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皆様、こんにちは。芽花林檎です。今回も、続きに参りたいと思います。少女と少年の関係の深まりにも少し注目してみてください。
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翌朝、僕は、また少女に話しかけてみた。この女の子と話しているととても楽しい。偶然の一致だろうか。本当に、趣味も、好きな食べ物も、よく合ったのだ。僕たち二人とも、趣味は動画作成、創作活動。僕は昔からパソコンが大好きで、それに関連していろいろソフトウェアの勉強をしていたのだが、少女もそれが好きであったらしい。そこから話が派生して、好きな動画のジャンルとか、最近はどういう活動をしているのかということで盛り上がったりもした。好きな食べ物は、二人ともオムライスだった。少女が、お気に入りのお店を紹介してくれて、今度一緒に行かないかという話になっていた。昨日の帰り道、いつもなら退屈で仕方がない帰り道だけれど、本当に楽しくて、話に花が咲き、こんなに盛り上がれたのは久しぶりだなと感じたりもした。でも、同じところばかりでなく、違うところもたくさん見つけた。それがまた楽しかった。自分とはこんなところが違うのかと知るのも、人付き合いの醍醐味なんだろうなと思ったりした。
そんなこんなで、僕は再び少女に話しかけた。ふと、その横顔を見て、本当に綺麗だなと再び思った。漆黒の髪をツインテールでまとめ、髪には桃色のピンを付けていた。横顔が教室に差し込む穏やかな陽光に照らされて、その肌が柔らかく光りを反射していた。瞳には、銀河の煌めきが宿っていた。
「おはよう。」僕はそう話しかけた。すると、少女は僕に気が付き、
「おはよう。」と返してくれた。その飾らないまっすぐな笑顔を見て、僕は少し胸が熱くなった。
「ねぇ、今日一緒にお昼ご飯食べない、またあなたとお話ししたいな。」僕は、少しの勇気を出して少女にこう言った。すると、少女はとてもうれしそうな顔で、こう言った。
「うん、いいよ、もちろん。私、あなたといるととっても楽しいんだ。」そんな風に言ってくれて、僕は胸の奥底にある感情を自覚した。この感情が何なのかはわかる気がする。文学にずっと親しんできた。その感情を言葉にできてしまうのかもしれない。でも、今は、まだ曖昧なままでいいと思った。曖昧なまま、過ごせばいい。いつか、その感情を言葉にできたら、それでいいんだ。僕はそんな風に思ったのだ。
恐ろしいほど退屈な、数学の授業がまた始まってしまった。今は三時間目。お昼時までには時間がある。でも、なぜだかしらないけれど、最悪なことに、数学の授業が四時間連続なのである……..こんなことありえるのか?一日に集中するとか!僕にとっては地獄なのだが!心の奥底で悲鳴を上げていたが、それは周りの子たちも同じだったらしい。さすがに苦痛にもがいている様子だった。ある子は眠気と格闘し、ある子は先生から容赦なく出される問題に頭を抱え込んでいた。この人は本当に鬼なのか…..とても柔和な人だけれど、問題の出し方に本当に人間味がない。先生はこう言った。「えぇ、今日このような事態になってしまったのはですね、先生方がまるで大勢で一緒に海水浴に行ってしまったかのようにですね、お休みなのですよ。それも別々の理由で。こんなことあるのかと確認しても、そうでした。ですから、皆さんが心底大好きな(誇張表現)数学の授業で、午前中をつぶしたいと思います。」なんでだー!!!僕は心の奥底で叫んだ(二回目)。「はい、では次の問題へ進みます。今度は…..また難問ですね。この場合、三角関数の半角の公式を用いて、一つの角、すなわち余弦に統一して方程式を解き進めましょう。そうすると、これは二次方程式の解の配置の問題になりますから、判別式と軸とこの値を代入したときの条件を求め…….あ、解と係数の関係を用いてもいいですよ」先生の言葉が、お経に聞こえた。早くお昼になってくれ…….僕は、ノートを必死に取りながら、ただ時が過ぎるのを待った。拷問に相違なかった……
