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いつも通りお昼の起き、いつも通りダルそうに歯を磨き顔を洗うルイ。リビングへ行くと

「おはよーさん」

「あ、ルイおはよー」

と保と歌乃が自分の家のように料理を作っていた。

「ん」

顔を洗って目がある程度覚めているものの、ルイの瞼もルイと同じくダルがりなのか

大きな瞳を半分隠していた。

「あ、ル、ルイ。おはよ…」

その気弱そうな、おどおどしたような声のほうを向くルイ。

その声のほうにはダイニングテーブルとセットのイスに座った那緒がいた。

那緒は小恥ずかしいそうにルイと目を合わせながら挨拶する。

「ん。はよ」

と言うルイに対して


おはよーだって。なんか朝…あぁ…


と妄想して勝手に赤くなっていた。

「保ー。グラスー」

と言うルイに

「ほいほーい。飲み物はー?」

とグラスを持って冷蔵庫に向かう保。

「オーラ」

「好きねぇ〜」

と保が冷蔵庫からソラ・オーラを出し、グラスに注いで

「ほい」

ルイに渡す。

「ん。ありがと」

「どういたしまして」

飲むルイ。

「保。ルイのこと甘やかしすぎ」

と那緒が言う。

「今に始まったことじゃないっしょー。よっと」

歌乃が料理をしながら言う。

「ま、そうだけど…」

「中学で仲良くなってからずっとじゃん?」

「…いや!長すぎるでしょ!」

と言う那緒。

「長いねぇ」

「いやいや!甘やかし期間長いって!」

那緒が顔の前で右手を左右にブンブンと振る。

「あー。そーゆーね」

歌乃は相変わらず焼き加減を見たりしながら那緒と話す。

「じゃあ那緒がルイの世話係やるか?」

と保がニマァっとしながら言う。その言葉に歌乃が保を振り返る。

保も振り返った歌乃を見て、2人は目を合わせて、2人お揃いのニマァ顔で那緒を見る。

「なっ。なに2人とも」

「別にぃ〜?那緒ちゃん、ルイの1日お世話係体験ん〜!」

「よ!ドンドン!パフパフ!」

「は?」

と盛り上がる3人を他所目に


オレは小学校で飼われてるウサギか


とルイにしては珍しくツッコミワードが頭に浮かんだが

言うのもダルいのでソラ・オーラを飲みながら静観していた。

「今日この後講義あるし、今日の1日那緒がルイのお世話係、いっちゃえば保の役目をやるってのはどうよ」

「いいねぇ〜。「あぁ〜ん。甘やかしすぎぃ〜」とか言われちゃったし」

那緒の真似なのか、体をくねらせながら声色を変えて言う保。

「私そんな言い方してないし」

「でもいいんじゃない?保の役目を体験して、保が本当に甘やかしすぎならそれを指摘すればいいし。ね」

と最もらしい提案をしている歌乃と保だが内心は


那緒がルイと接触する機会が増えて、おもしろくなりそぉ〜


と思っていた。

「はぁ〜い。お昼できたよぉ〜」

と歌乃と保が作ったお昼ご飯を4人で食べることに。

「いただきまぁ〜す!」

「いただきます!」

「いただきます」

「いただきます」

那緒が唐突に立ち上がりルイの側へ。

「あ…あぁ〜ん」

ルイのお昼ご飯をあ〜んしようとする那緒。

「那緒那緒。そこまでやってない」

とさすがに保が止め、お昼ご飯はいつも通り自分で食べるルイ。

ご飯を食べ終え、歌乃がキッチンへ行き、お皿洗いを始めようとしたので

いつも通り那緒もキッチンへ行って手伝おうとする。

「那緒はぁ〜」

と歌乃がルイに視線をやる。那緒が振り返る。

「これからルイの着替えだけどぉ〜」

と保が言って、ニマァっとして

「やる?」

と言った。那緒は


私がルイの服を?脱がせて?ルイの上半身をはだ…は…裸にさせて…?

私が好きな感じのコーディネートをさせる…。え?あ。え。下半身も?

