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拓人は、教育熱心な両親に育てられた。
中学受験を経験し、名門、慶城大学附属中学校に合格、そのまま付属の高等学校に進み、大学も慶城大学の経営学部へ進学する。
だが、親の言いなりになっていた自分に嫌気が差し、彼は大学入学と同時に、新宿・歌舞伎町のホストクラブでアルバイトを始めた。
イケメンで、冷たさと艶っぽさが織りなす雰囲気に、彼を指名してくる女性客は後を絶たない。
そのうちの一人と、初めて身体の関係を結び、金も多く積んでくれた。
以降、拓人は、女性客から抱いて欲しい、と言われたら、遠慮なくホテルに連れ込み、行為が終わると、客は彼に大金をポンと手渡す。
(身体の関係を持っただけで、金が転がり込んでくるなんてな……。ヤバいじゃん)
拓人の両親が望む真っ当な道を進まず、敢えて正反対に向かう事は、彼の『物言わぬ反抗』である。
明け方、ホストクラブのアルバイトから帰宅すると、両親と顔を合わせるたびに、執拗に文句を言われ続けてきた。
『俺、もうガキじゃねぇし。いちいちうるせぇんだよ!』
親と一緒に暮らす事にもウンザリしていた彼は、数ヶ月後、アルバイトで稼いだ金で、渋谷で一人暮らしを始めた。
ホストクラブのアルバイトは、大学在学中、ずっと続けていたが、大学の学費は親の金で通わせてもらっているのもあり、授業だけは出席していた。
店でナンバーワンに何度も輝いた事のある拓人は、女性客から大金を貢がれ続けてきた事もあり、就職活動も一切せず、今さら会社の歯車の一部になる事など、頭にはない。
だが、いずれ一般企業に就職する事もあるかもしれない、と考えた彼は、学歴はあった方がいいと、悪酔いしようが、女性客と朝までホテルで過ごそうが、大学には通い続けた。
当時は、睡眠時間が二〜三時間、下手すると一睡もしない時もあったが、若かったからできた事だろう。
大学卒業に近付いてきた頃、ホスト仲間の男から、歌舞伎町に女性専用風俗店がオープンする話を耳にした拓人。
(女を気持ち良くして金を稼げるんだったら、ホストやってるよりも割りがいいんじゃないか? サイコーじゃん)
彼は、大学卒業の一ヶ月前に、躊躇する事なくホストクラブを辞め、女性専用風俗店の男娼に身を転じた。
大学を卒業した拓人は、男娼になってからも、多くの女性客から指名されるようになっていく。
中には、ホストクラブで彼を指名していた女たちが来店する事もあった。
ホストクラブで培った経験を、彼は男娼となっても遺憾なく発揮させる。
女を悦ばせる事に長けている拓人だが、彼を指名する女性客のうちの一人が、思わぬトラブルを引き寄せてしまった。