アマガイに来て4日目。
今日はお化け退治をやりに行くと言われ、夜に出かけている。
明かり1つ無いこの道で唯一の光は持ってきた懐中電灯。
なんだか雰囲気のある道にビクビクしながら歩く私に対して他の3人はいつも通り雑談をしながら歩いている。なんならヤエは眠そうにアクビまでしていた。
そこで私はいつも通りに雑談に入ればビクビクしないで済むかもしれないと思い、3人にこんな質問をした。
「ねぇ、なんでお化け退治をやるの?」
そう聞くと3人は「あ〜」と納得した様な声を出し、ソメイが「多分だけど…」と前置きをしてから話し出した。
「人間界に迷い込む前に悪霊退散!って事じゃない?」
「まぁ詳しくは分からないけどね」と後付けをしてケロッと笑っていた。
「人間界ってなに?」
と2度目の問いかけをすると今度はヤエが答えてくれた。
「人間界は人間が住むところ…いや、暮らす世界?って言った方がいいのかなっ?
まぁ…天界が天使とか神様が暮らす世界の人間バージョンって思ってれば良いよっ!」
「あれ?じゃあアマガイは? 」
「アマガイは__」
「お!着いたぞ!」
とシダレが言い前を見ると、いかにも不気味な森があった。
少し腐っている木に深緑色の葉っぱ。
少し暖かい風が吹くと葉っぱがざ〜っと揺れなにか話しをしている様にも聞こえた。
思わずゴクリ…と唾を飲むと
「よし!じゃあしゅっぱーつ!」
といつも通りなソメイを先頭に「早く終わらせよ〜」と適当に言っているいつも通りな2人に置いて行かれない様にビクビクしながらついて行った。
中に入って少しするとどこからか感じる目線と
「ぁ”…ぁ”ー”…」
と言う謎の唸り声が聞こえた。出来ることなら今すぐここを出たいけれど、他3人は怯える様子も無く明日の朝ごはんの話しなどを適当に話していた。
そもそも、お化けをどう退治するのだろう?
なにか特殊な武器などは何一つ持ってきていない。
なんなら武器と言う武器は持ってきていない。
こんなに余裕そうにしているけれど本当に大丈夫なのだろうか?
とドキドキしていたその時だった
「あ”ぁ”う”!!!」
と言う大きい唸り声と共に後ろから
青白い肌に、黒く顔が分からないほど長く伸ばされた髪の下半身の無いいかにも悪霊な女がズダダダッとこちらへとものすごいスピードで向かって来ていた。
「ひっ…」
と思わず息を飲むと誰かの手によって私の視界が塞がれ、女が居るであろう方向から
「あ”ぁ”ぁ”!!!!」
と先程よりも大きな唸り声が聞こえ、同時に何かを殴る様な、蹴るような音が聞こえた。
そんな物騒な音が聞こえて数秒後。
女からの唸り声が聞こえ無くなり変わりに何故か
「いたい…いたいよぉ…」
と女のか細い声が小さく聞こえた。
「(何してるの???)」
と頭がはてなでいっぱいの中真後ろから
「2人ともサクラもいんだから早めに終わらせろよ〜」
とシダレの声が聞こえ、女が居るであろう方向から
「わかってるよ〜」
とヤエの声が聞こえ、更に頭がはてなでいっぱいになった。
少しすると
「つぎは…かわ、さわるから…やめてぇ…」
と可哀想になってしまうほど弱い声で言ったのを最後にやっと私の視界が解放された。
目の前にはソメイとヤエがいて、2人の間にはなにかキラキラと光っている物が上へと向かって行っていた。
思わず
「何してたの?」
と聞くとシダレが
「なんでもない。」
といつも通りに返してきた。でも私は思う。
なんでもない訳ない。
※暴力はやめましょう