あてんしょん 🦁
今回のお話は3話同じ話で、3話ごとに書く内容もカプも違ってくるので、毎回あてんしょんにカプ名を表記するので、よく見て苦手な人は逃げてください!!言いましたよ!!
と、言っても全部玲王受けなんで「玲王受けばっちこい!!!むしろ大好き!!」って方は楽しんでいってください!
○玲王総受け
○玲王愛され
○玲王受け以外のカプなし
○サッカーしてません
○ 口調迷子
○ネタバレ、捏造、キャラ崩壊注意
○配信者パロ
○玲王視点
それでもばっちこい!って方はどうぞ↓↓↓
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俺たちは次回のコラボを乙女ゲーム制作にしようと盛り上がっていた。それが前回のあらすじだ。
だが今は何故か知らないが絵心に、俺と凪、蜂楽が正座させられて怒られている。本当になぜだ?
そんな疑問を解決してくれそうなアンリさんは、俺が目を合わせようとするとさっと目を逸らされる。なのでメンバーで面倒見のいい國神を見つめるも目を逸らされる。だったらと思い千切を見つめると、耐えられなくなったのか口からブハッと唾を吹き出し爆笑。千切が吹き出したことで馬狼がキレて、 絵心に叱られて一緒に正座することになった。
「お前ら……こうやって叱られている訳に心当たりはあるか?」
絵心がギョロっとした目で俺たち4人を見つめてくる。その絵心の問に真っ先に答えたのは俺の隣でだらーっと正座させられていた凪だった。
「えー……もしかしてだけど、今月のノルマ配信1回だからって1回しかしかしなかったから?」
「あ!もしかしてだけど、俺がダンス配信の時にスタジオのカメラ壊しちゃったから?」
「俺は悪くねぇ!!!!」
凪、蜂楽、馬狼の順番で自分のやらかしてしまったことを自覚して3人は絵心に開放される。だが凪はアンリさんにノルマ追加、蜂楽のは弁償代を払うようにと言われていた。
「御影 玲王。お前本当に自分が何やったかわからないのか?」
「わかりません…俺、このメンバーの中ではかなり常識人だと思うんですけど、本当に何かやらかしましたか?」
俺の答えにまたもや千切が爆笑、スパンっと國神に頭を叩かれて痛めた部分を痛そうに撫でる。そして千切に釣られた烏もブフッと吹き出し、氷織に「黙れや」と一喝されて顔を真っ青にする。
「はぁ……いいか?お前金持ち坊ちゃんってこと隠してるんだろ?」
「? はい。そうですけど…?」
「ならなんで《アリーナ貸し切って演奏会してみた!!》なんて投稿してんだ??」
「あっ……そ、それは…その日は気分が良くて…」
「これだけじゃない。先週は《5000万円の超ド派手な服を着ていたらメンバーはどんな反応をするのかドッキリ!!》だと?ふざけてんのか?」
「……、すみません…」
絵心のガチ怒りに対して謝ることしかできない俺は丁寧に土下座をする。御影コーポレーションの御曹司が絵心(一般人)に土下座する姿はよく絵になったのか知らないが、千切が耐えきれずに膝から崩れ落ちて爆笑する。止めてくれるはずの國神は自身の口を抑えるのに精一杯らしい。
「まぁまぁ絵心さん、御影くんも反省しているようですし…」
「はぁ…アンリちゃんなんかコイツに甘くない?…。もしかしてだけど、その手に持ってるプリンが関係してる?」
「あっ…!こ、これは…」
俺のガチ謝罪に申し訳なくなったのか、アンリさんが絵心を止めてくれた。が、何故か絵心にプリンのことを言われると、アンリさんは高級プリンをこそっと後ろに隠す。俺はその瞬間、「ナイス千切!ファインプレー!」と、プリンを渡してくれたであろう千切に感謝の視線を送る。千切は頬を限界まで膨らませて笑いを耐えているが、所々空気が漏れてブフッと吹き出していた。
