テラーノベル
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季節は、静かに進んでいた。
教室の空気も、
校庭の景色も、
少しずつ変わっていく。
でも、何も起きない恋は、変わらないままだった。
琉叶は、ある日ふと思った。
――終わらせよう。
忘れるんじゃない。
嫌いになるんじゃない。
ただ、区切りをつける。
心の中で。
自分の中だけで。
答えが来ない恋は、待ち続けるほど、自分を削る。
だから、待つのをやめる。
それだけ。
琉叶は、ノートに小さく書いた。
「好きだった」
過去形にした。
それだけで、胸が少しだけ締めつけられた。
でも、同時に楽になった。
――好きだった。
――今も少し好き。
――でも、もう待たない。
その線引きが、琉叶を救った。
洸は、相変わらず何も言わない。
何もしてこない。
何も変わらない。
でも、それが答えなんだと、もう分かっていた。
言葉のない返事。
沈黙の選択。
それを、ちゃんと「答え」として受け取る強さが、琉叶にはもうあった。
――これは、終わりじゃない。
――これは、区切り。
その違いを、ちゃんと理解できていた。
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