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彼は私の向かい側のソファーに座った。
私は口を開く。
「今日来られたのは、魔法を教えてくださるからですよね?」
私の言葉に、彼は頷いた。
「ああ。だがその前に、伝えなければいけないことがある」
「何でしょう?」
私は首を傾げる。
「魔力を持つ者には、魔力暴走というものがつきものだ。お前も名前ぐらいは聞いたことがあるな?」
「はい」
私は頷いた。
伯爵家にいたとき、本で名前だけは見たことがある。
彼は表情を変えず、淡々と話す。
「魔力暴走というのは、ある一定以上の魔力を使いすぎてしまったり、あるいは何かのきっかけで魔力が暴走し、体の外に魔力が弾け飛んで、周りに被害が及ぶ。これは、魔法使いであれば誰でも必ず一回は起こってしまう現象だ。ここまでいいな?」
私はこくこくと頷いた。
すると彼は、私の瞳を覗き込む。
深海色の瞳が、じっと私を見つめた。
「そこで頼みがある。もしお前が魔力暴走を起こってしまっても、そんな気負わないでくれ。さっきも言ったが、魔力を持つ者であれば、誰でも起こることだ。そればかりは仕方がないから、起こってしまっても引きづらないでほしい」
わかったか?と聞いてくる彼に、私は頷いた。
ということは、彼も起こしたことがあるということだ。何だか意外だな。
「じゃあ練習を始める」
彼のその言葉に、私は気を引き締めた。
一番最初は、魔力を身体の中で循環させることから始まった。
その次に、身体の外に出す練習をするそうだ。この段階で魔力暴走が起きやすいらしい。
今日は二時間循環させる練習。
そして一時間練習をして、休憩をしてるときだった。
ああそう言えば、と私は彼に話しかけた。