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coco🌹🫶
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#コメディ時々暗闇
奏音•*¨*•.¸¸♬︎💙
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#妖怪
百はな🍑
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スメラは周囲を警戒しながら、マンションのエントランスホールを抜け、外へ出た。非常事態宣言の影響で、通りに人影はなかった。つい先ほどまで奉祝に沸いていた王都が、嘘のように静まり返っていた。その静寂を破るように、重い金属音が響いた。
「ガシャン、ガシャン――」
警備ロボットだ。スメラは足を止め、とっさに街路樹の茂みへ身を潜めた。だが、その瞬間。警備ロボットの頭部センサーが赤く点滅した。機体が動きを止め、ゆっくりと茂みの方へ向きを変えた。
『不審者ヲ検知』
赤い走査光が、茂みの奥をなぞっていく。スメラは息を殺した。
『対象ヲ確認。直チニ捕獲セヨ』
次の瞬間、けたたましい警報が街中に響き渡った。
「ウゥゥゥ――ッ!」
周囲を巡回していた警備ロボットが一斉に進路を変え、スメラへ向かってくる。さらに上空では、監視ドローンがサーチライトを照射した。
『逃走者ヲ確認。位置情報ヲ軍ヘ送信』
「しまった……!」
スメラは茂みから飛び出した。
背負っていた弓を構え、素早く矢をつがえる。
弦を引き絞り、狙いを定めた。
「ヒュンッ!」
放たれた矢は、監視ドローンのカメラを正確に貫いた。
「バチッ!」
火花が散り、機体は制御を失って墜落した。
だが、警備ロボットの追跡は止まらない。
三体、五体――。
路地の向こうから、さらに増援が現れた。
「囲まれる!」
スメラは腰の護衛用ロッドを抜き放った。
起動と同時に、先端から青白い光刃が伸びる。
迫ってきた一体の脚部を狙い、鋭く振り抜いた。
「ギギィンッ!」
鋭い金属音とともに装甲が裂け、警備ロボットの巨体が大きく傾いた。
スメラはすかさず機体を蹴り倒し、その反動を利用して身をかがめた。
直後――。
「ダダダダダッ!」
背後から銃弾が降り注いだ。
倒れたロボットの装甲に次々と弾丸が命中し、青白い火花が激しく飛び散る。
で捕まるわけにはいかない……!」
スメラは地面を蹴り、弾かれるように裏路地へ飛び込んだ。
背後で警備ロボットの駆動音が唸りを上げる。
だが、振り返る余裕はない。
建物の壁に沿って駆け抜け、曲がり角を次々と抜けていく。
目指すのは、地下組織のアジト。
やがて、建物の隙間からセリッテ大通りが見えてきた。
スメラは周囲を素早く確認すると、通りの片隅へ駆け寄った。
そこには、地下通路へと続くマンホールがあった。
彼女は膝をつき、重い鉄製の蓋に両手をかけた。
「お願い……間に合って!」
渾身の力を込め、蓋を持ち上げた。
内部には、鉄製の梯子が取り付けられている。
スメラは蓋を閉める間も惜しみ、梯子を伝って降り始めた。
一段、また一段。
地上の警報が遠ざかっていく。
だが、そのとき。
「ガシャンッ!」
頭上で金属音が響いた。
追跡してきた警備ロボットが、開いたマンホールの縁に立っていた。
『逃走者ヲ確認。捕獲措置ヲ実行』
機体の腕部から、細い金属製の電極が伸びる。
「バチバチッ!」
青白い放電が走った。
電極が鉄製の梯子に触れた瞬間――。
「きゃああっ!」
強烈な電撃が、梯子を握るスメラの両腕を襲った。
視界が白く染まり、遠くで響く警報の音が、次第に薄れていった。
暗闇の中で、声がした。
「スメラ……スメラ……」
懐かしい、優しい声だった。
その声に導かれるように顔を上げると、そこには、穏やかな笑みを浮かべたリヴァンが立っていた。まだ、赤黒い眼の異変が表面化する前のリヴァンだった。いつの間にか、周囲の景色が変わっていた。
執務室の窓から差し込む夕日が、机いっぱいに広げられた資料を黄金色に染めている。
「これから、国王陛下から任されたグリムスラム区域の復興計画をまとめるんだ」
「そうですか。でも、リヴァン。今日も朝から、ほとんど休まずに働いているじゃありませんか」
スメラは苦笑しながらティーカップを用意し、リヴァンのお気に入りの紅茶を淹れ始めた。
「最近、少し働きすぎですよ。たまには、ゆっくり休まれてはいかがですか?」