「はぁ…まぁいいよ。今後は気をつけるように」
「はい…」
「あと乙女ゲームは全員のルートはさすがに却下」
「なんでですか!!」
やっと説教が終わって開放されたと思ったのに、絵心の一言で俺は落胆する。そして驚きの声を上げると絵心は はぁ…とため息を吐いて俺に向かって言う。
「いいか?まず乙女ゲーム作っても遊ぶやつがいねぇ。これは売れる売れないの問題じゃなくて、主人公が決められないからだ」
「だから主人公の候補をさっき搾ってたところで…!!」
「いいかお坊ちゃん。世の中には”地雷カプ”というものがあるんだ。」
「……??地雷かぷ?ってなんですかそれ」
突然の絵心の専門用語に俺の頭は ? で埋め尽くされていた。地雷カプ?地雷のカップ?そこまで言うならそのまま言えよ!と略語について考えていた時、大人しく見ていたうちのひとりが口を開く。
「簡単に言うと、見てる側が生理的に受け付けないカップリング…恋愛描写のことを言うんだ。」
突然、というかいきなり会話に入り込んできた潔の答えに「なるほどー」と、納得した。確かに烏×氷織のカプが苦手な人とかいそうだもんな…なんて、考えるとなんだか申し訳なくなってきた。
「確かに…潔の言ってくれた通り、生理的に無理ならダメですよね…わかりました。乙女ゲームは諦めます。」
俺の一言に7人、いや8人の「ホッ…」という安堵の声が聞こえた気がしたが、聞こえなかった振りをしておく。
「分かったならいい。代わりに次回の企画の候補を持ってきた。」
絵心がバサッと資料を机に投げ捨てると、一斉にみんなが集まってきて、各自で机に置かれた資料を読む。
「ISAGIと蜂とRINの電撃ラジオ!…え?しかも恋愛相談?いやいやいや…!」
「こっちはREO先生のなんでもお勉強教室!…はぁ?」
「お嬢のドキドキぶっちゃけ悩みぶちまけ相談室!…え?ん??マジ?」
「ガマとバローのムキムキ筋肉教室!ゲストはおふたりの気になる相手!?ってうわ… 」
「ひおりんとカラスとナギの仲良しゲーム実況バトル!〜方言を添えて〜……、流石に冗談やろ…?」
「家事相談は任せて!!~ガマとバローとISAGIの家事の秘訣〜……おいこれふざけてんのか?」
「カラスとナギとRINのお悩み解決相談室!!ゲスト付き!……絶望すぎて言葉もでぇへん」
各々読み進めていた資料の内容に絶望するしかなかった。だが、あるひとつの資料を見た時、今までろくに喋らなかった凛が突然声を上げた。
「は??なんだこれ」
そういって凛が呟いた瞬間、凛がそこまで言うものはなんなのか、という好奇心が全員の脳内を埋めつくした。
「どーれ!!見せてみろ!」
そういって奪い取ったのはこの中で1番漢気のある千切だった。だが、資料を受けとった数秒後、ピタッと千切の動きが止まりよろよろと俺に近づいてきて資料を俺に無言で預ける。
「は?なんだよ千切。無言で渡して…」
「いいから読んでみろ…」
千切が無言でじっ…と俺を見つめてくる姿に違和感を覚え、すぐさま目を通してみると、本当に意味のわからない企画だと理解した。
「なんだよこれ!!おい絵心!どういうことだ!」
「どういうこともクソもねぇよ。BLUEROCKのお偉いさんがこの中のひとつを遂行しないと、事務所潰すって言うんだから」
「でもこれは…!!!」
そう言って俺はバンッと、机に資料をたたき落とす。そしてその資料を俺と千切、凛以外のヤツらがなんだなんだと覗き込んで確認して絶句する。最後の一人の蜂楽がハイテンションで何が書かれているかワクワクしていたのにも関わらず、資料を見た瞬間ピシッとその蜂楽も黙り込む。
「ちなみにこれはお偉いさんの指示で絶対にやらなければいけない資料だ。これ以外のひとつを今週の合同配信に選べ」
