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まさかの弘人との再会🙀⚡️健吾が理沙ちゃんを読んだのは紛れもなく彼女にアピールと早く2人でカフェへ〜の呼びかけだったと思うけど、逆に弘人に気づかれちゃった😫💦 この後弘人から連絡や嫌がらせがないといいんだけどーー😥💧 健吾、弘人から理沙ちゃんをしっかり守ってね‼️
ぁぁぁ酷い… こんな男と付き合ってたんだってショックどころじゃないよね… 健吾は周りにさり気なく?ほんとにそう?🤭自分の彼女です😍惚れてます💘って公表してるようなものよね〜。守ってもいる。多分気付いたよね。あの男のこと。 理紗子ちゃん気分変えられるといいな〜
理紗子ちゃんと早く二人きりになりたい健吾さん.♥️🤭 でも理紗子ちゃんが 弘人に 見つかってしまったのは 心配ですね....😱 どうか何事も起こりませんように🙏🍀 健吾さん、愛しい彼女を しっかり守ってあげてね‼️
理紗子はびっくりして頭が真っ白になる。
まさかこんな所で弘人と再会するとは! 別れて以来だから弘人と会うのは2年ぶりだ。
弘人は当時から投資にハマっていたがまさか健吾のセミナーに来ているとは夢にも思わなかった。
斜め後ろの席から見た感じでは弘人は少し太っていた。理紗子と付き合っていた時はもうちょっとシュッとしていたように思う。
弘人は理紗子よりも5つ上だから今は34歳だ。健吾より4歳も年下なのにかなり老けて見える。
着ているスーツも履いている靴もなんだか当時よりもくたびれた印象だ。あの頃よりも給料は増えているはずなのに一体どういう事だろうか?
いや、それ以前になぜ平日のこの時間にこの場所にいるのだろうか? 仕事をさぼって来たのか有休か?
理紗子はパニックを起こしながらも色々と考える。
とにかくセミナーが終わったら弘人に見つからないように会場を出なくては。
その時司会者の男性が最後の質問者を当てた。司会者が選んだのはなんと大声を上げていた弘人だった。
弘人はガッツポーズをすると誇らし気に椅子から立ち上がり回ってきたマイクを受け取り早速質問を始めた。
「えー坂本と申します。私は佐倉さんのように億トレーダーを目指して日々トレードに励んでいます。しかし今は会社員をしながらの兼業なのでトレードに当てる時間がなかなか作れません。そこで思い切って会社を辞めて専業への道へ飛び込もうと思っているのですが、今後専業トレーダーとしてやっていく為の秘訣などがあれば是非教えて下さい」
理紗子は弘人の質問を聞いてポカンとしていた。今弘人は会社を辞めると言った。という事は投資で稼げるようになったのだろうか? 確か理紗子と付き合っていた頃は損ばかりしていたような記憶しかない。
そこで健吾が答える。
「えーそうですねぇ、一つ伺いますが坂本さんの年間収支は現在プラスですか? マイナスですか?」
「えっと今はまだマイナスです」
そこで会場には騒めきが広がる。
「年間収支がマイナスなのに会社を辞めるなんて無謀だなー」
「どうやって食っていくんだ?」
そんな声があちこちから聞こえてくる。そこで健吾も聞いた。
「収支がマイナスなのに会社を辞めて生活はしていけるのでしょうか?」
「はい、そこは多少預貯金がありますし、もう後がない状態になった方が結果が残せるような気がします」
そこでまた会場がどよめいた。
投資をギャンブルか何かと勘違いしているんじゃないかという囁き聞こえてくる。
「もしかして坂本さんは一発逆転を狙うタイプですか?」
「そうですね、結構くじ運はいい方なので」
理紗子は呆れ果てていた。投資をくじ運と言っている時点でギャンブルと同じ扱いではないだろうか?