リヴァンは書類から顔を上げ、照れくさそうに笑った。
「大丈夫だ。この国の復興を、一日でも早く成し遂げなければならないからな」
そして、冗談めかして付け加えた。
「俺の代わりなんて、そう簡単には見つからないだろ?」
「もう……。そういう問題じゃありません」
スメラは呆れたように笑い、湯気の立つ紅茶をそっと机に置いた。
「でも、あなたが倒れたら、この国は誰が支えるんですか? 毎晩遅くまで仕事をしているんですから、少しはご自分の体も大切にしてください」
その言葉に、リヴァンはふっと笑みを和らげた。
「だから、君が必要なんだ。スメラ」
真っすぐな眼差しが、彼女を見つめる。
「君がそばにいると、不思議と迷わずにいられる。だから……ずっと、そばにいてもらえないか」
「……ずっと、ですか?」
「ああ。できれば、これからも」
思いがけない言葉に、スメラは頬を赤らめた。
それは、秘書官として必要とされているという意味なのだろうか。
それとも――。
「そ、そんなことを言っても、休憩は取ってもらいますからね……。はい、紅茶です。熱いので、少し冷ましてからお飲みくださいね」
「ははっ。君にはかなわないな」
リヴァンは小さく笑い、ティーカップを手に取った。
そして、何気なく紅茶を口に含んだ。
「あちっ!」
「もう、リヴァンったら! 熱いって言ったじゃないですか!」
スメラは慌ててテーブルの上に水の入ったグラスを置いた。
「ちゃんと私の話を聞いてください。まったく、もう……」
「すまん、すまん。つい、考え事をしていてな」
リヴァンは照れくさそうに笑った。
そんな彼を見て、スメラも思わず笑みをこぼした。
そのときだった。
コン、コン。
執務室の扉がノックされた。
「リヴァン閣下。ゼムでございます。ご報告に参りました」
「ああ、入ってくれ」
扉が開き、情報管理室長ゼムが姿を現した。
彼女は数枚の報告書を抱え、リヴァンの机へ歩み寄った。
「西のエルフバリア塔における衛星監視網の整備が完了いたしました。監視システムの接続試験も終了し、現在のところ異常は確認されておりません」
「そうか。予定より早かったな」
「はい。技術部門との調整を前倒しで進めました。詳細な運用報告につきましては、こちらにまとめております」
ゼムは報告書を差し出した。
リヴァンは資料に目を通し、満足そうに頷いた。
「よくやってくれた、ゼム。君の調整力にはいつも助けられている。これで万が一、西のエルフバリア塔に異変が生じても、早期に察知し、西の島エルフィオンの安全を守るための対策を講じられる」
「ありがとうございます、閣下。異常を検知した際は、官邸の危機管理室にも即座に警報が届く仕組みとなっております」
「そうか。島民の命に関わる重要な設備だ。引き続き、万全を期してくれ」
「かしこまりました」
ゼムは恭しく頭を下げた。その口元に、わずかな笑みが浮かんだ。だが、顔を上げた彼女の視線が、ふとスメラへ向けられた。スメラの頬には、まだ赤みが残っていた。さらに、机の上には二つのティーカップが並んでいる。
「おや。お取り込み中でしたか?」
「い、いいえ! そんなことはありません!」
スメラが慌てて否定すると、リヴァンは苦笑した。
「ちょうど休憩していたところだ。ゼム、君も少し休んだらどうだ? スメラ、ゼムにも紅茶を淹れてやってくれ」
「お気遣い、ありがとうございます。ですが、このあと部内会議が控えておりますので」
「そうか。ご苦労だった。ゼム、あまり無理はするなよ」
「……はい。ありがとうございます、閣下」
ゼムは静かに微笑んだ。その表情には、どこか嬉しそうな表情が浮かんでいた。しかし、次の瞬間、彼女の視線は再びスメラへ向けられ、微笑みが、ほんのわずかに陰った。
「それにしても、スメラ秘書官は、閣下からずいぶんと信頼されているのですね」
「えっ?」
「いえ。閣下のおそばで、こうして細やかにお世話をされているものですから」
丁寧な口調だった。
だが、その言葉には、どこか棘があった。
「……ゼム室長?」
「何か?」
ゼムは何事もなかったかのように微笑んだ。
「いえ……」
スメラは言葉を飲み込んだ。
ゼムは再びリヴァンへ向き直る。
「それでは閣下、私はこれで失礼いたします。衛星監視網に関する追加報告が入りましたら、速やかにお知らせいたします」
「ああ、頼んだ」
「かしこまりました」
ゼムは一礼し、執務室を後にした。
扉が静かに閉まる。
スメラは、わずかに眉を寄せた。
(今の言い方、何だったのかしら……?)