絵心の冷たい言葉に潔と國神がキッと絵心を睨みつける。
「だとしてもこれはおかしいです!なんですかこの……BL営業って…」
國神の勇気ある声に國神の両隣にいた潔と蜂楽が激しく首を縦に振る。その3人の様子を見てか、絵心は大きな溜め息をついてギロッと俺たちを一瞥する。
「いいかお前ら。これはお前たちに課された試練だと思え。それと御影、これはお前の責任でもあるんだ、しっかりやることだな」
「え……俺…?」
突然絵心は俺に向けて指を指し、カチャリとメガネをかけなおす。そして冷たい声で俺を上からみあげてくる。
「あぁそうだ。お前のお父様がお前が配信者をしていることを疑っているらしい。この依頼も御影コーポレーションからだ」
絵心は俺を酷く冷たい目で見たのと同時に、それはそれは厳しい声色で俺の今までの行動を否定するように言葉を放つ。
「っ……、あのクソ親父…」
絵心の言葉に俺はギリッと歯を食いしばり、怒りを拳に込めることしかできなかった。まさか自分の些細な行動が原因で、仲間に迷惑をかけてしまうなんてありえないことを実際に自分が起こしてしまったからだ。絶対に自身の行動が原因で、チームメイトに実家関係で迷惑をかけてはいけないと思っていたのにも関わらず、今しがたそれはおこってしまったのだ。
そんな玲王を見かねて隣にいた千切は、拳をぎゅっと握りしめていた玲王の手を優しく包み込む。
「俺らは大丈夫だっての、お前がそんなに抱え込むことねぇよ。それにBL営業は本部の方では元々かなり案が出てたって聞くし、そのうちやらされてたもんだから気にすんな」
「千切の言う通り俺たちは別に気にしてねぇよ。それにサムネに”BLごっこやってみた”とか載せればいいじゃん?リアルでやれって訳じゃなさそうだしそんなに思い込むなよ?」
「そうそう♪潔とちぎりんの言ってくれた通り気にすることないよ!それにこの動画のおかげで俺達のこと知ってくれる人が増えるかもしれないじゃん?だから楽しも♪」
千切、潔、蜂楽は落ち込みモードに入っていた玲王を宥めるように次々と安心させるように言葉を連ねる。そして、最後の蜂楽の言葉で玲王はバッと顔を上げる。その目には先程までの絶望と自身への失望の色は写っておらず、かわりに今はこれからどうなるのか楽しみなのか、楽しみと仲間の優しさに触れた瞬間の感謝の思いが映っていた。
「そうだよな、おっし!ありがとな3人とも。やると決まったなら切り替えていかねぇとな」
俺の意見にうんうんと首を縦に振りながら賛成した國神も、優しげな瞳をして楽しそうに眺める。
「そうと決まったらサムネ作成に編集もしなくちゃな」
「おい、決まったもんは今はどうでもいいだろ。それよりももう1つやる企画はどうすんだよ」
國神のお母さん発言を無視する反抗期の娘…いや、息子の凛は腕組みをして顔に”実に不愉快だ”と書いてあるように苦い顔をする。
「そうだよな…」
「あっ♪決められないならさ!凛ちゃん達のいる3期生のいる企画のどれかにしない?♪」
「え、やd「いいなそれ!俺賛成!」」
蜂楽のアイデアに文句を垂れようとしていた凪を一蹴して、千切がぴょんぴょんと飛び跳ねて全身で賛成を表す。
「となると…
“ISAGIと蜂とRINの電撃ラジオ!”と、
“ガマとバローのムキムキ筋肉教室!”に、
“ひおりんとカラスとナギの仲良しゲーム実況バトル!〜方言を添えて〜”
“家事相談は任せて!!~ガマとバローとISAGIの家事の秘訣〜”
“カラスとナギとRINのお悩み解決相談室!!ゲスト付き!”の、5つだな」
潔は資料を手に取りながら企画を眺める。潔からパッと資料を取り上げて、ぺしぺしと叩きながらウンザリしたような顔を烏が作る。
「おいおい、玲王と千切がこの5つの企画の中にひとつも入ってへんぞ。どこぞに入れるべきやろ」