お昼時。僕たちは、屋上のベンチの上に座っていた。はぁ、やっと終わった……..僕は解放感に満たされていた。少女にこのことを話したら、少女も、「うん、大変だったね。私もぐったり。」と答えた。しばらくお話をした後に、少女が、ぽつりと、こんなことを言った。
「昨日、私、今日の未来を見たの。」
その言葉を聞いて、僕は少し興奮気味に聞いた。
「どんな未来だったの?」
すると、そんな僕の様子とは裏腹に、目の奥の小さな影を揺らせて、どこか寂し気な笑顔を浮かべてこういった。
「…….言わないほうが、いいかな。ごめんね、無責任だよね、私。」
その言い方が、逆に胸をざわつかせて、ふいに言葉が口をついて出てしまった。
「怖い、未来だったの?」
少女は少しだけだまり、やがて小さく頷いた。
「でもね、少し”変”だったの。私の未来視って、映像で見える、ってこの前話した気がするんだけれど、その映像が途絶えちゃったんだ。」
「途切れたの?」
「うん、いつもは最後まで見えるんだよね。その人の未来の、ひとつの小さな物語の区切りまで。でも、今度のはね、途中で真っ白になって、音だけが残ったの。」
「音?」なんだろう。妙に僕の中の何かとその言葉が結合していく気がした。
「硝子が割れる音。それから、誰かがすごく遠くで叫んでいる声。」その瞬間、僕の胸の温かさが冷えた。少女の声が震えている。こんなこと言うのはきざかもしれないけれど、僕は少女に言葉をかけた。
「また何かあったら、僕に言ってよ。無理はしなくていいから。何か、解決できる手立てがあるのかもしれない。貴方が、もしその夢で苦しんでいるのなら。」
少女は驚いたように目を見開き、少し笑った。その笑顔は、ほんの少しだけ寂しそうだった。
「ありがとう。貴方って、やさしいのね。」
その夜、僕は夢を見た。気が付いたら、夢の世界の中にいたんだ。でも、そこは、僕の知っている場所ではなかった。僕の知っている、「現実世界」ではなかった。ところが、なぜだろう。どこか、懐かしいにおいがしたのは気のせいだろうか。空は灰色に染まり、雪のような白い粒が降ってくる。壊れた建物があたり一面中に広がり、音がなかった。風が吹くたび、焼き焦げたにおいがする。誰もいない。ただ、荒野が続く。何もない、雪で埋め尽くされた大地が、どこまでも広がっていた。遠くで、何かが倒れる音がした。振り返ると、黒い影が地面に崩れ落ちていき、そして溶けて消えた。その瞬間、不気味な音を聞いた。「パリン……」空虚な大地に、ただ一つ響いた音。僕は確信した。あれ、この音、聞き覚えがある。あれ、なんでだろう。あっ、そうか、これが今日少女の言っていた……..あの、硝子、の音だった。
はっ、はぁ、はぁ。荒い息とともに、僕は飛び起きた。気が付くと、僕は自分のベットの上にいた。心臓が激しく脈打っている。「…….夢、だよね。」そう呟いて、窓から外を見た。満月が浮かんでいる。一瞬、あたりが白く見えた。あの、白い荒野に……僕は、その想像を急いで取り払った。夢の話なんだ、あんなことが現実にあるわけないよ。でも、少し不思議だった。本当に、あの夢は、空想、なのかな。僕はそんな考えを心の奥底へしまって、再び眠りに落ちた。
翌朝、教室にいると、少女はすでに席にいた。僕は、その少女の元へ行った。すると、少女は、ほっとしたように微笑んだ。
「よかった、来てくれたんだね。」僕は、その言葉の意味を理解できなかった。どういうことだ?
「どういうこと?」
「ううん、何でもない。ただ、気になっただけ。」なぜだろう。その言葉が、僕の心の奥深くに刺さった。そう言えば、少女の言っていることは、未来視なんだよな。夢の未来のことを見ることはできるんだろうか。空想、を視ることなんて可能なんだろうか。あれ、おかしいな、もしかすると……..いやいや、そんなわけないだろう。僕は、その考えを取り払って、少女のほうを再び向いた。すると、少女はこんな言葉を言った。意味は分からなかったけれど、その言葉を聞いた瞬間、視界が揺らいだような気がした。
「大丈夫だよ。まだ、時間はあるから。」
2026/03/15 芽花林檎