そ、そりゃーそうだよね?となると下もぬっ、ぬ…脱がせ…


と豊かな想像力で妄想していた。

「那緒。鼻血鼻血」

と歌乃に指摘され

「嘘っ!?」

と上を向いて鼻の下を触る那緒。自分の手を見るが赤くはない。

「うっそぉ〜」

と言う歌乃。

「うたぁ〜?」

ということで着替えは保が付き添うことに。部屋着から私服に着替えたルイ。

いや、正確には着替えさせてもらったに近いルイ。

「那緒ー髪はお願いできるかな?」

と保が言う。すでに食器類を洗い終えていた歌乃と那緒。

「あ、うん。い、いいけど」

と立ち上がってソファーのほうへ向かう。

「テーブルの上にいろいろ置いてあるから。よろしく。オレはうたとイチャイチャしてるわ」

と冗談混じりに笑う保に、無言で右親指で首を切る仕草をする那緒。

ソファーの背もたれに寄りかかり、背もたれの後ろに垂れる綺麗なブロンドヘアーを

触っていいものかわからず変態的な手つきで悩む那緒。その様子を見て声を押し殺して笑う歌乃と保。

一旦触らずにテーブルに置かれた道具を見ることに。

ソファーの前のローテーブルの上には櫛、2種類のヘアスプレー、2種類のワックス

ヘアアイロン、ドライヤー、洗い流さないトリートメントが置いてあった。

「ん。那緒が今日はやってくれるんだっけ?」

とお腹いっぱいで瞼がほぼ閉じかけているルイが言う。

「あ、え?あ、うん。や、やれって言うから」

「よろしく」

「あ、うん」

どうしたらいいんだろうと思いながらも、とりあえずいつも自分のやっていることをすることにした。

まずは洗い流さないトリートメントを手に持ち、ソファーの後ろ、ルイの後ろに行く。

またルイの髪を触っていいのかわからなかったが

「しっ。失礼します」

と言って毛先から掬い上げるように触る。


うわぁ〜…初めて触った。あ、意外としっかりしてるんだ。

傷んでるイメージだったから勝手にパサついてると思ってた…。私より1本1本は細いんだ…。


なんて思いながら髪を触る。髪は綺麗だが念の為ということで洗い流さないトリートメントを手に出す。

「うわっ。めっちゃいい匂い」

と手に広げた洗い流さないトリートメントの匂いを嗅ぐ。

「匂いが気に入ってる」

とルイがポツリと言う。

「たしかにいい匂い」

ルイの髪の洗い流さないトリートメントを手櫛で塗り込みながら


私もこのトリートメント買う…そしたらルイと同じ匂いになる…

さすがにそれはキモいか?でもこっそり買って匂いだけを嗅ぐって手も…


と割と変態的な思考を巡らせていた。

「ル、ルイ。櫛取って」

と那緒が洗い流さないトリートメントを塗り込みながらルイに言う。

「…取れん」

別に目一杯手を伸ばしているわけでもない手を伸ばして言うルイ。

「前屈みになれば取れるでしょ」

「…取れない」

那緒にそう言われても前屈みになることなく、目一杯手を伸ばしているわけでもない手を伸ばして言うルイ。

「ちょっと」

「那緒さぁ〜ん。自分で取ったほうが早くないっすかぁ〜」

と言う保。

「ね〜?」

向かいにいる歌乃に言う保。

「ね〜」

返す歌乃。向かいに座り、見つめ合う2人。今日も今日とて胃もたれするほどのバカップルぷり。

「…」

保に言われて従うのは癪だったが

たしかに自分で取ったほうが早いということで回り込んでローテーブルから櫛を取って

ソファーの後ろ、ルイの後ろに戻りルイの髪の毛を櫛で梳かす。

梳かすといってもルイの髪の毛はブリーチ(脱色)しているわけでも

染めているわけでもないので痛みは少なく、絡まってもいない。

なので洗い流さないトリートメントをつけてより艶やかに、滑らかにするだけ。

「ど、うする?」

