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ふと、目が覚める。寝ぼけ眼で時計を見ると時刻はすでに6時過ぎ。ずいぶんと眠っていたみたいだ。窓から差し込む夕日が刻を告げている。教室全体が橙に染まり、僕を照らす。そうだ、早く帰らないと。部活動もやっていない僕にとっては、こんなに遅くまで学校にいることはそうない。きっと親も心配しているはずだ。席を立ち、速やかに教室を出ようと後ろを振り返った。すると、視界の隅に何かが写った。そこには……少女が立っていた。靡くカーテンに気にも留めず、ただ風に当たりながら、窓の向こうを眺めている。どうしてそこにいるのだろう。一体何を見ているのだろうか。というか一人寝ていたのを見られていたと思うと少々気恥ずかしくなる。そこで僕は彼女に声をかけた。今思えば、どうして声をかけたのだろう。恥ずかしかったからなのか、ただ彼女のことが気になったのか、咄嗟のことでよく覚えていないけど、とにかくこれが僕と彼女の出会い。僕の人生を大きく変えることになった、運命の分岐点。