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僕の家には戦争がある

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僕の家には戦争がある

1 - 第1話 ぼくの家は戦争だ

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2025年06月21日

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朝の光がカーテン越しに差し込む。日本は、ベッドの中で目を覚ましたが、すぐには起き上がれなかった。胸の奥がざわついて、手足がうまく動かない。

(……大丈夫、今日は普通の日)

そう自分に言い聞かせてから、ゆっくりと身体を起こす。制服のシャツに手を伸ばしたとき、部屋のドアがノックもなしに開いた。

「おい、日本。朝だ。遅れるぞ」低く響く声。一一父親であり、陸上の象徴。

「…..はい、すぐに行きます」

短く答えて視線を落とす。陸の声を聞くだけで、背筋が伸びる。怖くはない。むしろ安心する。でも、どこか息が詰まる。

食卓にはすでに海と空がいた。海は新聞を読みながら、コーヒーを啜っている。白い制服の襟元が整っていて、隙がない。「おはよう、日本」

海が言うと、日本は少しだけ微笑みを返した。

「…..おはよう、兄さん」

空は隣の席でトーストをもぐもぐしていた。ぐしゃぐしゃの髪、半開きの口。だけど、その視線だけは鋭く、日本をじっと見つめていた。

「昨日、寝るの遅かった?」「…..ううん、普通だよ」

嘘だった。昨日は眠れなかった。海に憂められたことが頭から離れず、空の言葉がやけに優しくて、陸の手が肩に触れたとき、心臓が跳ねた。

三人とも好きだ。どこか壊れるほどに。でも、それを知られたらきっと、もうこの家にはいられない。

(だから、普通でいなきゃ)


学校のチャイムが鳴る直前、日本は一人教室のドアを開けた。

誰とも目を合わせず、自分の席に座る。クラスメートのざわめきのなか、日本の存在は、まるで空気のように薄かった。

でもそれでいい。家では三人がいる。家に帰れば、誰かが隣にいてくれる。そう思わなきゃ、今日を生きられない。

(家に帰れば、会える)

そう思うだけで、心がほんの少しだけ軽くなった。

僕の家には戦争がある

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