とルイに問いかける那緒。

「ん?なにが?」

「髪型。ポニーテールにする?」

那緒が頭の中でポニーテールにしたルイを想像する。


うん。似合う。カッコいい


まるで美容師さんのように髪を触りながら

結びはしないが「結ぶとしたら」ということでまとめたりしながら話す那緒。

「ポニーテールも低い位置と高い位置とか」

頭の中で両パターン想像する那緒。


うん。両方似合う。カッコいい


「あとはお団子にするとか」

また想像する。


似合う似合う。カッコいい


「ツインテールなんかも似合うかもね。ツインテールも高い位置と低い位置があるけど

ルイの場合は…まあ両方似合うと思うけど、個人的には低い位置のツインテールがいいかな。

あとツインお団子とかも似合いそう」

と想像しつつ暴走する那緒。

「那緒が暴走してる」

「変態的な一面が出てる」

と遠巻きで観察する歌乃と保。

「那緒」

「あ、角みたいに尖らせるのもいいかも。やり方わかんないけど」

「那緒」

「編み込みなんかもいいかも。

編み込みなら体育祭のときとかにうたにやったから、今もー…できるんじゃないかな」

「那緒」

聞こえていないのに張り上げもしないルイの声にようやく気づく那緒。

「あ、ごめん。なに?」

「このままでいいよ」

「あ、そお?…でもこんだけ長いと邪魔にならない?」

「結ぶと根元痛くなるから。那緒も髪長いからわかるでしょ?」

「まあ…たしかに。でもキツく縛んなきゃいいんじゃない?」

「うぅ〜ん」

唸ってはいるものの、考えるのもダルく

「いや、このままでいい」

すぐ考えるのをやめたルイ。

「ま、私も寝るときも髪結ってないけどね」

「オレも」

ただの同意。しかしただの「オレも」というのだけで嬉しくなり、口角が緩む那緒。

「じゃ、このままで」

と那緒がルイの髪から手を離す。

「ん。ありがと」

振り向いて言うルイ。

「い、いえいえ」

目を合わせるものの、ルイの美貌に負けて顔を逸らしそうになるが

急に顔を逸らしたら嫌われるかもと思った那緒は、目だけを逸らし

でも嫌われたら嫌だとルイを見て、と目がぐるぐる泳いでいた。

「あの子はなにをそんなに硬くなってんのかねぇ〜」

「だねぇ〜」

遠巻きに見守る歌乃と保ってが呟く。着替え、髪も整え終えたということで4人で大学へ向かう。

ルイの歩くペースというのもあって早めに家を出たのだが、案外早く大学についてしまったので

「最終なぁに?ゲーム!」

と歌乃がゲームを始める。

「イエーイ!よっ!」

保が盛り上げる。

「ほら!那緒も」

歌乃に手を挙げられる那緒。

「ルイも。イエーイって」

子どもやペットに無理矢理ポーズをさせる親や飼い主のように

机に伏せているルイの後ろからルイの両腕を持ち、腕を挙げて軽く振り

「イエーイ!」

とアテレコする保。



さてこれから始まる「最終なぁに?ゲーム」通称「最終なぁに?」というのを説明しよう。

「最終なぁに?ゲーム」通称「最終なぁに?」とはいわばセルフ連想ゲーム。

まずは個人戦かチーム戦かを決める。個人戦の中でも各々が自由に考えるという個人戦もあるし

誰か特定の人の回答に合わせにいくという個人戦もある。そしてお題を出す。

お題を出すのはゲームに参加する人が順番にお題を発表するもよし、ゲームに参加しない人が決めるもよし。

このときにあらかじめジャンルを決めるのもいいし、あえて決めずに幅広くするのもおもしろい。

例えば、ジャンルが「ゲーム」ならお題も過程も最終の回答も「ゲーム」

お題が「ゲーム」でもジャンルが「指定なし」なら過程も最終の回答もなんでもあり。