「ゲッ…なんで気づくんだよ!別にいいじゃん!俺たちは忙しーんです〜!!」
千切が烏の一言に悪態をついて俺の後ろで煽り散らす。
「まぁ俺もちょっと千切の意見には賛成だな。御影の方でも色々予定あるし、俺がまたやらかさない為にも俺はこの方がいいな」
俺は、ははは…と乾いた笑いをしながら申し訳なさそうにメンバーに言う。
「ほな玲王くんはこのままでええとして、千切くんはどこに入れよか?」
「はぁ!?なんで俺だけなんだよ!今週は玲王と一緒にクレープ食べに行く約束なんだけど!」
千切はブーブーと氷織の意見を突っぱねるが、千切の言葉に俺はドバッと冷や汗が出てくる。その理由は俺は回避出来たはずなのに、千切が巻き込んできたからだ。ありえない回答の仕方に千切の方をバッと見ると、千切がニヤリと嫌な笑みを見せた。
「なら玲王もやれるか…」
千切の一言に感化されてしまった國神の一言に絶望の波が襲ってくる。なぜなら前回、蜂楽達と合同配信をやった時、【池袋で女装して、誕生日間近のREOへのプレゼントを買ってこよう!】という企画で千切と氷織が街中でナンパされてしまい、しつこく女の子扱いしてくる男たちにガチギレして暴走したのを、当日内緒にされていたのにも関わらず、緊急出動を言い渡されて暴走するふたりを止めた地獄の配信だったからだ。
「まっ、待て國神!!俺はまたやらかすかもしれないだろ?!やめとこーぜ!!」
俺は必死に取り繕いながら國神に駄々をこねるように手を擦り合わせる。そして國神が折れそうになった瞬間、我儘お嬢様が牙を剥く。
「えー…俺玲王が参加しないなら俺も参加しなーい!」
その瞬間、俺の参加は無慈悲にも決まってしまったのだ。
「俺お悩み解決相談室がいい」
俺は千切と共に企画に組み込まれていた。俺を泥沼に引きずり込んだ張本人は、あっさりと自分のやりたい企画を言ってメンバーに組み込まれていく。
「じゃあ玲王は人数的に筋トレか?」
國神が企画書を眺めながら俺に意見を求めてくる。まぁ俺が入ったのが選ばれる確率なんて5分の1なのだから、入っても入らなくてもそんなに変わらないだろうと了承しようとした時、後ろから声が上がる。
「いやいや國神何言ってんだよ。玲王は家事相談だろ、筋肉教室は玲王じゃなくてどっちかと言えば凛だろ。凛はストレッチ配信してたみたいだし。何しろ玲王は個人で家事のコツ配信してて結構人気だったじゃん」
突然潔からの早口の意見に皆しん…と静まり返り固まる。だが、すぐに調子を取り戻した蜂楽が今度は声を上げる。
「いやいや潔、それはないっしょ!玲王っちはやっぱ電撃ラジオだよ♪配信コメントで『声いい』って凄い玲王っちの動画にコメントきてたの知ってるでしょ?」
「そんなこと言ったらゲーム実況でもいいじゃん。玲王のゲーム実況凄い人気なんだよ?別の動画のコメントでも『ゲーム実況やらないんですか?』ってコメントきてるじゃん」
と、蜂楽の意見を突っぱねて凪が声を上げる。
「え。凪俺の動画見てくれてんの? 」
俺が驚いてつい声が出てしまったら、凪はチラリとこちらを向いて小さくこくりと頷いた。
「マジか!めっちゃ嬉しい!!そっか〜!見てくれてたんだな!!ちなみにだけどさ!凪の配信のゲームあれなんてヤツ?俺気になっててさ〜「はいはい、ストップストップ」」
俺はつい熱が入って凪にズカズカと乗り込んでいたら、凪と俺の間に入るように潔が入り込んでくる。
「悪ぃ脱線してたわ」
「そんじゃ話戻そう」
俺の謝罪を軽く流してくれた國神はちゃっとゃと終わらせるようにと、お母さん感満載で語り始める。
「あのさー、玲王の入るとこ決まんないんならもうルーレットしちゃえば良くね?」
