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「電車のったら?」
「連絡する!」
「バスのったら?」
「連絡する!」
「ホテルついたら?」
「連絡する!」
「・・・よるは?」
「電話する!」
満足したように笑うロロに頬がゆるむ。
心配ではある、初めての出張で、しかも一人だから、、、。
でも、その心配をかっ飛ばせるほど強い好奇心があった。
「じゃぁ、行ってくるね!!」
「・・・うん、!」
「、、、大丈夫、連絡するから、ね?」
「ん、、、。いってらっしゃぃ、、。」
泣きそうな子供みたいにロロが顔をあげる。
ドアを開けると、いつもの廊下。
でも、今日はなんだか明るく感じた。それほど俺がワクワクしているんだろう。
歩くたびに揺れるバックが重い。今はそれすらも楽しい。揺れて体にバックがあたる。そのリズムに合わせて歪なステップを刻む。
「フーンフフーン!フフフフフーン♪」
大通りの人混みを歩く。
朝なのにもういっぱいの人が楽しそうな声で街を満たしている。
「これ可愛い!」
「本当だ、、、!買っちゃう??」
「ねぇ、この服どう?」
「良いんじゃない?似合ってる!」
「これ!これほしいぃ!!ほしい!!」
「だーめ!似たようなの持ってるでしょ!!」
「やーだーー!これがいいのぉ!!」
全員がその世界に浸り、作り出している。
言葉では伝えられないほどのドラマがそこにあるように思えた。
「これ良いんじゃない?絶対似合う!」
「これ?ちょっと大きいんじゃない?もう少し小さいサイズにしたら?」
「いいの!!ぜっっったいこれがいい!」
聞いたことがある声がした、気がする。
ピピピピッ
ピピピピッ
バックが小さな音とともに揺れる。
「うわっ!え、あっちょっと、あれ?ど、どこだ!?うわっと!!」
バックの中の大量の荷物からなんとかケータイを取りだす。
画面には『ルーニオさん』という文字が点滅している。
「?どうしたんだろ?」
「もしもし。どうしたんですか?」
携帯の奥でルーニオさんの息が聞こえる。
なにやら焦っているのだろうか、、?
何か渡し忘れた書類でもあるのかな??
「・・・・・・カル、ツェル君、。」
小さな声に不安と恐怖が混じっていた。
「どうしました、、?」
おかしい、そう思って自分も声が小くなる。
「・・・帰りに寄ってきてって言ってた人のところ、、、行かなくていいよ。」
「え?そうなんですか??でも、そこって社長の知り合いじゃ、、?」
出張の帰りに社長の昔の知り合いにお菓子を持っていく、という事を頼まれていた。
「大丈夫。・・・。ちょっと急用がはいったみたいなの。だから・・・行かないで。ね。」
その言葉に疑問を覚えた。
急用がはいったなら別の人に渡しておいて的なことをいえばいいのに、。
その質問を聞く前に、電話は切れてしまった。
まぁ、いっか。一つ仕事がなくなったと思えばいい。
ロロが作ったしおりを読みながら電車に乗る。
「うわっと、ごめんさないっ!」
不意に、青年と肩がぶつかる。
「あっこちらこそごめんなさ、、あれ?」
ぶつかった青年は振り返るともう、、、居なかった。
都会ってヤベェなぁ、、、、。
『ー番線に列車が参ります。黄色い線の内側にお下がりください。』
「おぉぉぉー、、、。」
電車きたーー。
すごーー、、、。デカい、、、。人がおおい。
やば、くらくらしてきた、、かも。