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サイコ少女にペットにされました。

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サイコ少女にペットにされました。

1 - サイコ少女にペットにされました。 第1話

♥

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2022年03月28日

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真冬の夜道を駆け足で進んでいく。


ポケットの中のチケットを確認する。


(初めての東京…)


私は今夜、彼氏のケイスケと深夜バスで東京へ向かう。


好きなバンドのライブを生で見るために。


指先の感覚がなくなるほどの冷え込みなんて気にならないほど、興奮していた。


(ケイスケ、もうバス停についたかな)


白い息を吐きながら考える。


親には内緒で家を出てきた。


まあ、夜遊びなんて日常茶飯事だから特に騒ぎ立てたりはしないだろう。


風が吹き、服の隙間から体を冷やす。


もっと厚着をしてくればよかった。


でも東京はそこまで寒くないらしいし、荷物も増やしたくなかった。


公園の横を通り過ぎた時。


ブランコに座る幼い少女が目に入った。


10歳くらい──たぶん小学生だ。


(びっくりした…幽霊かと思った)


長い黒髪に白いダウン。ニット帽に手袋。


幽霊にしては防寒対策がしっかりしている。


だけど幽霊じゃないとしたら、どうしてこんな時間に少女がいるのか。


スマホを取り出し、時間を確認する。


待ち合わせにはまだ余裕がある。


キャリーケースを引きながら、公園に入った。


「ちょっと、あんた…」


恐る恐る声をかけると、少女はゆっくり顔を上げた。


まるで人形のように整った顔立ちだった。


将来美人になることだろう。


「こんなとこでなにやってんの?」


「ペット…」


「え?」


「ペットがいなくなっちゃったの」


少女が涙目で呟く。


「ペット?あー、犬かなんかが抜け出したから、探してるってこと?」


少女が首を傾げる。


違うのだろうか?


「よくわかんないけど、探すなら明るい時にしなよ。もう遅いし」


あたりを見回す。


「両親は?まさか1人で出てきたの?危ないじゃない」


他人を叱れる立場ではないけれど。


(面倒だけど、放っておくわけにもいかないし…)


「家まで送るから。ペット探しは明日に…」


「もういいの」


「え?」


「探す必要はなくなったわ」


さっきまで涙を浮かべていた瞳が、きらきらと輝いていた。


「ひ、必要がないって、どういうこと?」


「もう見つかったわ。あの子の代わり」


少女が私を指差す。


「なにを──」


突如、呼吸ができなくなる。


一瞬遅れて、背後から口を抑えられていることに気づいた。


甘い香りがして、同時に眠気に襲われる。


脱力し、立つことさえままならない。


「見つかってよかった」


最後に聞こえたのは、少女の安堵した声だった。


「新しいペット」




不快感で目が覚めた。


なんだか全身がチクチクする。


「は?」


裸で芝生の上にいた。


慌てて起き上がる。


ブラもパンツも靴下もない。


胸を腕で隠しながら、辺りを探すが衣服は見当たらない。


寒くないのが唯一の救いだった。


暖房が効いてるらしい。


「ど、どこよ、ここ?」


よく見ると、広い部屋だった。


まるでお城の一室のように豪華だ。


私の周囲だけが、場違いに人工芝が植えられている。


「うそ、もう朝?」


窓からは日が差していた。


(バス出ちゃった!ライブに間に合わない!ケイスケに連絡しなきゃ!てか服どこ!?)


パニックになっていると。


「あ、目が覚めたのね」


奥のベッドから少女が起き上がった。


かわいらしい寝巻きを着ている。


「あんた、これはなんの──ぶっ!?」


少女に近づこうと歩いたところで、何かにぶつかった。


透明なガラスだった。


よく見ると、芝生を境界に全方位にガラスが貼られている。


だいたい6畳くらいだろうか。


私の部屋と同じくらいだ。


「なに、これ…」


「小屋だよ」


寝巻きの少女がいつの間にか正面に立っていた。


「そこはペット専用の小屋。あなたは今日からそこで暮らすの」


「い、意味わかんない。さっさとここから出してよ!彼氏と約束があんの!」


ガラスを叩くが、少女は一切怯まない。


「ダメよ。あなたは私のペットなんだから」

淡々と少女は言う。


「そうだ。昨日、寝る前に名前を考えたの。あなたは今日からシロよ。肌が白くてとっても綺麗だから」


「ふざけないで!私には相田ミカって名前が──っ!?」


突然、全身に電流が走った。


脳味噌がぐわんぐわん揺れ、その場に崩れる。


腕や足が痺れてうまく動かせない。


首がじんわり熱かった。


「ダメじゃない。ご主人様に逆らっちゃ。ペットなんだから言うこと聞かなきゃ」


少女の手にはリモコンのようなものがあった。

それから少女が自身の首を指差す。


痺れの取れた手で、自分の首に触れると首輪のようなものがつけられていた。


「私の命令に逆らうとそこから電流が流れるの。あんまりやり過ぎると神経が焼き切れちゃうよ?」


(神経が焼き切れる?)


「前のはそれでダメになったの。だからあんまり使わせないでね」


ようやく理解する。


彼女が普通ではないこと。


昨晩いなくなったのは『犬』なんかじゃないこと。


『いなくなった』とは『死んだ』ということ。


そして、新しいペットが見つかったという意味。


「シロ。これからよろしくね」


私はその日。


少女のペットになった。






































サイコ少女にペットにされました。

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コメント

15

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怖いw

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女の子言う事聞いてれば大事に育ててくれそう

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