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ジュンパクは背後を取り鎖鎌を投げた。
だが、その攻撃に気づいた金色のブルゼは、鎌が飛んでくる方向を素早く読み取り、その身を躱して空中に跳び上がった。
鎌は空気を裂き、速さと威力を示しながらも、金色のブルゼはその狡猾な動きで見事に攻撃をかわした。
鎌は壁の死体に突き刺さり力無く死体ごと下に落ちた。
「アニキ!」
「……行く!」
金色のブルゼの機敏な動きに対抗すべく、魔法で身体能力を強化し、その強化された身体を駆使し、力強くジャンプして空中に舞い上がり、太刀を手に取り、金色のブルゼに向かって振りかざす!
「……!?」
しかし、助走をつけて振りかざした太刀は、その前二本の足によってシラハドリされた。
そして、別の足で太刀の腹部を容赦なく殴られ、その衝撃で太刀は折れてしまった。
ありえない……この太刀は魔物の素材を使って強化していて、それこそ普通の岩を斬っても刃こぼれしないくらい強くなっている!
それすらも元の世界からしたら現実離れしているのだが目の前の魔物はそれを受け止め折ったのだ。
そのまま折れた太刀と一緒に落下し着地する。
「……“化け物”め……」
その言葉を発した瞬間____空気が変わった。
「オオオオォォォォ!」
「……!?」
「っ!?」
ブルゼが大声で吠えると、周囲の空気が圧倒されるような重みで満たされた。
明らかに怒っている……いや、激怒と言う言葉が適切だ!
ブルゼは高速で上空を舞い__
「……ッ!?」
俺をめがけて体当たりしてきた!
純粋に速度を利用した体当たり……
威力も凄まじく装備についている緊急防御魔法が発動するが弾き飛ばされ水平に飛んでいく自分の身体……受け身をとって立ち上がるが既にブルゼは頭上を飛び回って攻撃の届かないところにいた。
「イィイイイイイ!!」
ブルゼの動きを目で追っているが、その速さによって視覚追尾効果が発生し、周囲の景色が一瞬にしてぼやける。
奴が今攻撃を仕掛けて来ないのは見られているからだろう……気を抜いて見失えばまた攻撃がくる!
「アニキ!大丈夫!?」
「……大丈夫」
ジュンパクも理解していてブルゼを目で捉えながら声だけで無事を確認する。
「アニキは魔皮紙でミーを援護して!」
ジュンパクは金色のブルゼに向かって何回か鎌を投げるが全て避けられ続ける。
だが、ジュンパクはそんな無意味な事をしない、よく見ろ……
そこか!
「【炎弾】!」
魔力を込め魔皮紙を使って炎の弾を発射する。
ジュンパクがしてくれていたのはパターンの生成だ……ブルゼが空中を飛び回っている先に鎌を投げ避け方の癖を見抜いて空中の動線のパターンを作り出してくれた、なので俺はそこへ攻撃を置くだけ……
そして思った通り、俺の放った炎の弾はブルゼに見事命中した!
「イ!?」
ブルゼは短い悲鳴をあげたが、それはきっと驚きの声だろう。
「アニキ!危ない!」
「……しまっ__」
一瞬だった。
魔法が当たった事で俺が気を抜いてしまったのかブルゼはそのまま真っ直ぐ、小細工なしで体当たりをまたして来たのだ!
「っ!!」
先程よりも強烈な一撃!
装備の防御魔法のキャパシティを超え、防御魔法は砕けまともに体当たりを受けてしまった。
当然、守るものが無い状態なので骨が折れ内臓が傷付きながら俺は勢いよく死体の壁に背中から衝突した。
壁の死体というクッションがなければ潰れていたかもしれない……
「アニキ!大丈夫!?」
ジュンパクがこちらに走ってくる……ダメだ!
俺から見ても隙だらけのジュンパク。
「……」
必死に声を出したが息苦しさで声が出ない!
「っ!」
目の前に居たジュンパクが一瞬で視界から消えた……弾き飛ばされたんだろう____だが壁に激突する音は聞こえなかった。
「ガハッ、すごい攻撃だね……でも“ミーの隙を見逃さないでくれてありがとう”」
!?
恐らくワザと作った隙。
ジュンパクへのダメージは俺より酷くなく、いつの間にかブルゼの足に鎖を巻きつけていて引っ張ったので、上に飛び上がろうとした金色のブルゼが地面に叩きけられる。
「ア??」
「まったく……この方法ってなんでこんなに決まるかな!」
「……すごい」
あの、一瞬、金色のブルゼがどう動くか計算した行動だったのだ。
ブルゼは鎖からの解放を試みるが、その足には鉄の拘束がしっかりと絡みついていた。
「無駄だよ、この武器に捕まったらどんなやつでも逃げれない……アニキ!ミーはこのままコイツを移動させるから魔方陣を発動させて!」
「……了解」
小さい声だが俺の声が聞こえたのだろう。
ジュンパクは黄金のブルゼに向き直り__
「さぁ、散歩の時間だぞゴラ!ミーのあばら骨を、何本か折った報いは受けてもらうからな!」
「オオオオォォォォ!?!」
金色のブルゼを乱暴に引き摺りながら出て行った。
「……」
軽く口に血が溜まり、吐き出しながら魔方陣の中心に魔力を流す。
その結果、魔法陣は輝き始め、下がると空へと光の柱が立ち上がった。成功だ。
「……これ……で……」
そこまで言って俺は意識を手放した。