そして次に回数も決める。例えば「ジャンル:食べ物 サンドイッチで3回」など。この場合は3回連想する。

「サンドイッチといえばたまご→たまごいえばラーメン→ラーメンとえいば味噌」のように。

そしてこの場合、回答としては「味噌」と書いて発表する。

最後回答を出すときに「最終なぁ〜に?」という掛け声をかけるとゲームっぽくなるが

この掛け声は強制とか公式ルールではないので、言わなくても大丈夫。

この発表時、紙、もしくはフリップ、いずれかを用意する。スマホでもよし。

そこに出されたお題に対してどう連想したのかをメモすると

「なんでそれでそれになるん」とかいろいろとおもしろい。個人戦ではなるべく喋らないようにプレイをする。

チーム戦ではあえて「ラーメンといえば王道のあれだよなぁ〜」とか

直接的表現でなければ言っても構わない。相手チームをバラバラに誘導する邪魔な言葉かもしれないし

味方と回答を合わせる言葉かもしれない。それは明言しない。

最初から「ジャンル指定なし サンドイッチで10回」と飛ばしてもおもしろいし

最初は「ジャンル:文房具 鉛筆で2回」と割と回答が合いそうな簡単なもので始めても良い。

ジャンルは「夏」や「エモい瞬間」などおおまかな括りでもおもしろい。

「エモい瞬間」などはそれぞれがどんなときにエモさを感じるかなどが見えておもしろいし

チーム戦では同級生が強かったり、でも「おい!○○といえば○○だろ!」と回答が合わず

「いやこんなことがあってね」とエピソードも聞ける。そんなゲームである。



「じゃー、チーム分けはー。今日は那緒がルイのお世話係ということでー」

チーム分けは、歌乃&保チーム、那緒&ルイチームとなった。

「っしゃー!罰ゲームかけるか!」

「お!いいねぇ〜さすがは保ぅ〜」

「えへへぇ〜」

「いや…2人のラブラブさ見てるだけで割と罰ゲームだから」

「どーゆーことですかぁ〜?那緒たぁ〜ん」

「罰ゲームってなに?」

「んん〜…ま、それはあとで決めようかなって」

「ふぅ〜ん。ま、無理なことじゃなければね」

「ま、それはお互い様だから」

「じゃ始めまーす」

1人ずつお題を考え、ルーレットでお題を決める。お題は「アイス」に決まった。

ジャンルも決める。ジャンルは「指定なし」となった。

回数は2〜5のルーレットを回し、4回となった。それぞれスマホのメモ機能でメモする。

「アイスといえば王道かなぁ〜」

と歌乃が呟く。

「ま、王道だよなぁ〜」

保が応える。

「Hey,Peach(ピチ)。メモ機能開いて」

ルイがスマホに話しかける。

「ハイ。カシコマリマシタ」

「Hey,Peach。アイス矢印バニラって入力して」

「おい!言ったらダメだろ!」

という保のツッコミが入った。

「じゃあ那緒に入力してもらう」

「ま、それならいいか」

と納得する保に

「いいの?めっちゃ答え見れるけど」

と言う那緒に

「そうじゃん!」

とアホな保が気付き、結局、当たり前だが、ルイもフリック入力することになった。

「よござんすかぁ〜?」

と歌乃が全員を見る。

「じゃ、せーの」

「私!」

「歌乃!」

「蜂」

「神社」

と全員同時に言った。

「私は私!」

と自分を指指す歌乃。

「おぉ!合った合った!オレの回答歌乃だもん!」

「おぉ〜!さすが保!」

「相性バッチリ?」

手を合わせ指を絡ませて見つめ合う歌乃と保。

「なんでうたはうたになったわけ?」

那緒が聞く。

「んーとねー」

スマホをみんなに見せる。

「まず、アイスといえばバニラアイスということでバニラ」

「同じ同じ!」

「それは私もそうだわ」

「んでバニラといえばバニラエッセンスじゃん?