この決まらないグダグダ空間に嫌気がさしたのか、千切がため息混じりに提案する。他のみんなも口論に疲れてきていたから丁度よいと千切の提案を受け入れる。
「そんじゃあ千切の入った悩み相談は人数的にも無理だから省いて、他の4つでいいよな?」
國神がみんなに確認するように視線をよこすと、皆こくりと首を縦にする。そして國神は自身のスマホのルーレット画面を開きルーレットを始める。
(⬇実際のルーレットの結果)
「決まりだな」
ルーレット結果を皆に見せるようにスマホを見せて、皆が納得する。
「そんじゃ、この中の何にする?」
蜂楽がワクワクを隠しきれず、楽しそうに微笑みながら飛び跳ねる。それをステイステイとカタコトの英語を使う潔が止める。
「これもルーレットでいいよな?」
國神も面倒くさくなったのだろう、手間を省けるものは省く。と言った感じでルーレットをやろうとする。
「おい、流石に筋肉教室は2人じゃ無理だ。消せ」
今まで会話に入ろうとしなかった馬狼が口を開く。
「確かに2人は寂しいよな〜」
と、千切が言う。
「じゃあちぎりんと玲王っち入れちゃう?」
と、悪魔の囁きをする蜂楽。
「そうしよう。これは決定だから駄々こねんなよお嬢」
と、悪魔に唆される國神のズボンを引っ張ってパンツと企画を天秤にかけさせる千切。を、無慈悲にもひっぺがす烏。
悪魔達は千切と俺を事務所の柱に縛り付けてルーレットを始める。隣から悲痛な断末魔が聞こえて耳が割れそうになるから頭を抑えたい。が、悪魔たちはそんな慈悲は持ち合わせていないのだろう、誰もこちらを見ようとしない。絶望に包まれながらルーレットを回す音だけが事務所を包み込む。
「おっ!!!決まったな!」
と、軽快な声色で楽しそうな表情を浮かべる國神。國神は楽しげに俺たちにスマホを見せる。そこに映っていたのは…
千切の入っている悩み相談だった。
「っっっっしゃ!!!!!!お疲れ千切!ドンマイ!!」
俺は國神が縄を解いてくれた瞬間、バッと立ち上がりポンポンと千切の肩をやさーしく叩いて煽る。案の定、ブチ切れた千切が國神と潔のお世話になって、俺が烏に説教されそうになったところを高級プリンで手を打ったのは言うまでもないだろう。
「そんじゃ、烏と凛と凪と千切以外はサムネ作成な?玲王と馬狼が悩み相談のサムネ作成で、潔と俺が動画撮影係な。氷織と蜂楽はBL営業の方のサムネ作成でいいよな?」
國神がぱっぱと進めていく中で、皆國神の言う通りに従い作業を始める。
「んじゃ、サムネ作っていこうと思うんだけど馬狼はなんかいい感じのアイデアある?」
「特にねぇ。お前はなんかあるか?」
「んー…そうだなぁ…じゃあ」
3時間後
「ふぅ…なんとかできたな」
「前まではこれ一人でやってたのか?」
俺と馬狼は一足先に区切りをつけ、サムネ作成を終わらせたためみんなを見守りながら、休憩用にとっておいた小さいレモンパイを2人で食べていた。
「いやいや流石にそれは無いって。確か俺が作る時は蜂楽とか國神に手伝って貰ってたし、俺が動画撮影の時は烏と千切がわちゃわちゃしてたような気もする」
「ふーん……そうだったんだな」
馬狼はレモンパイをパクパクと食べながらみんなの作業をチラチラと確認する。第一印象ではチームとしてやっていけるか不安だったレベルだが、馬狼は案外そんなことはなくわからないことは質問して、効率化できそうな所があれば嬉々として報告する。年相応な対応をしてくれるところがあった。たぶん今みんなの作業を見ているのも効率化できるところがあって言いたくてうずうずしているのだろう、そう思ってしまったら馬狼が何故か可愛く見えてきてしまう。
「おい、そろそろレモンパイ食べ終わった方がいい。蜂楽が狙ってるぞ」
