テラーノベル
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忍との話を終えたあと、龍河は何かを切り出そうとするように口を開いた。
「実はな・・君らから電話もらった後に
すぐ編集長に話してさ。その日のうちに
天縁教団の話を聞かされたんだよ」
「そうだったんですね」
信愛が頷く。
「でな、そこから俺なりに天縁教団を
重点的に調べてみたら、今年の6月に
天縁教団の現役幹部が逮捕されてたんだよ」
その言葉に、信愛の表情が変わった。
「え?6月?つい最近ですね」
「誰ですか?」
焔垂が身を乗り出す。
龍河は皆の顔を見回し、意味ありげに告げた。
「君らもよく知ってる人物だよ」
「え?ウチらが?」
茜が自分を指さす。
「天縁教団なんて名前、今日初めて
知ったんですよ?その幹部なんて・・・」
朝陽も困惑を隠せない。
しかし、龍河ははっきりと言った。
「君らの活躍がキッカケでそいつは逮捕されたんだよ」
「私たちの活躍って──」
信愛の表情が固まった。
頭の中で、これまで自分たちが関わってきた事件が次々と浮かんでいく。
そして、一人の人物へと辿り着いた。
「え?」
信愛は目を見開く。
「まさか──」
震える声で、その名を口にした。
「た、霊貴冥孤!?」
龍河は静かに頷いた。
「そう・・霊貴冥孤。本名汀ひなた」
その名前を聞いた瞬間、全員に衝撃が走る。
「彼女は歴とした天縁教団の現役幹部だったんだ」
「ま、まじかよ・・・」
焔垂は呆然と呟いた。
「あの霊貴冥孤が・・天縁教団の幹部・・・」
朝陽も信じられないというように言葉を失う。
龍河はさらに続けた。
「なんで霊貴冥孤が天縁教団の幹部なんかやってたのか
更になぜ詐欺なんてやってたのかって事に関しては
悪いけど調べる時間が足りなかった」
「いえ、そんな・・・」
信愛が首を横に振る。
「これに関しては、本人に直接
聞くしか無いと思ってんだ」
「本人に?」
焔垂が聞き返す。
「霊貴冥孤は今、狗頸拘置所に入ってるからな
面会できないか、知り合いの刑事に今交渉してる」
「拘置所?刑務所じゃないんですか?」
信愛の疑問に、龍河は説明を続ける。
「まだ正式な裁判が始まってないんだよ。
だから有罪判決が下されてないから
今はまだ身柄が拘置所なんだよ」
一拍置くと、龍河の表情が険しくなる。
「だが、これが有罪後に
刑務所に入ったら面会は厳しくなる」
「弁護士の許可とかが必要になるからですか?」
焔垂が尋ねると、龍河は頷いた。
「ああ、だから面会するなら今がチャンスなんだ」
その言葉を聞いた信愛は、何かを決意したように龍河を見つめた。
「馬場さん?」
「ん?どうした?」
「もし霊貴冥孤への面会が許されたら、その面会に──」
一瞬だけ言葉を止める。
だが、その瞳に迷いはなかった。
「私も同行する事は可能ですか?」
「の、信愛!?」
思いもよらない申し出に、茜が驚きの声を上げた。
「一緒に!?」
思わず聞き返す龍河に信愛は真剣な表情で頷く。
「私たちが霊貴冥孤の悪事を暴いて
感謝状を受け取ったって事実を使えば
すんなり面会できませんかね?」
龍河は少し考え込み、やがて納得したように頷いた。
「ああ、確かにそうだな・・・
それだったら交渉の余地はあるかもな」
しかし、すぐに表情を曇らせる。
「でも一緒にってのはな・・・」
「お願いします」
信愛は間髪入れずに頭を下げた。
その強い意志を前に、茜たちは不安そうに顔を見合わせる。
「いや、さすがに危なく無い?」
「そうだよ?霊貴は犯罪者なんだよ?」
さくらも心配するように声をかけるが、信愛は静かに答えた。
「御船愛子がお母さんなのは間違いないと思う」
「まぁな・・それはそうかもしんねーけど」
焔垂も、その点については否定しなかった。
信愛は自分の中にある考えを確かめるように続ける。
「お母さんが今まで、私より霊気の量が
多いことを隠してたのが、天縁教団の
せいだったって考えたら納得できるし」
そして、信愛の表情がわずかに険しくなる。
「そんなお母さんを苦しめた
教団の幹部が霊貴冥孤だった・・・」
偶然とは思えなかった。
これまで別々のものだと思っていた出来事が、一本の線で繋がり始めている。
「教団を深く知るには、やっぱり面会は必要だし──」
「いや待ってよ信愛」
茜が信愛の言葉を遮った。
「なんか目的変わってない?」
「え?」
「今日編集部に来た本来の目的は
お母さんの過去を知るためでしょ?」
信愛は言葉を失った。
「それはもう知れたじゃん?」
「そうだよ信愛」
さくらも心配そうに続ける。
信愛は何かを言い返そうとする。
「でも・・・」
「一旦冷静になれって」
焔垂の声が、信愛の熱を冷ますように響いた。
「そうですよ」
朝陽も続く。
「もし天縁教団が本当に
失踪事件に関与してたとしたら
先輩だって標的にされちゃうかも
しれないじゃないですか」
「それは・・・」
信愛は返す言葉を失った。
確かに、みんなの言う通りだった。
そんな信愛たちのやり取りを見ていた龍河が、静かに口を開く。
「これに関しては俺もみんなに同意だな」
「馬場さん・・・」
龍河は信愛をまっすぐ見つめた。
「TAMAYAの時に思ったが
君はどうやら、一度熱くなると周りが
見えなくなるところがあるっぽい」
その言葉に、信愛はわずかに視線を落とす。
「一旦冷静になってから
考え直してみてもいいんじゃないかな?」
「そ、そうですよね・・・すいません」
信愛の声から、先ほどまでの勢いが消えていた。
龍河はそんな彼女を安心させるように続ける。
「安心しな。霊貴冥孤から何か情報
を引き出せたら、必ず君らに報告するからさ!」
「はい・・・お願いします」
信愛は小さく頭を下げた。
「もう、信愛ってば無鉄砲なんだから」
「ご、ごめん・・・」
茜の呆れた声に、信愛は申し訳なさそうに謝った。
けれど、その胸の奥にはまだ、拭いきれない引っかかりが残っていた。
母と天縁教団。
そして、その幹部だった霊貴冥孤。
偶然という言葉だけでは片づけられない何かが、確かにそこにあるような気がしてならなかった。
#普通
野々さくら
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ありあ
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コメント
1件
×××さん、第243話読みました!霊貴冥孤がまさかの天縁教団幹部だったとは…衝撃でした。でも信愛のお母さんが霊気を隠してた理由に繋がるって考えると、確かに偶然じゃない気がしますね。みんなに止められる信愛の「でも…」のモヤモヤ、すごく共感しました。続きが気になります🔥