「失礼ですが、坂本さんには現在奥様や恋人はいらっしゃいますか?」
「はい、2年付き合っている恋人がいます」
「結婚は考えていらっしゃいますか?」
「そうですねー今は特に考えてはいません。億トレーダーになったら女性も選びたい放題だと思うので結婚は成功してから考えようと思っています」
弘人はそう言って恥ずかしそうに笑った。
健吾はその答えを聞きしばらく黙ったままどの話から切り出そうかと考えている様子だった。
そして漸く話し始める。
「投資は一発逆転を狙うものではありません。それだとギャンブルと一緒です。投資はギャンブルだなんて言う人もいますが決してそうではないんです。トレードは毎日の地道な積み重ねです。いい時もあれば悪い時もある。それを月単位、年単位で調整してなんとかプラスに持っていくんです。坂本さんのお話を伺うと会社を辞めて自分を追い詰めた状態でトレードをすると仰っていますが人間の精神というのは余裕のない時ほど能力を発揮出来ないんです。だから本当でしたら安定収入がある今の状態でトレードをした方が有利な気がします。周りを見ていても大きく一発逆転を狙う人ほど相場から退場して行きます。ですから年間収支がマイナスなのにいきなり会社を辞めてしまうというのはかなりリスクが大き過ぎるように思いますので私的にはあまりオススメ出来ません」
健吾の意見を聞いた参加者達はなるほどと言った顔をしてうんうんと頷いている。皆同じ意見のようだ。
しかし質問をした弘人は納得がいかない様子だった。そして思い切り不満そうな表情を浮かべながら勝手にもう一つ質問をした。
司会者が慌てて弘人の話を遮ろうとしたが弘人はそれを無視して続けた。
「佐倉さんは投資界では貴公子などともてはやされていますが実は投資はやっている『ふり』だけで本当は動画配信の収益だけで生活しているという噂がありますが本当のところはどうなんでしょう?」
弘人のあまりにも無礼な質問に参加者達がどよめく。
司会者が慌ててマイクで何かを言おうとしたが健吾がそれを止めた。そしてマイクを手にして答える。
「投資は実際にやっています。それは動画の生配信を見ていただければリアルタイムで相場に入っているのが映っていますので一度見に来て下さい。そして証券会社で開催しているトレードランキングにも登録しています。これは一般の方達と一緒に参加していますので順位や収支が見られるようになっているので是非ご確認下さい。
動画配信の収益についてですがこれは一緒に動画配信をやっている小川共に毎年クリスマスに一年分の収益を児童養護施設へ寄付しています。それについての証拠が見たいと仰るのなら担当の税理士に頼めばすぐに出してくれるでしょう。回答はこんな感じでよろしいでしょうか?」
健吾の的確な答えを聞いた参加者は思わず感心したように「ホーッ」と声を出した。
そこで司会者が付け加えるように言った。
「えーっ、佐倉さんはまだ無名の頃からうちの証券口座を使ってくれていまして彼が偽トレーダーとかトレードをしていないとかそういった事実は全くございません。それは会社が保証します。一般の方が参加するトレードランキングにも一顧客としてご登録いただいていますしもちろん収支も載っています。ですからくれぐれも変なデマを鵜呑みにされませんようよろしくお願いいたします。それでは質問コーナーはここで終了させていただきます。本日はセミナーにお越しいただき誠にありがとうございました。皆様、講師の佐倉さんに盛大な拍手をお願いします」
そこで会場からは盛大な拍手が送られた。
弘人だけが不満気な様子で椅子にドカッと座り込む。
それを見ていた理紗子は呆れて言葉が出なかった。自分が付き合っていた男はこんなにも理性や知性がない男だったのかと情けなくなる。
昔から弘人は優柔不断な所があったがここまで酷くはなかった。
一体何が彼をこんなに変えてしまったのだろうか?
理紗子が悶々としていると参加者達が次々と出口へと向かっていた。
このままここにいれば弘人に見つかってしまうと思った理紗子は慌てて机の上の物をバッグに入れた。
チラリと弘人に視線をやると彼はまだボーッと座っている。しかしその視線は華やかな女性達に囲まれた健吾へと伸びていた。
健吾は女性達にせがまれてサインに応じている。健吾の横には証券会社の社員が二名控えていた。
とにかく理紗子は弘人に見つからないようになんとか待ち合わせのカフェに逃げなければと思っていた。
荷物をまとめた理紗子が会場の出口へ向かっていると突然健吾の声が響いた。
「理紗子! ちょっと待って!」
びっくりした理紗子が健吾を見るとこちらを振り返った弘人とバッチリ目が合ってしまった。
その瞬間弘人はかなり驚いた顔をしていた。
「理紗子?」
理紗子は身体を硬直させたまま弘人の顔を見つめる。
その時健吾が、
「ちょっとごめんね」
と言って周りを取り囲む女性達の間をすり抜けるとそのまま理紗子の元へやって来た。
そしてにっこり微笑んで言う。
「お待たせ、じゃあ行こうか」
健吾は理紗子と手を繋ぐと人々の間を通り抜けて会場を後にした。
会場に残された弘人と健吾のファン達はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。