コメント
2件
写真の出来上がりと、元彼氏が地団駄を踏む姿にわくわくしちゃうヾ(*>∀<)ノ゙キャハ
ドタキャンモデルの撮影よりもずーっと家族感があって素敵な撮影ができて良かったよ〜😊✨ やっぱり商品への想いやブランドを買ってくれるお客さんのことを考えてモデルを引き受けてくれた涼平さん達に勝るものはないと思うな‼️ 早く見てみたいです👀✨
そしていよいよ撮影がスタートした。
夏樹と流星が着替えを済ませると、優羽が二人のヘアを軽く直した。
元々イケメンの夏樹は、日焼けした肌と緩くウェーブがかかったライトブラウンの髪がとても魅力的だ。
アウトドアブランドのモデルと務めるには適任で、『peak hunt5』のウェアがよく似合っていた。
流星は、子役モデル用に揃えたウェアのサイズがぴったりだった。
優羽が着替えをさせながら「これから写真を撮るのよ」と説明をすると、詳しい意味はわかっていないようだったが、何かワクワクする事が始まるのだと知り目を輝かせていた。
とりあえず機嫌が良かったので優羽はホッとする。
井上は裕樹と田村と三人で、撮影に使うキャンプの設営を始めた。
紅葉した山や森を背景にテントを張り焚火をおこした。
カタログの撮影は、家族が森の中でキャンプをしているシーンをメインに撮影する予定だ。
優羽は夏樹と流星の準備を終えると、最後に用意したマフラーや帽子などの小物を二人に着用させた。
実際に新作のウェアにプラスしてみると、とても良い感じだ。
地味目のウェアの色合いが小物たちによってパァッと明るくなり、街着としての機能も充分見せている。
二人の準備が完璧の終わると、優羽は今度は自分の準備に取り掛かった。
管理棟の一室で着替えを済ませた後、メイクを整える。
メイクはあくまでもナチュラルなイメージを心掛け、カメラ写りが良いように少しだけ工夫をする。
今日の為に色々と勉強して来たのでその知識が役に立った。これでナチュラルメイクも自然に引き立ちカメラ映えするだろう。
最後に後ろで結んでいた髪を肩に下ろすと丁寧にブラッシングをした。すると優羽の柔らかい髪が肩にフワッと落ちて優しい雰囲気になり、優羽を一層魅力的に魅せていた。
それから優羽は、夏樹と流星に巻いたマフラーと色違いのものを首に巻き、流星に被せた帽子とお揃いの毛糸の帽子を被る。
この小物のお陰で『家族』という統一感が生まれるはずだ。
鏡に映る自分の姿をチェックした優羽は、心の中で「よし!」と呟くと外へ向かった。
優羽が撮影場所へ行くと、
「おーっ! 優羽さん、似合いますね!」
「お前アウトドア系結構似合うな」
井上と兄の裕樹が感心したように言ったので、優羽はホッとする。
奥でカメラの調整をしていた岳大が優羽をチラリと見た。優羽は『peak hunt5』のウェアがとても良く似合っている。
髪を肩まで下ろしたいつもとは違うヘアスタイルが、優羽を更に美しく見せていた。
岳大は一瞬頬を緩ませた後、再び機材のセッティングに集中した。
そしていよいよ撮影が始まった。
「ポーズはとらないで自由に動いていて下さい。とにかくリラックスしてナチュラルな感じでお願いします」
岳大がそう声をかけると、
「自由にって言われると、逆に緊張しちゃうなぁ」
父親役の夏樹が困ったように言う。すると田村が笑いながらアドバイスをした。
「夏樹さんはどっしりしたお父さん風に構えていていいですよー」
「それが難しいんだよねー」
夏樹はそう言って苦笑いをした。
その横で優羽も、ぎこちない笑顔を浮かべながら流星を膝に乗せている。
「優羽、顔がこわばっているぞ!」
兄の裕樹がからかうように言うと、
「しょうがないじゃない。だってモデルなんてやった事がないんですもの」
優羽は頬を膨らませて怒る。
その時、流星が優羽の膝の上からするりと降りた。そして焚火の前にしゃがみ込むと燃え盛る炎を珍しそうに見つめる。
その途端、優羽は急に母親の表情へ戻ってから流星に言った。
「これは焚火っていうのよ。お外でキャンプする時はね、この火でお料理をしたりお湯を沸かしたりするの」
「ふぅん。じゃあたけちゃんもおやまにとまったときはこのたきびでおりょうりしたんだね」
流星は初めて岳大に出会った時の事を思い出して言った。
「うん、そうよ。凄いわよね。あの大きなリュックの中には、お料理する道具からお布団まで色々入っているんだから」
流星は目をまんまるにしたまま優羽の顔を見上げると、嬉しそうに笑った。
その瞬間、岳大はシャッターを連写した。
母親と幼い息子が見つめ合う何とも言えない空気感を写真に収めたかった。
母と子の愛情が通い合う瞬間は、『peak hunt5』のカタログにどうしても載せたかった。
だから岳大は夢中になってシャッターを切る。
すると父親役の夏樹も少しリラックスして来たのか、立ち上がって焚火の傍に行くとコーヒーを入れ始めた。
夏樹はキャンプも趣味なので慣れた手付きだった。
その様子を興味津々で覗き込む流星、そしてその横で微笑んでいる優羽の姿はまるで本当の家族のようだった。
三人が自然体で微笑む瞬間を決して逃さないように、岳大は集中てシャッターを切り続けた。
そうして秋が深まった高原のキャンプ場では、かりそめの家族の素敵なキャンプシーンがいくつも記録されていった。
そして撮影は無事終了した。