馬狼がボーッとしている俺を見て呆れながらも警告をしてきてくれたため、俺は急いでレモンパイを食べ終える。丁度食べ終えた時に蜂楽がこっちに来て俺に飛びつく。
「玲王っちいいな〜!!レモンパイ美味しそ〜♪ 」
「ほんまに美味しそうやな。玲王くんが良かったら1つくれへん?」
蜂楽と氷織も作業が終わったのだろう、糖が消えてしまった脳が糖分を求めて俺にレモンパイを求める。
「別にいいけどこれ人数分ねぇから後の奴らにバレんなよ」
コソッと周りを見てバレないように2人に耳打ちするとこくりと頷いたので、そろーっと2人にレモンパイを渡すとコソコソと2人ともみんなにバレないように死角の位置で食べ始める。
そしてレモンパイを2人が食べ終えた頃、國神のお疲れ気味の溜め息が聞こえたので4人で撮影組の様子を見に行く。
「お疲れ國神。溜め息こっちまで聞こえてるぞ」
溜め息をついていた國神の頬に冷えたコーヒーをふにっと押し付けると、國神はふわっと微笑んでコーヒーを受け取る。
「サンキューな、玲王」
「ん、それで?進捗はどうよ」
「それが……」
國神が言いにくそうに撮影組の方へと目を逸らした先にいたのは、疲労で目に生気を宿していない潔がやる気のない千切と凪を窘め、烏が必死に凛のご機嫌を伺っていた。
「うわ……やべぇな」
「潔くんいけるかな、すごいやつれてるし顔色悪いけど…」
「わぁ♪皆おしゃべりしてて楽しそうだね!俺も混ざってきていい?!」
「やめとけ。」
俺と氷織がやつれてしおしおになったメンバーの心配をしていると、蜂楽はキャッキャと子供のように飛び跳ねて潔にダブしようとしたところを、馬狼に首根っこ掴まれて止められる。
「おっ!蜂楽に氷織!玲王と馬狼じゃん!そっち終わった?」
潔に窘められていた千切が逃げ道を作ろうと周りを見渡し、俺たちが目に入ったのか助かったというようにこちらへ向かってくる。
「おい千切。お前まだ撮影中だろ、早く戻れ」
千切が俺たちの元へきて抱きつこうとした瞬間、グイッと國神に首根っこ掴まれて撮影に戻される。
「はぁ!?!?やだっ!!!もう飽きた!!離せ國神!!」
「ほら!!お悩み相談まだ来てんだよ!早くしろ!」
國神に怒鳴られながらも犯行を続ける千切は手足を使って暴れに暴れまくる。
今回のお悩み相談動画の質問内容は配信している時にコメントできたものをやるのだが、リハーサルとしてきそうな質問内容を答える内容だ。しかもこれはPVとしてYouTube配信の予告編に使うため、撮っておかなければいけないものだ。
「いーさぎっ!大変そうだね♪」
「蜂楽ぁ…!!」
俺が千切と國神の格闘を見ている間に蜂楽は潔の元へ近寄り抱きついていた。蜂楽が来たおかげか、心做しか潔の顔色に赤みが出ていた。
「どーよ潔。お悩み相談できてんの?」
「できるわけねぇだろ…みんなもう自分勝手すぎんだって」
俺は潔をうちわで仰ぎながら撮影組を見る。烏は必死に進めようと頑張ってくれているが他のメンバーが絶望的だ。凛は1人だけ静止画だし、凪はすぴーと寝息を立てて夢の中へ、この中で一番の先輩である千切はワガママお嬢を発揮して國神と格闘中。この世の中のカオスというカオスを詰め込んだ最悪な状態である。
「……。俺これから氷織と馬狼とクレープ食いに行ってくるわ。帰りにフラペチーノでも買ってくるからそれまで頑張れよ〜!」
「ほな頑張ってな、潔くん」
「あばよ」
触らぬ神に祟りなし。という昔の人のことわざに従いここは退散する。途中で潔と國神の悲痛な断末魔が聞こえたような気がするが、クレープを食べにキャッキャウフフしている俺たちの耳には響かなかった。
次回予告-`📢
次回玲王総受け配信者パロ
【営業×配信×ケツ穴確定】
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