テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
明花永(あかな)
12
#普通
野々さくら
202
ドラゴン店長
30
コメント
1件
×××さん、第7話読み終えました。信愛が霊と対話するシーン、すごく良かったです。あの“佳苗”という5歳の子が「お母さんを待ってる」って言うところ、胸が苦しくなりました。ネグレクトの可能性を感じさせる設定も、物語に深みを出してますね。単なるホラーじゃなくて、喪失と向き合う話になりそうな予感。茜が道具を取りに行く間、信愛がどう時間を稼ぐのか、佳苗の本当の願いが何か、次が気になります。静かに続きを待ってます。
茜は不安そうに信愛を見つめた。
「わ、私は何したらいいの?」
信愛はすぐに答える。
「茜には私の家に行って
除霊に必要な道具を持ってきてもらう」
「除霊に必要な道具?」
茜が首を傾げると、信愛は静かに頷いた。
「私たちの家は代々、霊力が強い家系でね
いつ何が起きても大丈夫なように
家の中に除霊道具を常備してるの」
茜は困ったように顔をしかめる。
「いや、私、何が必要とか知らないし」
信愛は安心させるように微笑んだ。
「大丈夫!友達に霊が取り憑いて
私から除霊道具を持ってくるように
言われたって伝えればいいから」
しかし茜は首を横に振る。
「私には無理だよ・・信愛が──」
信愛は真剣な眼差しで茜を見つめ返した。
「なら茜がさくらを押さえられる?」
「あ、いや、それは・・・」
言葉に詰まる茜へ、信愛は静かに頭を下げた。
「今は茜にしか頼めないの!だからお願い!」
しばらく沈黙が流れる。
やがて茜は小さく頷いた。
「わ、分かった・・・」
そして覚悟を決めたように信愛を見つめる。
「とりあえず今は信愛を信じるから
その代わり、さくらを絶対に救ってよね」
信愛は力強く頷いた。
「分かってる!約束する!
さくらは救うから!絶対に!」
「分かった!」
茜は勢いよく立ち上がる。
「じゃあ行ってくる!」
「お願い!」
茜は空き家を飛び出し、信愛の家へ向かった。
それから信愛は、茜が白縫家へ向かっている間、数珠を強く握りしめ、さくらに取り憑いたソレへ、ひたすら語りかけ続けていた。
「ねえ、アナタの名前、教えてくれないかな?」
しかし返事はない。
「私、お話ししたいなぁ、だめかな?」
それでもソレは黙ったままだった。
信愛は柔らかく笑う。
「私はね、信愛って言うの。信じる愛と書いてノア
なんかさ、ノアの方舟みたいで神秘的じゃない?
私、この名前、結構気に入ってるんだよね」
長い沈黙が流れる。
やがて、ずっと沈黙していたソレが
ゆっくりと口を開いた。
「ノ、ノア?」
信愛の表情が明るくなる。
「そう! 信愛!」
「わ、私は、か、佳苗・・・」
「佳苗?」
「うん・・・」
「何歳くらいなの?」
「ご、5歳・・・」
信愛は心の中でそっと呟く。
(5歳か、来年、小学生になるはずだったんだね)
佳苗は俯いたまま、小さな声を漏らす。
「私、お母さんを待ってるの・・・」
信愛は優しく問いかけた。
「お母さん?」
佳苗は静かに頷いた。
「うん・・・」
信愛は佳苗の表情を見つめながら、そっと尋ねた。
「お母さん、居なくなっちゃったの?」
佳苗は小さく頷く。
「うん・・・」
そして、ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めた。
「私、ちゃんとお利口にしてお留守番してたのに
お母さん・・・帰ってきてくれないの」
信愛は胸が締めつけられる思いだった。
(ネグレクト・・・とかなのかな?)
そう考えながらも、その言葉は飲み込む。
代わりに優しく微笑んだ。
「そっか・・・寂しいよね」
「うん・・・」
佳苗は寂しそうに俯いた。
信愛は少し身を乗り出す。
「ならさ、私とお話ししてよっか?」
佳苗は不思議そうに首を傾げた。
「信愛と?」
「うん♬」
信愛は明るく笑う。
「私、佳苗ともっとお話ししたいな〜♬ダメかな?」
佳苗の表情が少しだけ和らぐ。
「ううん、ダメじゃない
私も、信愛とお話ししたい」
その言葉に、信愛はぱっと笑顔を咲かせた。
「じゃあ丁度いいじゃん!
いっぱいお話しよっか!ね? 佳苗?」
佳苗は照れくさそうに、小さく頷いた。
「う、うん・・・」
信愛は心の中でそっと拳を握る。
(よし! このまま佳苗と話をしながら)
(茜が来るまで時間を稼ごう!)