「どうした、スメラ?」
「いえ……何でもありません」
リヴァンは不思議そうに首を傾げた。そして、再び机の上の資料へ視線を落とした。しばらく、紙をめくる音だけが執務室に響いていた。だが、ふと、リヴァンの手が止まった。
「……スメラ」
「はい?」
「時々、妙な感覚に襲われることがあるんだ」
「妙な感覚……ですか?」
「ああ。胸の奥で、もう一人の自分が囁いているような……そんな気がする」
スメラは驚いたように目を瞬かせた。
「リヴァン……それ、どういう意味ですか?」
リヴァンはしばらく黙り込んでいたが、やがて小さく首を振った。
「……いや、忘れてくれ。きっと疲れているだけだ」
「本当に大丈夫なんですか?」
「ああ。心配ない」
そう答えるリヴァンの笑顔は、いつもと変わらず穏やかだった。スメラは心配そうに彼を見つめていたが、やがて優しく微笑んだ。
「……わかりました。でも、無理だけはしないでくださいね」
そして、少し照れくさそうに続けた。
「大丈夫です。私は、ずっとリヴァンのそばにいます」
リヴァンが顔を上げる。
「だって私たち、孤児院の頃から同じ景色を見て、同じ夢を追いかけてきたじゃないですか」
リヴァンは静かに目を閉じた。その口元に、安堵したような微笑みが浮かぶ。
「いつもありがとう。スメラ……」
その言葉が、いつまでも耳に残っていた。やがて、夕日に照らされた執務室が、ゆっくりと白い光に包まれていく。机も、書類も、窓の向こうの景色も、少しずつ輪郭を失っていった。
そして、リヴァンの姿までもが、光の中へ溶けていく。
(リヴァン……?)
スメラは思わず手を伸ばした。だが、その手が彼に届くことはなかった。
「スメラ! スメラ! しっかりしろ!」
遠くから、誰かの声が響いた。
(誰……?)
「スメラ! 聞こえるか!」
聞き覚えのある声だった。その声に導かれるように、スメラの意識はゆっくりと現実へ引き戻されていった。まぶたの裏に、淡い光が差し込んでくる。遠くで、誰かが話している。規則正しい電子音。かすかに聞こえる機械の作動音。夢の中で見ていた夕日に染まる執務室は、もうどこにもなかった。
(リヴァン……)
スメラは、無意識に右手を伸ばそうとした。
しかし、その瞬間、腕に鈍い痛みが走った。
「……っ!」
思わず顔をしかめる。身体が鉛のように重い。
指先には、まだ痺れるような感覚が残っていた。
「スメラ! 聞こえるか?」
再び声がした。
スメラは重たいまぶたをゆっくりと開いた。
ぼやけた視界の向こうに、人影が浮かび上がった。
やがて、その輪郭が少しずつ鮮明になっていった。
「ラッセル……?」
「気がついたか!」
ラッセルが身を乗り出した。
「よかった……。なかなか意識が戻らなかったから、心配したぞ」
「私……どうして……?」
スメラは掠れた声で問いかけた。記憶が途切れ途切れに蘇ってくる。
王都のセリッテ大通り。
頭上を旋回する警備ドローン。
迫ってくる警備ロボット。
そして、地下へ続くマンホールの梯子を下りていたとき。
(電撃……!)
