コメント
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毎回毎回、タイトルが面白くて何よりです。 三話…かしら。まあ、今回読んで気付いたことは、このストーリー面白いって言うことです。 叔父様が振り返ると思ったら振り返らない所とか、こだわってる感じがします。 応援してます。
こんにちはミラです。
矢張り一次創作は楽しいですね。
それに私には綺羅肌リロ君という強い味方がいるので挫けないです。
ほんとに綺羅肌リロ君尊敬してる。
※この物語はどこからでも読める一話完結型ではございません。プロローグから順を追って読んでいただかないと意味がわからないと思います。
悪役令嬢が悪行の限りを尽くして何が悪い
【*第1章 ー悪役令嬢が奴隷拾ったら大抵その奴隷実は滅茶苦茶イケメンだよねー*】
〈第2話 おぢさん絶叫〉
「か、か、かか、髪、髪がーーーーーーーーーーー!!」
ヴァンデミアは姿見十二面鏡を覗き込むと目をかっぴらいて、口を半開きにして、なんとも情け無い表情で情け無く尻餅をついた。
(え…これ…え、目の前の十二面鏡全てに映っているのは多分自分、だと思う。けど、けど…。いやでも。わからない、訳がわからない。けれどこの目に狂いがなければ自分の筈だわ。だってーーーーーーー)
髪の色と、目の色以外。前世と何一つとして変わっていないから。
その美しすぎてうっかり継母に殺されてしまいそうな容姿は、何一つ変わらずそこにあった。
(・・・なんで髪の色と目の色だけ変わるわけ。色、だけ。)
少女が腰を抜かして地面にへたり込んだ体勢のままペタペタと自身の顔を触る。確認するように、医者のような手つきで顔や髪に触れいく。そして呆れたように溜息を吐いた。
(髪質も肌の様子も変わってないわね。顔の造形も特に変化はない、いや、前の方が美人だった、かも?んー。そんなことないか、変わってないんだし。今の容姿は見慣れてないからそう思うのね、単純接触効果がまだ効いていないから。変だけど髪染めてカラコン入れたと思えばわからなくも…うん、やっぱり訳がわからないわね!というか私前世の髪色結構気に入ってたんだけどな、お母さん譲りの栗色だったし、柔らかくていい色合いだったのに。目もしっかり変わってくれてるなぁ、凄い、キンキラキンだ。金の目だ。
でもどうすんのこれ、というか全体的に私白いわね。ドレスも真っ白…)
ドッガッァァァン‼︎
「ヴァンデミアーーーーーー!!どうしたーーーーーー!!!」
突如、そんな野太い絶叫と共に、部屋のドアが吹き飛ぶ勢いで開いた。その音に驚きヴァンデミアが振り返ると
(ご飯の部屋のおっさん⁈⁈
あやば、心の中でもおっさんとか言っちゃ駄目よね。ふぅ…)
ダンディな伯父様が仁王立ちしていた。
「無事か?!無事なのかヴァンデミアァァ!!」
おっさん勢いすごすぎーーーー!
先程からダンディ伯父様はヴァンデミアの周りをうろちょろしながらどうした、大丈夫なのか、と不安げに右往左往しているが、当のヴァンデミアは何やら渋い顔をして押し黙っている。そしてその顔をみたダンディ伯父様が自分は何か気に触ることをしてしまったのかと更に焦っている。地獄絵図である。
(うん…というか、本当、申し訳ないわね…なんといえばいいのか。いや、ここは誤魔化してもしようがない。ちゃんと言おう。思い出した衝撃で今までのこと忘れちゃったのかしら、不便になるわね。)
「ふぅーーー。あの…えっとぉ…どなたですか?」
「⁈…ば、ヴァンデミア、ま、まさか」
「すみません…記憶がなく。」
「バイオレーーーーーーーーーーーーーーット!!!」
またも紳士然とした風貌の伯父様が絶叫した。その低く優雅な今まで星の数ほど女性の腰を砕けさせてきたであろう美声で。
どだだだだだだだだだ
「お、奥様!そのように走っては…」
廊下の方から貴族の屋敷で聞こえてはダメな部類の音がだんだんとヴァンデミアの部屋へ迫ってくる。
そんな中ふと少女に目を向けると、変わらぬ姿勢のまま、少女の顔は死んでいた。表情が抜け落ちていた。死んだ魚の目をしていた。
(わー。すっごい階段駆け降りてくる音がするー。奥様ー、奥様まさかさっきのふんわりドレスのまま全力疾走とかしてないわよねー。いや、してるはずないわよ、だってすごく優雅で気品溢れてますって感じしたもん。
まさかそんなはしたない 「「「バンっっ」」」
あー、ドアが…あぁ…)
「ヴァンデミアに何があったの⁈⁈⁈」
ドアを叩き壊す勢いで部屋へと飛び込んできたのはこれまた美しい貴婦人だった。
「奥様ぁ〜」
その後ろから櫛を携えたメイドがパタパタと追いかけてくる、よおく見ると貴婦人の髪はまだ所々装飾品が刺さりっぱなしの不思議な状態だった。どうやらバイオレットという名前らしい、貴婦人に似合う可憐な名前である。
そしてその伯母様の声に応えるべく伯父様が振り返…否、振り返らない。
「デオロメット?どうしたのです?」
どうやらイケオジ街道を爆走している伯父様の名前はデオロメットというらしい、しかし自分の名前を呼ばれたにも関わらず伯父様は突っ立ったままだ。
暫くすると、ギギギギ…と音がしそうなくらいゆっくりと伯母様の方を振り返り言ったのだ。
「ヴァンデミアが、記憶喪失になった。」と。
それを聞いた伯母様はにっこりと微笑むと、これまた優雅に後ろ向きに倒れていったーーー
続く
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♡は何回でも押していただけますし、作者のモチベーションへ直結していますので少しでも続きを見てみたいと思ってくれたら是非押していってください!
応援、誤字脱字報告お待ちしております。
【次回】
ヴァンデミアの元へやってきた一見優しいお医者におじいちゃん、しかしなんだか意味深なことを言うだけ言って去っていく!
そしてまさかのヴァンデミアに歌の才能がないことが発覚⁉︎そんな筈は!私の美声が耳に入らぬか!とでも言いたげなヴァンデミアを置いて、物語は止まることなく進んでいく!
次回、「『あー』と『Ahー』の違いはりんご一個分」お楽しみに!