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「わぁ〜…!!いっぱいある…」
「どれにしよっかな〜!!」
キラキラとした目で琥珀糖を選ぶ畑葉さん。
見てるこっちも楽しげな気分になる。
「古佐くんはどれにしたの?」
「これ」
僕が選んだのは青系統の琥珀糖。
ダイヤモンドの形みたいで綺麗だったから。
「そっちもいいなぁ…」
「でも私はこれにする!!」
そう言って見せてきたのはピンク系統の琥珀糖。
しかも形は桜の花だった。
またここでも畑葉さんらしさが出てしまう。
というかここの駄菓子屋、
よく見たら琥珀糖の種類が沢山ある。
また、見に来るのも有りだな〜…
そう思いながら畑葉さんとレジへ向かい、
自分が選んだ琥珀糖を購入する。
「勿体なくて食べれない…」
畑葉さんはそんなことを言いながら先程買った桜の花の形をした琥珀糖を見つめる。
そんな中、僕は僕で琥珀糖を楽しんでいた。
「琥珀糖ってどんな味なんだろう…」
「どんな食感なんだろう…」
先程からずっとこんな感じだ。
気になるなら食べればいいのに。
そう思いながら僕は見ていた。
それが何だか僕には居てもたっても居られなくて畑葉さんの口に僕が買った青い琥珀糖を押し込む。
前に畑葉さんが僕にした際のやり返しのように。
「どう?」
しばらくしてからそう聞けば、
「美味しい…!!カリカリでシャクシャクしてて!!」
そう喜ぶ。
案外、琥珀糖って固くない。
思ったよりゼリー感があって予想と違った。
食べながらそんなことを考える僕。
もう時間は夕方。
もう少ししたら夜がやってきてしまう。
そんな時間。
「あ!!古佐くん!!ごめん!!」
急に声を上げ何かと思う。
「夕飯前に琥珀糖食べちゃった…」
「古佐くん、夕飯食べれなくなっちゃう…」
申し訳なさそうに畑葉さんはそんなことを言う。
が、何だか馬鹿にされている気がしてきた。
そういうつもりで言ったのでは無いということは分かるが…
僕は3つくらいしか食べてないし。
それに高校生の胃を舐めてると思う。
まぁ、畑葉さんには勝てっこないが。
「それくらい大丈夫だよ」
そう言うと『本当?』なんて疑ってくる。
「うん」
「じゃあ安心!」
そう言って畑葉さんは琥珀糖をちびちびと食べる。
やっと自分の琥珀糖を1口食べた…
「古佐くん〜!!すごいの作ったんだ〜!!」
「見て〜!!」
昨日は土曜日。
そして今日は日曜日。
今日が大事な休みの日。
なのにも関わらず、
畑葉さんは6時半に僕の家の前でそんな声を上げていた。
「休日くらい休ませてよ…」
そう言いながら眠い目を擦り、
玄関の扉を開ける。
相変わらず可愛い冬コーデの畑葉さん。
「私すごいの作ったの!!」
しかも話も聞いてない。
「何…」
「今日こそは休みたいんだけど──」
そう僕が言い終える前に畑葉さんは僕の家の中へ侵入し、僕の部屋に行く。
「お邪魔しま〜す!!」
と言いながら。
ちゃっかり靴を綺麗に揃えてるのがとても腹立つ。
「古佐くんって冬グッズ持って無いんだね〜!!」
2回の僕の部屋にいる畑葉さんが未だに玄関で突っ立っている僕にそう言う。
冬グッズって何…?
マフラーとかってこと?
確かに僕は手袋もマフラーも持ってない。
でもあんまり必要ない気がして買ってない。
「と・り・あ・え・ず!!これに着替えてきて!!」
階段を1段ずつ降りると同時にそんなことを声に出しながら僕の居る玄関へ戻ってくる。
しかも僕に僕の服を押し付けながら。
こんな服、どこから持ってきたんだろうか…
「準備も出来たことだし、しゅっぱーつ!!」
半ば強引に僕は畑葉さんに外へと連れられる。
あぁ、寒い。
手が耳が何もかもが凍えそうだった。
「隙あり〜!!」
そう言って畑葉さんは氷のように冷たい自身の手を僕の首へと当ててくる。
「ちょっ!冷たっ…!!」
そんな僕を見ながら畑葉さんは
「油断する古佐くんが悪いもんね〜!!」
と言いながら笑うばかり。
この意地悪小悪魔め…
密かに心の中でそんな言葉を零す。
「見て!!どう?!」
そう言って案内された場所はもちろんいつもの場所。
大きな桜の木が生えた丘だった。
そんな丘にあったのは大きなかまくら。
どうやって作ったのか気になるほど大きい。
「そして…ででーん!!」
畑葉さんはまたもやそう言いながら僕の目と鼻先に何かを見せてくる。
相変わらず近すぎて見えない。
そう思い、僕は一歩下がってそれを見る。
と、その正体は餅だった。
「お餅?焼くやつ無いけど…」
「それも予想して見て!!これ!」
そう言って畑葉さんが見せてきたのはバーベキューで使う用の網…
だけ。
「近所のおじちゃんが貸してくれたんだ!」
えっへんと誇らしげに言うが、
それ1つじゃ何も出来ない。
多分、近所のおじちゃんは雪遊び用に使わなくなった網をくれたっぽいけど…
そう思いながら僕は畑葉さんに何を言おうか迷っていた。
「とりあえず入って!こっちこっち!!」
そう言いながら僕をかまくらの中に手招く。
なんか、もうどうでもいいや…
そう思いながら僕は言われるがままにかまくらの中に入る。
案外広々としている。
「これをこうして…」
「出来た!!」
隣で畑葉さんが作っていたのは簡易的な餅焼き機。
柱や土台部分は雪で出来ていて、
焼き網は先程話していたあの網。
して、火はマッチを持っていた。
準備がいいんだか悪いんだか…
そう思っている間にも畑葉さんは既にお餅を焼き始めていた。
「ね、火使ってるとこ悪いけどさ…」
「ん?なに?」
「火のせいでかまくら溶けちゃわない?」
当たり前のことだが、
これは予想範囲内だろうか。
そう思っていると畑葉さんはぽかんとした顔を向けるのみだった。
予想外…ね……
「じゃあ古佐くん、お餅見てて!!」
そう言って菜箸を渡される。
畑葉さんはかまくらから出て、
何やら雪を集めていた。
というかここら辺、
あまり人が通らない道でよかった。
通行人とか居たら明らかに変な連中だと思われてしまいそうだったから。