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#闇
ruruha
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#一次創作
NaCl
6,111
…あ、前髪切りすぎちゃった。
明日この世から消えると浮かれていたせいで、手元が狂ってしまったようだ。
そんなことはどうでもよくて、早く学校に行かないと。
ーーーーーーーー
教室について、一回深呼吸をする。
扉を開けると、教室が少しの間静寂に包まれた。
そして、また声がぽつぽつと出てくる。
だが、その声は何処か私を軽蔑するような、何かが含まれていた。
先生H Rが始まるまで来なくて、その間私はずっと席に座っている。
まぁ、来たってどうにもならないが。
あの名前すら覚えていない先生は、少しちゃらちゃらしていて、時に女子生徒の肩や背中、更には下半身にすら触れていることがよくある。
私も例外ではない。
授業も私には合わない教え方で、そのせいか、若しくは自分の努力不足か、成績はあまり良いとは言えない。
家に帰っても待遇はそんなに変わらない。
ーーーーーーーー
「あぁ、帰っていたのね。おかえり」
私にとっては決して穏やかではない声をかけられる。
私の母親は所謂元夜職で、非合意の妊娠で18の時私を産んだ。
もう三十路も面々についてきたのに、まだ心は乙女のようだ。
血の繋がっている父親は、見たことはない。
血の繋がっていない父親は一度この家に住んでいたようだ。
だが、遂に私の母親の我儘に耐えられなくなり、数年前に、近所の路地裏で遺体として見つかった。
自殺のようだった。
そこから女手一つで私を育ててきたので、私への当たりは強い。
でも今は多少機嫌がいいようだ。
「ねぇ、頼みがあるのだけれど。」
有無を言わせず、「把子と酒。」といい、私にお使いを頼んできた。
だが私にも課題があるので断ろうとした。
だが、
「はぁ?お前は私の子供でしょう?子供に人権なんか無いわ!」
といって、近くにあった灰皿を私目掛けて投げてきた。
だが、酔っ払っているのかは知らないがかなり弱々しく投げられて、私の手前でその灰皿は割れた。
「あぁ、割れちゃったわ。はぁ…帰ってきたら掃除しといてよ。」
ため息をつきたいのはこっちなのに、と思いつつ仕方なく買うために出かけた。
母親は徘徊癖があるから、一応だけど鍵を閉めて出て行く。
ーーーーーーーー
コンビニで買い物をする。
自分の少ない小遣いからお金を出して払う。
「ありがと〜ございました〜」
その適当な店員の声を最後に、私は店を出る。
買い物袋がやけに重たく感じ、のろのろと歩いて行く。
その時。
きぃーーーーっ
車が私目掛けて突っ込んできた。
もう、終わりなのか。
丁度いい。
来世は、水母にでもなりたいなぁ。
甘美な死に拝謝を、乾杯。
こんなクソみたいな世界に、完敗。
ーーーーーーーー
『あれ、見える?』
ここ何処だ?
もしや誘拐?
こんなかりんちょりん、売ったって大した金にはならないのに。
あ、でも臓器だったら売れるか。
『べつに誘拐とか臓器売買とか、そういうわけじゃ無いから!』
おー、それで?あんた誰よ。
『神に向かってそんな堂々としたことよく言えるね〜』
まぁこちとら一回人生諦めたやつなんで。
てか神って何?そんな厨二病level MAXみたいな。
いい年してそういうの恥ずかしいよ?
『ふーん、そういうこと言っちゃう?せっかく転生させてあげようかと思ったのに、ねぇ?』
転生?なんそれ。
『君死ぬ間際、水母になりたいって願ったじゃん。』
あ〜…そんなことあったな〜…
まぁ、態度改めるからさ、転生させてくれんの?
『生意気じゃんか。まぁいいけどさ、口とか鼻とか、押さえといたほうがいいんじゃない?』
なんで?
『転生酔いで吐くひとまぁまぁいるからさ。そういうの別に僕も見たく無いわけ!』
おっけー、ばいばい
てか一人称僕なんだね。
『死なないでよ?こっちもコストかかってんだからさ。あと一人称は僕の勝手でしょ!』
頑張るねー。
ーーーーーーーー
ん〜…なんか気持ちわり…
そっか、転生したんだっけ。
てかここ何処だよ。自分の情報しか脳内にインプットされてねぇじゃんか。
え~…っと
名前:幽玄
年齢:15歳
持ち物:服、カギ
身長:156㎝
体重:42㎏
まじ神ふざけんな。
女子中学生の体重とか普通設定する?きも。
とりあえず歩くか…
え、靴穿いてないじゃん。
どうしよ、ここらへん岩場すぎてマジ足の裏いったい。
というか私のこの脚、そもそも見えないから脚としての機能を果たしているかは謎だけど。
辛うじて服は着てた、よかった…
すっぽんぽんじゃさすがに私でも恥ずかしかったからね。
てかさっきから視界の端にちらつくこのきらきらしたこれなに?
私はそのきらきらした細い糸のようなものをかるく引っ張ってみた。
…痛。髪の毛じゃん。、
めっちゃ綺麗な銀髪じゃん。えテンション上がる。
けどずっと歩いてるからか靴穿いてないからか知らないけど足は痛い…
お、あれ建物じゃね?
