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「あれって清水寺にいた奴じゃないか!?」
拓海は目を見開いて驚いている。
「これはマズイな……!!」
「………!」
俺は黒い騎士を見つめる。右手には剣が握られており、臨戦態勢と思われる。様子見をするようにこちらを窺《うかが》っている。
「逃げるぞ!」
佐久間が叫ぶ。一斉に人が校舎の奥へ逃げていく。
「逃げるって…何処に!?無理に決まってる!」
里奈は突然の事に頭が追いつけていない。
あいつらは例えるなら戦闘民族だ。武器も使えて身体能力も優れている。戦うために生きている。そんな奴らに俺たちは逃げ切れるだろうか。
「じゃあどうするんだ!戦うのか!?それこそ無謀だ!」
逃げれば追い詰められる。立ち向かえば死ぬ。幸いまだ向こうは動いていない。
「ここで私たち……全員死ぬんだ……」
恐怖で里奈は体を抱いて座り込んでしまっている。
(……全員)
「この建物にいる者全員、外に出てこい」
外から声が聞こえて振り向く。それは黒い騎士が放った言葉だった。
「もう一度言う、この建物にいる者全員外に出てこい。さもないと──皆殺しにするぞ」
鋭い視線が放たれる。ごちゃごちゃの頭の中が一瞬で真っ白になる。
──逆らえば死ぬ。
自然と脚が前に出る。呼吸が激しくなり息が苦しくなる。 手足が痺れ、感覚がなくなる。
人が操られたかのように次々と外へ歩き出した。気絶した者、恐怖で脚が動かない者だけが校舎に残った。
騎士の前に近づき立ち止まる。騎士は剣を身に着けている。こいつなら一振りでここに集まった全員を殺せるはずだろうか。
黒い騎士は直樹を見て動きを止めた。
「……お前が王が言っていたやつか」
黒い騎士は直樹を品定めをするように見て言った。
「ではお前らに問う。死にたくないなら我々に支配されるか、ここで死ぬか、選べ」
「なっ……!」
俺たちを支配する?後ろの異世界人と同じように?なにを企んでる?
「な、なにが支配するだっ……!それなら死んだほうがマシだ!」
その瞬間その男の首が消える。血しぶきが飛び散り体が倒れる。
「……うっ!!」
息が止まる。目の前で人が死んだ。喉から吐き気が襲い目の奥に涙が溜まる。吐いた人もいた。
「弱者が出しゃばるな」
──死ぬ
俺は考えた。一生支配されるくらいなら死んだほうがマシなのか。あれなら苦痛なく死ねそうだ。でも……。
「まだ諦めないのか」
「ぐっ……!!」
硬くゴツゴツした鎧の手が俺の首を絞める。
圧迫された部分が脈立つのを感じる。
「ここに来てわかった。お前らのような弱者には何も出来ない。何が出来る。それなのに……その目はなんだ!何故そこまで生きたい?何故生きるために強くならない! 」
まるで怒りのようだった。
「あ゙なっ……ぜっ!かはっ!!」
確かにこの世界の人々は強くない。空き缶を手で潰そうとすれば息が上がる。それなのに傲慢で自分勝手に生きようとして、怒りが湧くのもわかる。
──でも……
「……生きっ……たい!!」
直樹の足下が輝き出す。やがて、その光はその場にいる全員を包み込んだ。
眠狂四郎
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コメント
1件
みぅです🥀 第6話、めちゃくちゃ重かった……。 黒い騎士の「弱者が出しゃばるな」って台詞、グサッときた。支配か死か、って選択を突きつけられて、直樹が「生きたい!」って叫んだ瞬間、胸が熱くなったよ。光に包まれるラスト、これからどうなるんだろう。続きが気になりすぎる。 爽奈さん、今日もすごい世界観だった。ありがとう。