でバニラエッセンスといえばケーキ作るときの材料の1つだからケーキ。でケーキといえば私じゃん?」

「たしかに!」

「…」

ジト目で見る那緒。

「イメージないけど?」

「甘いの好きじゃぁ〜ん。女の子だしぃ〜」

「で?保はなぜうたになったの?」

今度は保がスマホを見せて説明する。

「まずアイスといえばバニラ。ここはうたと那緒と同じ」

「うんうん」

「でバニラといえばメロンソーダにのってるイメージだったからメロンソーダ」

「フロートのことね」

「そそ。で、メロンソーダといえば夏じゃん?で夏といえば?うたなわけよ」

「さすが保!」

「…」

ジト目で保を見る那緒。

「強引じゃない?」

「え?」

「夏といえばうた?理解不能すぎるんだけど」

「そうかぁ〜?常識じゃね?」

「ね〜?」

「じゃあ冬といえば?」

「うた」

「春といえば?」

「うた」

「学校といえば?」

「うた」

「ズルすぎるでしょ!無しでしょそんなん!」

「まあ、オレらの相性がチートみたいなもんだからな」

「たしかに」

見つめ合う歌乃と保。

「…胃酸が逆流してきそう…」

「ちなみに那緒はなんて言ったの?」

「私は蜂」

「はち?数字の?それとも」

「虫のほう」

「なんでそうなったん?」

今度は那緒がスマホを見せながら説明する。

「最初は2人と同じ。で私はバニラアイスでパンケーキをイメージして

パンケーキといえば蜂蜜。で蜂蜜といえば蜂」

「なるほどねぇ〜。で?ルイは?」

「神社」

「おぉ〜。ルイの口から出てこなそうな単語ランキングトップ100に入ってそうなワード」

「なんで?」

ルイは無言でスマホを見せる。ルイは説明するのがダルくてなにも言わないので代わりに那緒が読み上げる。

「アイスといえば抹茶。へぇ〜。ルイ抹茶好きなんだ。

抹茶といえば日本。日本といえば鳥居。鳥居問いえば神社か。なるほどね」

「はぁ〜い!私らチーム1ポイントォ〜」

「イエーイ!」

「は!?なしでしょ!なしなし!無効試合!」

「なんでよぉ〜」

「てかそもそもそんなんで勝って嬉しいの?」

「勝ちは勝ちだし?」

「通じ合えてるし?」

「「ねぇ〜?」」

「とにかくなし!今のは無効試合!うたは保と自分禁止!保も自分とうた禁止ね!」

「「えぇ〜」」

ということで最初のゲームは無効試合となった。

「ふぅ〜!」

「正々堂々勝利ぃ〜」

「「イエーイ!」」

正々堂々と勝負した結果、歌乃&保チームの勝利となった。

「ま!結局?うたのことを理解してたってことだなぁ〜」

「違うよ。私が保のこと理解してたの」

「うた」

「保」

手を合わせ、指を絡ませて見つめ合う2人。

「もうそれが罰ゲームでいいですか」

「ダメぇ〜。罰ゲームはぁ〜」

歌乃が保の耳に口を寄せ、内緒話をするように小声で話す。保はうんうんと頷き、ニヤッっとする。

「でもそれさ?後々個人的にLIMEで言ったいいんじゃね?」

「どゆこと?」

と言う歌乃に今度は保が歌乃の耳に口を寄せ、内緒話をするように小声で話す。

「あぁ!なるほど!さすが保!あったま良い!」

「えへへぇ〜」

という歌乃と保のやり取りに

「どこがだよ」

と思わず笑って呟くルイ。すぐに講師の方が入ってきて講義が始まる。

講義開始30分ほどが経ってルイが立ち上がる。

「ルイトイレだって。ついてってあげなきゃ」

と保が言うと

「行けるわけないでしょ」

と足を軽く踏む那緒。結局保がついていき、連れションすることに。

「推しいる生活いいね!いいね!楽しいね!おっと?その推しは私らじゃない?ダメだね。

しかもその推しがアイドル?oh my goodness…。よく見てみ?あなたが推してるアイドル。

いいね金に変える悪魔、愛(あい)=Dollar(ドル)。あの顔で?プププ笑っちゃう Like ラブドール

不思議ちゃん?見てて痛いね マジ、アウト オブ 眼中

その点、見て?見て?私たち。マジ、トップ オブ 宇宙ぅ〜!Yeah

別次元のルックス?RPGならレベル、MAX!!

歌声耳に届いたらすぐ、推し変したくなっちゃうよComing soon!!

