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散って舞う

17 - シダレ

♥

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2024年06月03日

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アマガイに来て5日目。

ふかふかな芝生の上でごろごろとしながらヤエを待っていると「おーい!」と頭の方向からシダレの声が聞こえた。

「どうしたのだろう?」と思いムクリと体を起こし声がした方を見てみるとこちらへとシダレが向かってきているのがわかった。


昨日は、お昼頃にここの当辺りでシダレと遊んだはずなのにどうしたのだろうと私もシダレの方へと向かい聞いてみる。


「あれ?ヤエは?昨日シダレと遊んだよね?」

するとシダレは少し困った様に笑い


「まぁ…色々あってな。あ、てかサクラ背伸びた?前は俺とそんな変わらなかったのに」

と言った。

話しを逸らされてしまった様な気もするけれど言われてみれば確かに。

頭半分…いや、頭1つ分くらい私の方が高くなっていた。


恐らく、ソメイやヤエもシダレとそんなに変わらなかった為この中で1番背丈が高いのは私。

その事実に仁王立ちしながら腰に手を当てドヤっとする。

そんな私を見たシダレが優しく微笑んだ後


「人間は成長するのがはえーな」

と少し大人びた表情で言っていた。

思わずそんな姿に見とれて体制を崩すと、それを見ていたシダレが気を取り直したようにこう言った


「今日はあのブランコの所まで行くぞ!ついてこい!」

するとスタタタッと走りだした。私も慌てて後をおう。


いつも通りに川を渡り、坂を登る。

すると前回ソメイと来た時より早く目的地のブランコの所へと到着した。

そこから見える景色はやっぱり綺麗だった。

前に来た時より明るく、雲1つない綺麗な青色に飲み込まれてしまいそう。

そんな贅沢な背景に負けないくらい存在を解き放つ綺麗な桃色がまた美しい。


そんな景色をただ見つめているといつの間にかブランコ近くに行っていたシダレから声をかけられる。


「お〜い、綺麗だけどそろそろ桜の木陰に入らねぇか?」

ハッとした私は少し急ぎながら木陰へと入る。

ふぅ…とひと息ついて居るとブランコに乗ったシダレがこんな事を言い出した。


「なぁサクラ?この桜の木に登った事あるか?」

…正直何を言っているんだと思った。


「 (木に登るなんて危ない。怪我をしたらどうするんだ。)」

そんな事を考えていたら顔に出ていたのかシダレがケラケラと笑って


「ケガとか心配してんのかもだけど大丈夫だって!気になるんだろ?」

と言ってきた。


「まぁ…少しは気になるけど…」

とぼそぼそ言っていたら急にシダレが立ち上がり


「よし!じゃあ登ろう!」

そう言ってきた。


シダレに手伝ってもらいながらブランコの紐が結ばれている枝に2人で座った。

そこまで手こずった記憶は無いのだけれど空を見てみると綺麗な青色から、徐々に赤色へと変わっていっていた。


「すごい綺麗!登ってよかったね!シダレ!」

と目を輝かせながらシダレのいる左側を見ると

シダレは何処か切なそうに目をうるわせて

ただ何も言わず赤く染まり始めた空を見つめていた。

思わず


「シダレ…?」

と自分でもおかしくなってしまうくらい不安が募ったその一言に驚いた。

でもシダレが空から目を離さず落ち着いた声色で話し出した。


「サクラ。」

「ここから3人が居なくなったりしたら、川を見ても良い。

だから、川に落ちないくらいのギリギリで川の上流に向かって走れ。


それで生きろ。」

「嫌だ。」そんな反対する言葉が私の頭をよぎる。

でも言えなかった。言ったらダメな気がした。


その日の夜。いつもの場所に帰ってきてご飯を食べて寝る時。

外で立ちながらただ星々が輝く空を見上げているシダレの姿が見えた。


「寝ないの?」

「あぁ。」

「そっか…私は寝るよ。」

「おやすみ。」

そうシダレに告げると私にゆっくりと顔を合わせて




じゃあな

そう切なそうな顔をした

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