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侑が触れるだけのキスを幾度か繰り返した後、瑠衣の上唇、下唇を甘く食む。
「瑠衣……」
小さな顎に手を掛け上を向かせると彼は気持ちが昂り、彼女の唇を奪う。
「んんんっ……」
重なり合った唇から、艶めいた吐息が零れ落ち、ベッドのシーツへ染みていくと、顎に添えてあった無骨な手がベージュブラウンの後頭部へと滑らせた。
瑠衣の口腔内に侑の舌が侵入し、彼女の舌を捉えて絡ませると、森閑とした寝室に濡れた音が響き始めた。
歯列をなぞり、舌同士が抱き合うように纏わせながら侑の舌が妖しく蠢き、瑠衣の肢体が次第に力を失っていく。
気が遠くなってしまうほどの長いキスだけで、瑠衣は身体が溶けてしまうのではないか、と思ってしまう。
瑠衣の上唇をそっと食み、ゆっくりと唇を離すと、男の色香を溢れさせた侑の表情があった。
(こんな先生…………初めて見た……かも……)
彼女の鼓動が大きく弾み、胸の奥が締め付けられるほどの甘い痛みが瑠衣を襲った。
「瑠衣、もう一度聞く。お前を抱いて…………いいんだな?」
瑠衣はおずおずと、だけどしっかりと頷き、侑を見上げる。
「瑠衣…………」
再び唇が塞がれ、彼女は彼の均整の取れた身体に腕を絡ませて口付けを受け、彼もまた、瑠衣の細い身体を抱きしめる。
今まで、侑からこんなに『瑠衣』と呼ばれた事がなかったせいか、顔中が熱っていくのを瑠衣は感じている。
好きな男の人に、呼び捨てで下の名前を呼ばれる事が、こんなにも嬉しくて幸せを感じるなんて、瑠衣は人生で初めて知った事だ。
それも、ずっと想いを寄せてきた人に呼ばれている。
侑が発する『瑠衣』と呼ぶ声が、美しい旋律のように感じるのは気のせいだろうか?
節くれだった手が色白の背中と腰に当てられ、キスを交わしながら彼女の肢体を支えてベッドへ横たわせていく。
彼の唇が徐々に瑠衣の首筋へと這っていき、ひとしきり彷徨い続けると、瑠衣の唇から艶かしい吐息が滴り落ちた。