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豪は奈美に呼ばれたが、無言のまま前に視線をやり、彼女の細い指を絡めて歩き続けた。


『もう、この関係をキッパリ終わりにして…………出会う前の豪さんと私に戻った方がいいと思うんです』


先ほどのカフェで、コーヒーを飲んでいる時に言われた奈美の言葉が、豪の中でリピートする。


(もう俺と奈美は、会わない方がいい、という事か?)


怒りにも似た、豪の荒ぶった感情が、ジクジクと込み上げてくる。


(だが俺は、この曖昧な関係から脱却し、本当の恋人同士になるために、『彼女と、もう会わない』という選択肢はない。口淫だけの関係が切れても、俺は彼女と、ただ一緒にいたい。それだけだ……!)


奈美への想いを抱えながら、豪は彼女の手を引き、黙り込んだまま駅周辺の雑踏を抜ける。


更に先へ進むとラブホ街が見え、その中の一軒に、豪は奈美の手を握りしめたまま入っていった。




***




入ったラブホは、比較的新しく、全ての部屋の内装もシンプルな雰囲気だったが、土曜のせいか、ほとんど部屋が埋まっている。


料金が一番高額な、五階の角部屋だけが空室。


その部屋を選び、キーを受け取った後、二人はエレベーターに乗り込んで部屋を目指した。


ドアを開錠し、沈黙のまま入室する。


ソファーにキーとスマホ、財布を適当に放った後、豪は、奈美を壁際に追い詰めながら手を突き、華奢な肩を縫い付けた。


細身の身体を貼り付けたまま見据えると、彼女は怯えるように視線を絡ませている。


「豪さ……ん……?」


艶やかな唇から、彼の名が零れ落ちた。


花弁はなびらを思わせる奈美の唇を見た瞬間、めちゃくちゃに貪りたいという欲が、豪の中で渦巻いていく。


黒い瞳は今にも濡れそうで、儚げな彼女の表情。


豪は更に顔を寄せ、奈美を射抜いた。

ただ、それだけの関係……

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