スメラの表情が強張った。咄嗟に身体を起こそうとしたが、全身に力が入らない。
「無理に起き上がらないで」
傍らから、女性の落ち着いた声がした。軍医リアナだった。彼女はスメラの腕に巻かれた血圧計を確認すると、傍らの医療モニターへ視線を移した。
「血圧、脈拍ともに安定しているわ。意識もはっきりしてきたようね」
リアナはスメラの顔を覗き込み、穏やかに問いかけた。
「スメラ、私の声が聞こえる?」
「……はい。聞こえます」
「よかった。手足に痺れや痛みはある?」
「少し。指先が痺れて……身体が重いです」
「電撃を受けた影響が残っているのね。今は無理をしないで。しばらく安静が必要よ」
リアナはそう告げると、スメラの身体をそっと寝かせ直した。
「エルフエナジードリンクを飲めば、また回復するんじゃないのか? スメラは俺と一緒にギル・グラギラスと戦ったときも、何度となくあのドリンクに救われてきたんだ」
ラッセルの問いに、リアナは静かに首を振った。
「確かに、エルフエナジードリンクには損傷した組織を修復する力があるわ。神経組織も例外ではない。でも、今回は電撃によって、神経の信号伝達に異常が生じている可能性があるの」
「組織や神経が修復されても、すぐに元どおり動けるわけではないのか?」
「ええ。ドリンクの効果で回復は進んでいるけれど、神経や筋肉の働きが正常に戻るまでには、もう少し時間が必要なの」
「……そうか。あのドリンクでも、すぐに治せるとは限らないんだな」
リアナは静かに頷いた。
「どれほど優れた回復薬でも、万能というわけではないわ。幸い、スメラの意識ははっきりしているし、容体も落ち着いている。今は無理をさせず、回復を待つことが大切よ」
ラッセルはベッドに横たわるスメラへ視線を移した。
「……すまなかった、スメラ。俺がアジトへ来てくれと頼んだばかりに、こんな危険な目に遭わせてしまった」
ラッセルは申し訳なさそうに目を伏せた。
「そんな。ラッセルのせいじゃないわ。私が警備ロボットに見つかってしまっただけ」
「だが、一歩間違えれば命を落としていたかもしれない。無事に意識が戻って本当によかった」
その声には、隠しきれない安堵がにじんでいた。
スメラは小さく微笑んだ。
「……ありがとう、ラッセル」
「ああ。だが、今は何も考えず、ゆっくり休んでくれ」
ラッセルはそう言って、ようやく穏やかな笑みを浮かべた。
その言葉に、スメラは小さく頷いた。そして、ゆっくりと周囲を見回した。薄暗い照明に照らされた天井。見覚えのあるコンクリートの壁。整然と並ぶ通信機器や医療器具。空調設備の低い作動音が、静かな室内に響いている。
(ここは……)
スメラはようやく、自分がどこにいるのかを理解した。地下組織のアジトだった。どうやら、仲間たちが自分を救い出してくれたらしい。胸の奥に、じんわりと安堵が広がっていく。だが、ふと脳裏に浮かんだのは、夢の中で見たリヴァンの笑顔だった。
(あの頃のリヴァンは、あんなにも優しかったのに……)
スメラはそっと目を伏せた。あの温かな時間を、もう一度取り戻したい。その思いだけは、今も変わらなかった。スメラは簡易ベッドに横たわったまま、ゆっくりと室内を見渡した。
部屋の中央では、白髭を蓄えた知識人ハルベルトが、光学パネルに映し出された王都の地図をじっと見つめていた。その隣では、情報技師ノエルが複数のディスプレイを素早く操作し、王都各地から送られてくる情報を解析している。
「……皆さんも、いらしたんですね」
スメラが小さく声をかけると、ハルベルトが振り返った。
「おお、スメラ君。意識が戻ったのか。よかった……。具合はどうだね?」
ハルベルトは光学パネルから離れ、ベッドのそばへ歩み寄った。
