宝飾品に触れるかのように、侑は瑠衣の表情に浮かんでいる小さな花弁に唇をそっと重ねた。