TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

…………


「そりゃ、冷たいジュースやアイスばかり買ってちゃダメさねえ」

「え? どうしてですか?」

「そんなに大汗を掻くところなんだし、塩分が必要になって来るもんなんだよ。いいかい? 今度、地獄へ行く時には塩持ってきなさい。塩」

「はあ……」

「こんなこともあろうかと。巫女さんの梅干し入りおにぎりには、塩をたくさん使ってあったんだよ」

「え! はあ。そうだったんですか。ありがとうございます。そういえば、あのおにぎり塩辛かったわ」


……うん?

ここはどこだ?


近くで音星とおばさんの話し声が聞こえる。


あ、そうか……。

俺は玄関先で倒れたんだったな。


うー、頭が今でもクラクラするぜ。

きっと、熱中症だな……。


熱中症!!


そうか!

今の話し声のおばさんの言う通りだ!


地獄でも塩分が必要なんだ!


俺は目を開けて、上半身だけ起き上がると、そこは丁度民宿のキッチン側にある客間だった。程よい広さの和室だった。柱時計が真ん中にある。壁には色々な形の提灯が並んでいた。


立ち上がって、客間の長椅子に座る音星の方へ歩いた。その向いにおばさんがいる。俺のおでこにおいてあった濡れタオルが下へ落ちた。


「あ、火端くん! まだ寝てないと。今、お医者さん呼んだから。もう少し寝ていなさいな」

「あ、火端さん。お顔色がまだ優れていないようです」

「ああ……それじゃ、まだちょっと横になろうかな。……あれ? シロは?」


客間にもここから見えるキッチンにも、シロがいなかった。


「シロ! シロ! ……あれれ? いないの? ひょっとしてまだ地獄にいるとか?」

「そうなんですよ。シロは叫喚地獄を出る時にはちゃんと手鏡には写っていたんです……ですけど、現世には戻ってきていないみたいですね」


音星は顔を下に向けて、少し考えてから。


「きっと、シロのことです。大方。弥生さんを追ってどこかへ行ったのでしょう。心配してしまいますが、シロなら大丈夫ですよ」

「そうか……弥生。どこいっちゃったんだろう? あんだけ探したのになあ……。やっと、見つけたのになあ……」


俺は明日、弥生をまた探そうと心に決めた。


だけど、お医者さんの話では、もう少し寝ていた方がいいということだった。そう言われると、まだ具合が悪かったので、渋々横になった。


やっと起き上がって普通に走れるようになる頃には、音星の話では、あれから二晩も経っていたようだ。


さすがに、マズいぞ。


時差がある地獄でも時が進んでしまったはずだ。


そんな朝。


俺は早めに地獄へ行こうと、キッチンで急いで朝食を摂っていると、いつの間にか食卓に椅子が一つ増えていることに気がついた。そこへ女の人が座った。

勇気と巫女の八大地獄巡り

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