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あれから一週間余りが経ち、私はすっかり元気になった。

ここに帰って来て初めての入浴が、それはそれは心地よかった。

お湯が張ってある大きめの浴槽に、薔薇の花びらが何枚も浮かんでおり、私が浸かりながら後ろからリエルが丁寧な手つきで髪の毛を洗ってくれた。

あんなにぽかぽかと温かく心地いいお風呂は久しぶりだったから、ついつい長く浸かってしまった。

上がると、真っ白でリボンがたっぷり使われたかわいいネグリジェを着せられ、髪の毛を乾かしてくれた。

次に、伸ばしっぱなしだった腰まで届く長い髪の毛と長めの前髪を切り揃えられ、爪などの身だしなみを整えられた。

それを終えると今度はドレスルームに行き、この何十着ものあるドレスの中から選んでくださいと言われたが、選べなかったのでお任せした。すると、花柄の薄桃のリボンやフリルがたっぷり使われたかわいらしいドレスが出てきた。そう言えば、私も五年前まではこんな感じのドレスを着てたなー、と思い出しながらされるがままに流された。

最後に髪型を結わえるとき、リエルは「どうなさいますか?」と聞いてくれた。何でもいいかな、と思ったが、突如してみたい髪型を思いついた。私はリエルにこう頼んだ。まず両側面の髪を三つ編みにして後ろで一旦結う。次に後ろ髪を三つ編みにして毛先から頭の方にくるくる回す。最後に、崩れないようにピンなどで留めたら完成だ。できあがったのは、両側面が横向きに三つ編みになったシニヨン。器用なリエルは、きれいに仕上げてくれた。「髪飾りもつけましょうか?」と聞かれたが、さすがに断った。

部屋はというと、これもどんな色合いにするかなど聞かれたが、好きな色もなかったので全部お任せにした。すると、お風呂から上がってびっくりした。部屋の内装が淡い桃色や白色になっていたのだ。曰く、私の瞳の色に合わせたとのこと。「嫌でしたか?」と聞かれたが、これはこれでかわいいので私としては気に入った。伯爵家では、自室と言うか、自分だけのスペースと言うものは使われなくなった古く狭いクローゼットしかなかったので、こういうきれいな広い部屋は慣れない。そう、広いのだ、とても。

そしてふかふかのソファーに座って読書していたときだった。

コンコンとノックがされ、「どうぞ」と言うとリエルが入ってくる。

「お嬢様、お客様がいらっしゃいましたが、お通ししますか?」

きっと彼だ。

私は本を片付けながら返事する。

「ええ、お通しして。それとお茶の用意もお願い」

「かしこまりました」

リエルはぺこりと一礼すると部屋を出て行った。

代わりにそのお客様が入ってくる。

ほらやっぱり。お客様――彼は、相変わらずの無表情で私に歩み寄ってきた。

「久しぶりだな」

「はい、お久しゅうございます。こちらにどうぞ」

私はにっこりと笑顔で彼を招き入れ、ソファーに座るのを促した。

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