翌日の朝――
「ふぁ〜あ… 眠っ…」
今日は、いつもよりちょっと早めに起きた。だから、とても眠たい。
まだベッドにいたい。だけど….
今日は、重要なテストがある日なんだ。どうしても良い点を取りたい。なぜなら…
“菜摘に自慢したい…!!”
ただこれだけだった。菜摘が勉強出来るのかは分からないけどね。
でも、良い点取ったよ!! って言ったら、「凄い!」って言ってくれるかも知れない。
いや、言ってくれるよな…?
その「凄い!」欲しさだけに今、一生懸命勉強している。
だから、今日も今からみっちり勉強するつもりだ。最終チェック、というやつだ。
今回は5教科のテスト。本気で勉強したから、たぶん良い点取れるはず…!
そう信じて、テスト直前の 最後の勉強を始めた。
・・・
――50分後
「よっし、終わったぁ…!」
これで全部の確認が出来た、と思う!
学校へ行く準備をして、家を急いで出た。
「….はぁあ..」
自分で良い点を取る!とは決めたものの、いつも出来てないから心配だ。
そもそも、僕はあんまり頭が良くない。応用が効かないんだ。
基礎は分かっても、いざ問題を解く! となると、途端に出来なくなってしまう。
これが「頭悪い」と言う事なのだろう。僕は、もう自覚できていた。
「(でも….)」
頭悪い。だからこそ!だからこそ、良い点を取りたいんだ…!
菜摘がいなかったら、こんなに本気で勉強なんてしなかっただろう。
勉強したって、どうせ良い点なんて取れない って諦めていたから。
だけど、今は違う..!
そんなすぐ諦めるような、前の僕じゃない!!
これは人のためだけにやっている訳でもない。全ては自分のためだ!
菜摘に話したいのもそうだけど、自分のために、今やっているんだ。
――ちょっとは勉強が好きになれたかな…?
僕は、自分で自分に質問した。
僕は答える。
――ああ、好きになれたよ。菜摘のおかげで、な!
これが自問自答というやつだ。
…菜摘がいて、本当に良かった。こんな出会い、本当なら無かったはずだから。
だけど、僕にはまた疑問が出てきていた。
“何で、菜摘は僕のことを呼び止めたんだろうか?”
菜摘は、たくさん人がいる中で、僕のことを呼び止めた。
その時、他の人も結構いたはずだ。
なのに何故、こんな僕を選んだのだろうか?
大して目立たない、地味な僕を。 これが疑問だった。
僕は、菜摘に選ばれた…?
いや、たまたま近くにいた 僕を呼び止めただけか。
そうだよな、きっと。だって、こんな僕を、菜摘がわざわざ選ぶわけが無い。
「….」
これはあくまで自分で考えたことだけど、それに対して残念な気持ちを抱いている僕。
そんな僕が嫌になった。
学校に着いて――
今日、菜摘のことを 中田さんに話してみようかな…?
中田さんならきっと、相談に乗ってくれるだろう。
そして、教室に入ってから挨拶をし、中田さんの席に行った。
中田さんは、すでに席に座って 静かに本を読んでいた。
僕は、そんな中田さんに話しかけてみた。
「中田さん、おはよう!」
「あ、瀬戸くん!おはよう!」
「今日、ちょっと相談したいことがあってさ…」
「相談?」
「うん。ちょっと聞いてもらっても良いかな…?」
「僕で良いなら 全然聞くよ!何でも!」
「ありがとう。それが….」
謎の知らない人から話しかけられたこと――
その人と会って、笹について忠告されたこと――
あったこと全てを話した。
その話を聞いて、中田さんはしばらく考え込んだ。
そして、僕にこう話した。
「僕的には、その人ともう関わらない方が良いと思うな。」
「! それは….」
「うん.. だけど、そう思わない?その方が良いよ?怖いじゃん。」
「それは思ってたよ… だけど、僕は….」
「….」
関わらない… つまり、縁を切る ということだ。
――今謎の感情を抱いている僕。不思議な菜摘。
――この悩みを解決するには、縁を切る方が良い。
そう言うのだ。…. 僕だって、、、、
僕だって、そんなの分かってるさ… 縁を切れば、終わる話だよな。
でも、、、、 ちゃんと伝えなきゃ、中田さんに…!