「ありがとうございます、ハルベルトさん。まだ少し身体が痺れていますが、大丈夫です」
「無理はいかんぞ。君は電撃を受けたばかりなのだからな」
ハルベルトは心配そうに眉を寄せた。その声を聞き、ノエルもディスプレイから顔を上げた。
「おっ、スメラさん! 目が覚めたんだね。いやあ、よかった! 監視映像で警備ロボットの電撃を受けたのを見たときは、どうなることかと思ったよ」
「ノエルさん……。私、電撃を受けたところまでは覚えているんですが……その後、どうなったんですか?」
「ああ、あの後ね。君が動かなくなったのを見て、慌てて警備ロボットの制御系統に割り込んだんだ。何とか動きを止められたけど、最初の電撃には間に合わなくてさ……。ごめんね」
「そうだったんですね……」
スメラは胸元に手を添えた。
「でも、ノエルさんが止めてくださらなかったら、どうなっていたかわかりません。本当にありがとうございます」
ノエルは照れくさそうに笑った。
「いやいや、そんなにかしこまらないでよ。仲間なんだからさ。困ったときはお互いさまだって!」
そのやり取りを聞いていたジャーナリストのカザンが、ソファーから立ち上がった。
「まったく、無事でよかったぜ。王都の警備体制がここまで厳しくなっているとはな」
隣にいた『週刊レガリア』編集長オルドリッジも、険しい表情で頷いた。
「警備ロボットが市民に危害を加えるとは……。政府は、いったい何を守ろうとしているのか」
オルドリッジはスメラへ視線を向けた。
「ですが、今はあなたの身体が第一です。無理をしてまで会議に参加する必要はありませんよ」
「ありがとうございます。でも、私も皆さんと一緒に、これからのことを考えたいんです」
スメラが答えると、入口付近に立っていた傭兵ヴァルドが低い声を発した。
「……無理はするな。倒れられちゃ、こっちも困る」
ぶっきらぼうな言い方だった。
だが、その表情には、彼なりの気遣いがにじんでいた。
隣にいた元官邸警備長のカーンも、静かに頷いた。
「スメラ。今は俺たちが周囲を警戒している。ここでは安心して休んでくれ」
誰もが、それぞれの立場で王国の未来を案じる中、今は、自分の身を心配してくれている。
スメラの胸の奥に、温かなものが広がっていった。
「カーン……そして、皆さん。ありがとうございます」
スメラは小さく息を吐いた。
(リヴァンを赤黒い眼から救い出し、王国を取り戻すためにも……私は、まだ諦めるわけにはいかない)
そのとき、ハルベルトが静かに口を開いた。
「スメラ君。君の気持ちはよくわかった。だが、身体に負担をかけてはいかん。辛くなったら、すぐに申し出るんだぞ」
「はい。ありがとうございます」
ハルベルトは頷くと、光学パネルの前へ向き直った。
「さて……皆、よろしいかな」
室内の視線が、一斉に彼へ集まった。
「これで全員揃った。まずは、現在の王都の状況を整理しよう」
低く、落ち着いた声が室内に響く。
「これより、作戦会議を始める」
それまでの和やかな空気が、静かな緊張へと変わっていった。
コメント
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わあ、今回もすごくドキドキしました……! 冒頭の警備ロボットからの逃亡、電撃で意識を失うまでの一連の流れが本当に緊迫感があって、息を止めて読んでいました。そして何より、意識を失っている間に見たリヴァンとの回想が切なくて……。まだ何も壊れていなかった頃の優しいやり取りと、紅茶を「あちっ!」ってなるリヴァンの可愛さに、胸がぎゅっとなりました。ゼム室長の含みのある態度も気になりますね……! 次の展開が待ち遠しいです!