We are very very 魅惑的。歌も顔もマジで他とはレベチ

味付け wow 刺激的。いいね数なんかで左右されない心持ち

バズ?バズ?が溢れるSNS?それしかねぇやつに中指 Presents for you♡

聴けばたちまち解放されるSNSバズ中毒。一度味わうと離れられない、忘れられない禁断の果実

M I W A K U n o K A Z I T S U。私たちたちが魅惑の果実」

と小便器に向かいながら小声で歌う保。

「なんの曲?」

「魅惑の果実ってグループの曲のラップ部分だけ」

「ラップ部分だけ?」

「そ。オレ曲のライブ部分が好きで

いろんなアーティストのラップある曲のラップ部分だけを聴いてるんだよね」

「変な趣味」

「うるへー」

用を足し終えパンツを直すルイ。その場で立ち尽くすルイを見る保。

「なんしてん?自分の股間凝視して」

「…いや。パンツっていちいちおしっこするのダルいなって」

「は?」

「おしっこするのも大するのも下さんといかんじゃん」

「いや、前チャックあるだろ」

「…保も使ってなくね?」

「そうだけど、ダルいってんならあるぞってはーなーし」

「…スカートっていいよな」

「…は?」

パンツを引っ張るルイ。

「スカート…」

「おいおいおいおい待て待て待て待て。スカート履く気か!?」

「…今やメンズがスカート履いててもおかしくはない」

「いやいやいやいや。メイク男子は割と市民権得てるけど、スカート男子はそこまで市民権得てねぇって」

「そおか?」

「そおだよ」

「スカートっぽいパンツとかあんじゃん」

「あぁ…あるな」

「あんな感じよ」

「なら…いいのか?」

「スカート買おうかな…」

というルイに頭の中でスカート姿のルイを想像してみる保。

「ほおほお…」

洗面所で手を洗い終えたルイの両肩に手を置いて

「スカートは…やめとこうか…。あまりにも女子すぎるから」

と鬼気迫る表情で言う保。

「…保、ハンカチで手拭いて」

と水の滴る手をゾンビのように前に出すルイ。

「あぁ。ハンカチ忘れたわ」

と言ってトイレに備え付けのティッシュともトイレットペーパーとも

キッチンペーパーともいえない紙を2、3枚取ってルイの手を拭き捨てて、自分の手も拭く。

「講義室戻る前にちょっと休憩してこうぜ」

真面目に講義を受けているわけでもないのに休憩を提案する保。

無言でそれに同意して自動販売機とちょっとした休憩スペースのある場所へ向かう。

ガタコンッ。自動販売機で飲み物を買い、窓際のテーブル前のイスに座る2人。

「ルイさー」

「…」

「彼女とか欲しくないん?」

「…わからん」

「わからんってなに!?」

「なんか…今さら知らん人を知ろうとも思わんし。

かと言って言い寄ってきた女の人には気をつけろってdadが言ってたし」

「ま、ルイに言い寄る人はルイのルックスに惹かれてるだけどうしなぁ〜。

流行りのSNSマウント?で「私の彼ピ、好きピこんなイケメンなのぉ〜」って」

「…はあ」

「知らない人を今さらってことは、ある程度知ってる人だったらワンチャンってこと?」

とルイのほうを見てルイに聞く保。

ルイは半開きのようなダルそうな目で外を見ていたが、ゆっくりと保のほうを向く。

するとゆっくりと頭を下げるルイ。

「なに?どしたん?」

「すまん。保の気持ちには応えられない…」

と言うルイの頭を無言で叩く保。講義室へ戻り、講義を受けて、講義が終わり

それぞれ家へ帰り、夜ご飯を食べ終え、自分の部屋で天井に向かって手を伸ばしている那緒。

「…ルイの髪…初めて触った…」

と呟いているとスマホが鳴る。スマホを手に取ると歌乃からのLIMEの通知。通知欄には


歌乃「罰ゲームの発表でぇ〜すΨ( Φ∀Φ)Ψィヒヒ」


とだけしか見えず、全文は読めなかったので通知をタップし、歌乃とのトークルームへと飛ぶ。


歌乃「罰ゲームの発表でぇ〜すΨ( Φ∀Φ)Ψィヒヒ

   罰ゲームはぁ〜…ルイと1日2人切りでお出かけぇ〜(。 >艸<)ウシシ♡」


「…。はぁ〜!?」

と一人で叫んで那緒のお母さんに

「うるさい」

と怒られていた。その頃ルイのスマホにも保から


保「罰ゲームは那緒と2人で出かけて那緒を1日楽しませること!」


というメッセージが届いていた。特に嫌いでもない那緒とのお出かけが罰ゲームになるのかと思うだろうが

「…出かけんの…ダルイな…」

出かけるというポイントがルイにとっては罰ゲームだった。

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