行ってみるか。
お邪魔しま~「君は誰かな?」
おわ、びっくりした…
急に声を掛けられて、不審者みたく肩を揺らしてしまった。
「ごめんごめん、知らない子がうちの事務所の前にいたからさ。」
目の前には、私と同じような髪色で、かなりきちっとした服を着た青年?がいた。
「あ~…」
私はつい黙ってしまった。
「それで?君はだれ?」
「…幽玄。」
やべ、あまりにも小声になってしまった。
絶対聞こえてないじゃんか。
「うん、幽玄ちゃんね。」
え~聞こえたんだ。
普通にすごいな~…
「それで、どうしてここに?」
「路頭に迷ってて」
「そんな重い感じだったんだね。事務所くる?」
「いいんですか?」
「まぁ別に。これ以上人増えてもそんな構わないし。」
そういって、この目の前の青年は扉を開けた。
ーーーーーーーー
見える限りには一人、ソファに座ってテレビを見ていた。
「ん~…おかえり…あれ?そこの君、どーしたの?」
友好的な声色で、目の前の青年は喋りかけてきた。
その人は私より大きくて、右目の下にほくろが縦並びに二つついていた。
目は陽に照らされた水面のようで、とても素敵だった。
私と同じように手足は透けていて、だけど靴は穿いていた。
いいなぁ…少し羨ましい。
「ただいま、この子は幽玄ちゃん。…あ、俺たちの名前まだ伝えてなかったね。」
「幽玄ちゃん、ね。まぁいいや。僕は月詠!」
私より大きいその友好的な青年は、どうやら月詠というようだ。
「俺は輪廻。よろしくね。」
私と同じ銀髪の青年は、輪廻、というようだ。
私はそれらを脳内にインプットした。
「…よろしくお願いします。」
私はつい声が小さくなってしまい、どうしようかと下げた頭を上げた。
目の前には青年が二人。
私に初めて向けられた、優しい瞳。
その情報だけで、私には十分すぎるほど幸せだった。
「あのっ、他に誰かがいますか?」
「あぁ、いるよ。俺たちの他には…多分五人くらいいるかな?」
輪廻さんがそう言った。
五人、誰なんだろう。
「うん。魁星、烈火、常闇、朧月ちゃん、刹那クン、かな。」
月詠さんがみんなの名前を教えてくれて、覚えられるかが不安になった。
「そ!れ!と!僕たちにはケイゴ禁止ね!そういうのむずむずするから!」
月詠さんが禁止命令を出してきた。
まぁ、これから覚えられていくだろう。
そして、インターホンが鳴った。
「ん、ちょっと見てくるね。大人しく待ってて。」
輪廻さんが玄関に向かった。
ーーーーーーーー
輪廻side
玄関に来て、慣れた手つきで確認事項を済ませていく。
「君の組織の中での立ち位置は?」
「幹部」
「…貴方の好きな食べ物。」
「刹那くんが作ってくれるフカヒレ料理」
「何歳?」
「25」
「刹那は?」
「23」
さすがに即答すぎてちょっとキモい……
「はぁ、いいよ。通りな。」
玄関戸を開けると、常闇が現れた。
「ただいま~」
ドアを潜ると、吊り気味の目の下は、隈がかなり酷かった。
「おかえり。てか早くリビング来て。まぁまぁ重大なことあるから。」
「はいはい。」
ーーーーーーーー
「それで、重大発表っていうのはこの女の子のこと?」
常闇がそういう。
どうやら、常闇にとってはそこまで重要ではなさそう。
「そうそう。物分かりがよくて助かるよ。」
少し煽りをこめて、常闇に喋りかける。
「一応オレより年下なんだよね?輪廻くん???」
そう突っ込まれる。
「あ…えっと、よろしく、?」
「よろしくね、オレは常闇。どう呼んでくれても構わないよ。」
「あ、じゃあ常闇さんで。」
軽く挨拶を済ませると、常闇さんは素早くどこか別の部屋へと移動した。
「常闇さん、どうしたんですかね。」
そう問いかけると、月詠さんがこう言った。
「ん~、風呂場じゃない?どうせ任務で返り血でも浴びたんでしょ~」
血、そう言われて私は少しの間固まった。
「えっ、と、血、ですか。」
私がいうと、はっとしたように輪廻さんが付け足した。
「いや、あの、その、ね?ほら、そういうお年頃なんだよ月詠クンは。ほら、汚れだよ、汚れ。」
絶対何か誤魔化されている。
ま、どうでもいいけど。
コメント
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ああ、これ第1話…一気に読んじゃった。主人公の境遇があまりにも重くて、胸が締め付けられるような気分になったよ。それでいて死の間際の「水母になりたい」とか、神様との軽妙なやりとりとか、諦観とユーモアが混ざった独特の語り口に引き込まれた。転生先で出会った輪廻と月詠、優しい瞳に「それだけで十分すぎるほど幸せ」って思えるところ、すごく切ないけど同時に希望も感じた。輪廻と月詠、名前の付け方も洒落てるね。この世界のルールや組織の正体、まだまだ謎だらけで続きが気になる。