碧族直営定食編『碧のごはん処(ミドリ)』
都市の塔のふもとに、小さな食堂がある。
その名は――《碧のごはん処(ミドリ)》。
ここでは、碧族のための“碧素料理”が毎日作られている。
料理を手がけるのは、元・戦闘クラフターの料理人、タエコ。
陽気な大阪弁と鉄鍋、そしてフラクタル調理コードを自在に操るベテランだ。
料理はただの栄養源ではない。
杭に刻まれた記憶、都市に残る想い、亡き者の残した温度――
それらが、“味”として皿に現れることがあるのだ。
この店には、今日もさまざまな碧族たちが訪れる。
傷を抱えた設計士、喧嘩帰りの処理後チーム、
碧族になりたての若者、そして時には人間も――。
誰もが、碧く発光する一皿に、何かを託し、何かを受け取って帰っていく。
すずかAIのニュースが流れるテレビ、
掲示板の“本日のおすすめ”、
そして一人ひとりの「食べる物語」。
――ここは、碧族の街の“おなか”を支える場所。
命をつなぐのは、杭だけやない。あったかいごはんもやで。
温かくて、少し切なくて、でも生きる力になる。
そんな“食べる”物語がここにある。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!