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『 嫌いじゃないよ 』
君は澄んだ瞳を僕に向けて
そう言った
浅い夢がいつも僕に悪夢を見せる
夢とは望んでいないものを見せたがる
怖いものや好きなもの
嫌いな物や輝かしいもの…
最近、僕は思い出したくないものをみる
忘れてしまえば楽なことなのに
脳はそれをずっと覚えている
「………」
夢の中にいる時
喉に何かが詰まったように声が出ない
その場の椅子からも動けない
頼りになるのは視覚と聴覚だけ
見せられるのは
脳内に残る僕の記憶
そして夢の終わりに近づくと
それは砂のように消えていく
「馬鹿だねぇ、僕も貴方もとことん」
言葉を漏らし
涙をすることは
人間生きてるうちは毎日のようにある
感情があるから
ロボットやAIではないし
かと言って犬や猫
のように露骨ではない
人間とは難しい
面倒臭い生き物だ
でも僕もまた同じで
君もそのうちの一人だった
「私はね、優しい貴方が好きじゃない」
目を閉じながらそういう
僕は分からない
だから問い返す
「ならどんな僕が好きなの?」
悩むような素振りを見せて
優しく微笑む
「ん~…本当は努力家で面倒くさがりで良い人振ってるとこかな」
「それ悪口混じってない?」
すかさずそう言った
また彼女からもこう帰ってきた
「それは捉え方の問題ね」
「貴方はその言葉をマイナスと受け取ったならそうなんじゃない?」
「言葉の裏をかいてみなさいよ」
「理解力がなくてサーセンね」
冷たいように見えて
すごく温かい人
鮮明には覚えていないけれど
それが大切な会話だったことは覚えてる
夢のなかでの君は
僕に近しい存在だろう
僕が作り上げた君は
もはや君と言えるのかすら分からない
ある時
また同じ夢を見た
相変わらず身体は動かない
でも一つ
口が喋れるようになっていた
「君は夢の中ですら優しい人ね」
目の前にいる記憶が喋る
「貴方は相変わらずの減らず口だね」
こちらも負けずにそう言い返した
でも彼女も小さく笑ってこう言う
「お互い何も変わらないってことね」
「僕はもう大人だよ、貴方だけが子供なんだ」
「いいえ、大人と言うには変わってなさすぎるでしょう?」
煽るように僕に対して言葉を放つ
「中身は変わってない、身体だけデカくなった大きい子供みたい」
記憶とは厄介だ
「余計だよ、夢の中くらい優しくしてくれ」
「記憶なのにどうしろって言うの」
彼女はおかしそうに笑った
変にそーゆーところは解像度が高い
「…ねぇ、一つ質問していい?」
「自問自答するようなものじゃない」
夢の中なのに上手くいかない
なんとも腹立たしい
「黙って、お願いだから聞いてよ」
「なぁに」
彼女は理解したのか
静かに見つめた
「君は僕のことどう思ってたの?」
「正直に言って僕は君が好きだった」
すると
青色のハルジオンの柄が入った
ワンピースが優しく揺れた
風なんて無いくせに
「そう、私も嫌いじゃないよ」
「やっぱり好きとは言ってくれないんだね」
すると彼女はまたしても微笑んだ
先程よりも笑顔に笑って
「好きってたったの2文字で終わるでしょ?」
「嫌いじゃないだったらもっと今みたいにたくさん会話ができるじゃない」
「私は君と話すのが好きだからこそ」
「好きとは言ってあげないって決めたの」
そう彼女は嬉しそうに言った
「酷い人だ」
「偽善者に言われたくないわ」
そうして
その最期を夢に彼女とは会わなくなった
まさに一生の呪いというものとなった
リクエストok
ちなみに「うちのコを主人公にしたの作ってくれ」
とか全然⭕️
コメント
21件
え、なんか帰ったらすんごい物語が、好きです