「中田さん。」
「….ん?」
「僕、そんな事できないよ…!やっぱり、このままで良いんだって思った。」
「….瀬戸くんってさ、その、菜摘さん?って言う人のこと、どう思ってるの?」
「どう思ってるか…?、、、」
「好きなの?それとも、友達として一緒にいたいの?」
「どうしても、そういう思い入れがあるの?」
「….!!」
好き… 友達….
ダメだ、頭が整理できない…
「ちょっと考えさせて…」
「うん。」
僕は… 菜摘の事を友達だと思っているのか…
もちろん、こうやって公園で会った以上、友達だと思ってる。
菜摘はどう思ってるか分からないけど、僕は友達だと思ってる。
たぶん、僕のことを信じてくれたってことは、菜摘も友達だと思ってくれているだろう。
…僕は、菜摘と友達でいたい!! 僕は、この関係を崩したくないんだ…!
「僕は… 友達でいたい。菜摘と…!」
「そっか… じゃあ、恋愛対象外なんだね。」
「!」
僕は動揺してしまう。
――菜摘を、好きなのだろうか…?
僕は、自分の気持ちが分からずにいる。菜摘が好きなわけでは無い、と思っている。
だけど、その心情に変化が表れている。
菜摘と会うと、緊張してしまうんだ。
僕の心情を調べてみると、「恋」と出てくる。僕は….
“菜摘のことが好きなのか…?”
菜摘のことを好きと思っているから、こんな感情が表れるのか…??
でも…
何故か分からないが、僕は自分に、菜摘が好きでは無い!と否定している。
人自体を否定しているわけでは無い。僕の心情に対して、否定をしているんだ。
その理由が知りたかった。自分でも分からない感情。
――いや、ちょっと待て。
この悩みが嫌だから、僕は今頭を整理してるんだろ?
なのに、また悩んでて終わるのか?そんなの嫌だ!
僕は、自分の感情を整理することも出来ないのか!?
僕の頭は、すでにパニック状態を起こしかけていた。
….!!??
その時、中田さんが僕に話してきた…
「瀬戸くん。菜摘さんの事、好きなんじゃないの?」
「!!」
「さっきからずっと悩んでるけどさ、好きなんでしょ?じゃなきゃ悩まないよ。」
「….」
僕は、しばらくの間、何も言えなかった。
呆然としていた。
考えられなかったんだ。 僕の感情、分かってしまった。
僕は….
“菜摘のことが、ずっと好きだったんだ。”
悩み始めたその時から、僕の恋は始まっていた。
いや、僕は正直感じていたんだ。好きなんじゃないかって。
分かってた。だけど、それを認めたくなかった…..
何故認めたくなかったのだろう?
別に、菜摘のことを好きと言った所で、何か悪いわけじゃないのに__
でも、中田さんの言う通りだ。
僕の悩み事は、もう無い。スッキリ出来た、と思う。
「じゃあ、縁は切らないの?」
「縁…. 切らない。切りたくないよ… もう約束一つしたし。」
「そうだね。一旦様子見してさ。ちょっと異変を感じたら、すぐ僕に言ってね?」
「僕が支えられる所までは、出来るだけ全力でやるから!!」
「!! ありがとう… 中田さんってホント優しいね…!見た目通りだよ。」
「ありがとう。」
中田さんは照れている様子だった。
頬が赤かった。
僕は、中田さんのおかげで悩み事を解決することが出来た。
今、誰よりも感謝すべき人だろう。
そして、今誰よりも気になっているのは….
菜摘、ただ一人だ…
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