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明花永(あかな)
12
#普通
野々さくら
202
ドラゴン店長
30
信愛が佳苗との何気ない会話で、時間稼ぎをしている頃。
茜は息を切らしながら、小走りで信愛の家へと向かっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
荒くなった呼吸を整えながら、住宅街を見回す。
「えー・・・っと
信愛の家って確かこの辺だったよね」
足を止め、周囲を見渡す。
その頃、家の中では信愛の母・銚子と父・多摩雄がリビングで娘帰りを待っていた。
壁掛け時計に目を向けた銚子が、小さく首を傾げる。
「信愛・・・遅いわね」
多摩雄は新聞から顔を上げ、苦笑した。
「いつもなら帰ってる時間だよな
もしかして友達と一緒に
寄り道でもしてるんじゃないか?」
多摩雄の言葉に銚子は、呆れたように肩をすくめる。
「アナタじゃあるまいし」
その言葉に多摩雄は豪快に笑った。
「あはは! そうだな!・・・っておい!」
夫婦がそんな他愛もないやり取りを交わしていると、再びインターホンが鳴り響く。
ピンポーン
銚子は立ち上がった。
「あら? 誰かしら?」
玄関へ向かい、明るい声を掛ける。
「はいはーい!今開けまーす」
ドアを開けると、そこには肩で息をし、血相を変えた茜が立っていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、と、突然すいません」
銚子は制服姿の少女を見て首を傾げる。
「信愛と同じ制服?」
茜は息を整えようとしながら答えた。
「あ、あの、わ、私・・・
信愛と同じクラスの菅生茜って言います」
銚子は安心したように微笑む。
「ああ! 信愛のお友達?ごめんね〜
信愛ったらまだ帰ってないのよね」
しかし茜は大きく首を振った。
「その信愛が大変なんです!」
銚子の表情が一変する。
「え? 信愛が?何かあったの?」
茜は焦りで頭の中が真っ白になっていた。
信愛に霊感があることを信じていなかった自分。
偽の心霊スポットへ連れて行ったこと。
さくらに起きた異変。
伝えたいことは山ほどあるのに、焦るほど言葉が絡まり、何から話せばいいのか分からない。
「えっとその信愛に霊感があるって話は嘘だったってずっと思っててそれでその友達と偽の心霊スポットに信愛を連れて行って化けの皮を剥がそうとしたら、さくらに」
焦りだけが先走り、説明がまとまらない。
銚子はそんな茜の様子を見ると、慌てることなく穏やかに声を掛けた。
「ちょっと待ってくれる?」
「え?」
「とりあえず深呼吸して落ち着きましょうよ! ね?」
茜は何度も頷く。
「は、はい」
銚子に促され、大きく息を吸う。
「す〜・・・」
そしてゆっくり吐き出した。
「はぁ〜・・・」
銚子は優しく微笑む。
「どう? 落ち着いた?」
「は、はい」
茜は今度はしっかりと銚子の目を見て口を開いた。
「実は同じクラスのさくらに霊が取り憑いたんです」
その言葉に、銚子は思わず目を見開いた。
「え? 霊が?」
茜は大きく頷く。
「それで信愛がお母さんに言って
除霊に必要な道具を持って
来てくれって、そう言われて」
一瞬だけ考え込んだ銚子だったが、すぐに力強く頷いた。
「わかったわ!すぐ準備するから部屋に上がって
お茶でも飲みながら待っててくれる?」
「は、はい」
そう言い残すと、銚子は慌ただしく廊下の奥へと小走りで消えていった。
玄関先に一人残された茜は、その背中を見送りながら胸の内で呟く。
(まぢで話が通じた・・・)
驚きと安堵が入り混じった表情を浮かべる。
(って事はやっぱり、信愛の話
って本当だったって事?)
コメント
1件
×××さん、こんばんは、みぅです🤍 今回も読ませてもらいました。 茜ちゃん、焦ってうまく説明できなくて、でも信愛さんのお母さんが「深呼吸して落ち着こう」って優しく受け止めてくれたのがすごく印象的でした。親としての落ち着きと信頼感が伝わってきて、ほっとしました。 茜ちゃんが「まぢで話が通じた…」って思う気持ち、分かります。これまで信じてなかったものが急に現実になった時の戸惑いと安堵がリアルでした。 続きも楽しみにしてますね🌙