テラーノベル
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#シングルファザー
街が秋の色に深まりつつある十一月。
三連休の初日、美花が自室でパソコンを起動させていると、スマートフォンに、先日、連絡先を交換した響野瑠衣からメッセージ受信の通知が届いていた。
「あっ…………ルイルイ!」
美花はさっそくダイアログをタップして、メッセージアプリを立ち上げる。
『美花さん、こんにちは。先日はお疲れ様でした。突然ですが、三日の文化の日、美花さん、予定は空いてますか? もしお時間がありましたら、一緒にランチしませんか?』
思い返せば、ランチに行ったのはいつだっただろう?
初夏の頃、立川緑病院で、おにーさんと偶然に会い、国営公園の中のカフェで過ごして以来かもしれない。
(ベージュブラウンのボブスタイルに、濃茶の瞳が可愛い女性だったなぁ……)
美花は、瑠衣の容姿を思い描きながら、返信のアイコンをタップさせると、画面上に指先を走らせる。
『瑠衣さん、こんにちは! メッセージありがとうございます。文化の日は空いてますよ! どこでランチしますか?』
すぐに既読マークが付き、一分も経たないうちにメッセージが返ってくる。
『でしたら、立川と新宿の間をとって、吉祥寺でランチしませんか?』
吉祥寺は、もう何年も行ってないな、なんて考えながらも、美花は気持ちがワクワクしながら文字を打つ。
メッセージのラリーが、ひとしきり続いた後、文化の日は、正午に吉祥寺駅の公園口の改札前で待ち合わせに決まった。
(ルイルイに会うの……楽しみ!)
美花は、胸を躍らせながらパソコンに向かい、音楽を作り始めた。
瑠衣と会う当日、美花は早めに家を出発し、待ち合わせの十五分前に、吉祥寺駅の公園口の改札に到着。
周りを見回してみるけど、瑠衣らしき女性は、まだいない。
(ちょっと早く着いちゃったかな……)
バッグからスマートフォンを取り出し、瑠衣にメッセージを送ろうとした時。
「美花さん!」
背中越しに澄んだ声音が飛んできて、美花が振り向くと、瑠衣が小さく手を振りながら彼女の元へ駆け寄ってくる。
「こんにちは。今日はお誘い、ありがとうございます! この前はお疲れさまでした」
「いえ、こちらこそ、美花さんにまた会えて嬉しいです! じゃあ、さっそく行きましょう。お店、予約したんです」
二人は、軽く挨拶を済ませると、瑠衣が予約してくれたお店に足を向けた。
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