テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
今日も巨大な下水道らしき空間にて、順平と真人と私が集まっていた。
「好きの反対は無関心なんて初めに言った人はちゃんと地獄に落ちたのでしょうか。」
「確かマザー・テレサの言葉でしたっけ?」
「悪意を持って人と関わることが関わらないより正しいなんて有り得ない。好きの反対は嫌いです。日本人って好きですよね、単純な答えを複雑にして税に浸るのが。」
「みんな言葉遊びが好きなのさ。人間は言い訳をしないと生きていけないからね。」
そう言いながら歩く真人についていくと、3m以上ある異形が見えた。
「これは?」
「1人の人間をどこまで大きくできるかの実験。」
真人は中指ぐらいの長さの物を私と順平に渡す。
「逆にそっちはどこまで小さくできるか試してみた。」
「もう少し形変えれば、お菓子みたいできそう。」
「これが人間…?」
「順平は死体に慣れてるの?」
「…どうでしょう。それが僕の母だったら取り乱し、真人さんを憎んでいたかもしれません。でも僕は人間の醜悪さを知っています。他人に何も期待しないし、他人の死に何も思うことはありません。無関心こそ人間の行き着くべき美徳です。」
「そんな君が‘復讐‘ね。」
「矛盾してるって言いたいんですか?」
「順平と琥珀は人に心があると思う?」
「心と言うべき部分は脳だと思いますね。」
「…ないんですか?」
「ないよ。魂はある、でもそれは心じゃない。」
「じゃあっ僕のこの…!」
「俺はこの世界で唯一魂の構造を理解している。それは触れることで魂の形を変えられるからね。」
「喜怒哀楽は全て魂の代謝によるものだ。心と呼ぶにはあまりにも機械的だよ。人は目に見えないものを特別に考えすぎる。見える俺にとって魂は肉体と同じで何も特別じゃない。ただそこに在るだけさ。」
「分かる?命に価値や重さなんてないのだよ。天地にとっての水のように、命もただ廻るだけさ。それは俺も君も同じ、だからこそ何をしても良い。」
「どう生きようと自由なんだ。無関心という理想にとらわれてはいけないよ。生き様に一貫性なんて必要ない。お腹が減ったら食べるように、憎いなら殺せばいい。俺は順平の全てを肯定するよ。」
真人の講釈に私は眠くなって半分ぐらいは聞いていなかった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!