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白湯
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#しょしんしゃ🔰
李冬🍒♬@フォロバ💯
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互いの家までの道のりを、私と碧斗は他愛のない話をしながら歩いた。
別れ道に差し掛かり、私は足を止める。
「じゃあ、私、こっちだから行くね」
「家まで送るよ」
「大丈夫だよ。ここから遠くないし」
「いいから」
碧斗はぶっきらぼうに言いながら、私の家の方へと歩き出した。私が後を着いてこないことに気づき、立ち止まって振り返る。
「詩乃、行くぞ」
「う、うん……」
たいした距離ではないけれど、わざわざ私を家まで送り届ければ、ほんの少しだけではあるが、碧斗にとって遠回りになってしまう。それは申し訳ないと思ったから断ったのだが、碧斗の申し出をそれ以上は強く断ることもできず、私は彼の背中を追いかけた。
しばらく行ったところで、柚乃の声が聞こえてきた。
「詩乃!碧斗!」
柚乃は軽く息を弾ませながら駆けて来た。姉もまた大学から帰ってきたところなのか、リュックを背負っていた。やけににこにこしながら、私と碧斗を交互に見る。
「二人で一緒に帰って来たの?」
「途中で偶然会ったの。ね、碧斗」
「あぁ」
相槌だけで終わらせず、碧斗は話を続ける。
「詩乃が男と歩いているのを見かけてさ。まさか、変な男にでも付きまとわれてるんじゃないかって心配になって、声をかけたんだ。でも、その人と詩乃って、実は面識があったんだよな。それでその人と別れた後、一緒に帰ってきたんだ」
「なぁんだ」
碧斗の話を聞き終えた柚乃は、つまらなさそうな顔をした。
姉にとって興味のない話だったのかもしれないが、「なぁんだ」と言った時のニュアンスが引っかかった。
その理由を知りたくて口を開きかけた私を、姉は悪戯っぽく笑って交わす。
「帰ろっか」
「う、うん」
すっきりしない気分で頷いた後、私は二人の数歩前に出て歩き出した。そうすれば、碧斗が柚乃と並んで歩くことができると考えたからだった。
けれど、私の密かな企みを知らない柚乃は、碧斗ではなく私の隣に並んだ。
おかげで私の計画は失敗に終わった。そのことを残念に思いながら歩を進めていた私に、姉がふと思い出したように訊ねる。
「ところでさ。詩乃が一緒にいた人って誰なの?私も知ってる人?」
初めて会ったあの日、柚乃は戸崎に悪印象を持った。それを思うと姉の反応が気にはなったが、私は素直に答える。
「この前、私とぶつかった人のこと、覚えてる?あの人のアパートって、うちの近所だったでしょ?帰る方向が同じだから、途中まで一緒に帰ってきたんだ」
話を聞き終えて、柚乃はふっと黙り込んだ。記憶を辿るかのように少しの間遠い目をしていたが、不快そうに顔を歪めてぼそりとつぶやく。
「あの人か。詩乃にぶつかって怪我させたヤツ」
あの日から何日も経っているが、戸崎に対する印象はやっぱり相変わらずのようだった。柚乃は不愉快そうに顔を歪めたきり、彼のことに触れることはなかった。
適当に誤魔化せば良かったかしらと小さな後悔をしているうちに、家の前に到着した。私は碧斗に向き直って礼を言う。
「送ってくれてありがとう」
「またね」と続けようとして、その言葉を飲み込んだ。碧斗は今、家に一人でいるはずだ。わざわざ送ってきてくれたことでもあるし、彼の恋路の応援のためにも、このまま彼を夕食に誘ったらどうかと思いついた。
以心伝心か、私が口を開くよりも先に柚乃が言った。
「ねぇ、碧斗。おばさんって、まだこっちに戻ってきていないんだよね?ウチで晩ご飯食べて行かない?」
「誘ってくれてありがと。だけど、何日か前にもご馳走になったばっかりだし、今日はいいよ。適当に済ませる」
遠慮する碧斗を、柚乃は重ねて誘う。
「そんなこと言わないで、みんなで一緒に夕ご飯食べようよ。うちの家族はいつでも碧斗のこと大歓迎なんだし」
私も柚乃に続く。
「そうだよ、碧斗。遠慮しないで。みんなで食べた方が楽しいし、美味しいよ。それにね。今朝、お母さんが言ってたの。今夜は生姜焼きよ、って」
「そう言えば、そうだったね。碧斗、生姜焼き、好きでしょ?」
「生姜焼き……」
気持ちの揺れを表すかのように、碧斗はその言葉を繰り返した。生姜焼きは碧斗の好物なのだ。
柚乃はにやりと笑い、碧斗の食欲を刺激するかのように、しみじみとした口調で言う。
「うちのお母さんの生姜焼き、美味しいよねぇ」
碧斗は観念したように笑う。
「そんなふうに言われたら、行くしかなくなるじゃん。遠慮せず、お邪魔します」
「よし、決まり!行こう!」
柚乃は明るく言って私たちの先頭に立ち、いそいそとした足取りで門を抜けた。