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comi
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#妖怪
百はな🍑
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成瀬りん
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花箱 壱
御子柴聖 十七歳
パリーンッ!!!
飛ばされた氷の氷柱を次々と撃ち落とし、一旦雪女から距離を取る。
「聖さん!!!大丈夫ッスか!?俺も加勢に入りますよ!?」
「こっちはあたしだけで大丈夫、オサムさんは美月先輩の傷を治療してもらえると助かります!」
「了解ッス!」
カチャッ、カチャッ。
弾丸を装填しながらオサムさんに指示をすると、オサムさんはすぐに美月先輩の傷を治療を始めて行く。
オサムさんが医療術を使えて良かった、するにのとしないとじゃ全然違う。
装填を完了させ、状況を頭の中で整理させる。
雪女の攻撃を交わしているうちに違和感を感じた、あたしに対しする攻撃が本気の力じゃない。
直接的に傷つけようともしていないし、壱級の妖怪がこの程度の力ではないだろうし、何か目的があるのは確かだ。
蓮達の方もあたし達と同じような状況になってる可能性が高い、楓の方は先生達がいるけど安心は出来ない状況なのは確か。
この空間で戦えるのはあたしだけだ、何とかして重症の美月先輩を結界の外に出さないと。
「あたしの事を本気で殺しに来てないよね?目的は何」
「今の所は殺すなって命令を受けてるから、アンタの事は今は殺さない。本当は殺したのよ?私が今やってるのは、ただの時間稼ぎ」
「時間稼ぎ?」
「察しの悪いアンタに教えてあげる。本当の目的は、御子柴楓を殺す事」
「なっ!?」
楓を殺す?コイツ等…、何を思いついて楓の事を殺そうとしてるの?
じゃあ楓達の方にも壱級の妖怪達が向かって…、いや、もう楓達と接触している可能性が高い。
どうしたら良い?
楓の事を助けに行かないといけない、まずあたしがやらないいけない事を考えろ。
パキパキパキッと音を立てながら雪女の周りで氷柱が形成され、冷気を纏いながら氷柱をあたしの方に向かって放つ。
「っ!聖さんっ、危ないッス!!!」
オサムさんに呼びかけに答えずに、放たれた氷柱達を素早く避け、距離を取ろうとした雪女の胸倉を掴み、額に妖銃を突き付けた。
体の至る所が掠れ、制服の上から血が滲むがそんなのはどうでも良い。
「聖さん、マジですげぇ…、あんなに早く雪女の所まで辿り着くなんて…」
「今、自分が恐ろしい顔をしているのが分かるか?鬼のような顔をしているぞ?」
雪女の目にはあたしが鬼に写っているのだろう、雪女は隠し持っていた氷柱を握り締め、脇腹を突き刺そうする。
カチャッ、パリーンッ!!!
額に向けていた銃口を雪女が握り締めている氷柱向け、引き金を引いて氷柱を破壊し、雪女の腹に前蹴りを食らわす。
ドカッ!!!
「ゔっ!?」
「…」
体勢を崩した雪女は背中から地面に倒れ、先程破壊した氷柱の破片を雪女の右肩に突き刺した。
グサッ!!!
「いっ!?き、さまっ、何をす…っ」
氷柱を突き刺した部分から血が滲み、雪女が体を起こそうとしたので、右足の太ももに銃口を密着させてから引き金を引く。
パァァンッ!!!
ブシャッ!!!
「グアアアアッ!!!」
白い着物から血が滲みで行き、雪女の体から出た血が頬に付着する。
雪女があたしの事を睨みつけてくるが、何も怖くないし、彼女に対しての慈悲の心も持っていない。
「楓に手を出して見ろ、お前の事を殺す」
そう言いながら雪女の顎を妖銃で持ち上げ、静かに見下ろす。
「私はお前が憎い。憎くて仕方がない。お前なんか、さっさと死んでしまえば良いんだ」
「憎い?あたしはアンタに憎まれる覚えはない。勝手に呪いを掛けられて、迷惑してるのはこっちの方なんだけど」
「アンタは大蛇様に愛されてて狡い!今も昔もそうだ、お前が生きてるだけで大蛇様の心は奪われる!!!」
八岐大蛇に愛されてる?
雪女の表情を見たら油断させる為に言った嘘ではなさうで、心底あたしの事を恨んでる事が伝わって来る。
「あたしが八岐大蛇に愛されてるって、どういう意味。あたしに呪いを掛けたのは、何か目的があっての事?」
「”桜“の生まれ変わりのくせに」
「桜…?」
桜と言う名前をどこかで聞いた覚えがあり、ドクンッと心臓が跳ね上り、夢の中で出て来る金髪の女の子が脳裏を過った。
もしかして、あの女の子は桜って名前なんじゃ…?
八岐大蛇と桜は何か関係がある?それはあたしにも関係しているって事?
「何を驚いてるの、桜は大蛇様の心を奪った。もう何百年も…、まるで呪いを掛けたかのように。あの女は大蛇様に呪いを掛けたのよ!!!」
ズキンッ!!
雪女が叫んだ瞬間に心臓が焼けるような強い痛みが走り、桜って言う名前を聞いてから、心臓があの時に起きた発作の痛みと同じだ。
この痛みは月下美人の呪いが進行してた時と同じ痛みだっ、やばい意識が飛びそうっ…。
ボンッ!!!
白い煙が立ち込め、中から式神のシロとクロの二匹が飛び出してくる。
「「主人!!」」
「シロ!!クロ!!」
シロがあたしの首元を引っ張り、瞬時に状況を把握し雪女から引き離した。
「主人よ。怪我を…!」
クロが心配そうにあたしの体を見つめ、クロを安心させる為に頭を優しく撫でながら答える。
「擦り傷よ…、心臓が焼けるように熱いっ、呪いの進行が始まったかも」
よりにもよって、こんな時に呪いが進行し始めるなんて、タイミングが悪すぎるな。
すぐに収まってくれたら良いけど、どれぐらいで収まるのか分かってない。
「共鳴しているのよ、大蛇様と。憎らしい、本当にね」
「「ガルルルル!!」」
シロとクロが近付いてくる雪女に威嚇し、ぼやける視界の中であたしは雪女に尋ねる。
「共鳴…って、月下美人の呪いと関係してるの?」
「本当にずるい女、私の口から言わせたいの?」
雪女の声を聞けば今、彼女がどんな顔をしているのか見なくても分かってしまった。
憎しみと悲しみが混ざった呆れたようにも見れるような、表情をしているのだろう。
「何で、私じゃ駄目なのかしら。こんな女なんかよりも、私の方が貴方の事を愛しているのに」
そう言った雪女の目から涙が零れ、あたしの太ももに落ちた涙はとても冷たかった。
***
野々山美月 十八歳
目の前でおかしくなった花の姿が目に焼き付き、オサムさんが必死な顔して医療術を施してくれてるのに、視線は花だけに向いている。
「花…」
「あっ、美月さん!まだ動いちゃ…っ、完全には傷口は閉じてないんですよ!?」
「花の所に、行かないと…」
「今の花さんに近付くのは危険ですよ!?美月さん!!!」
オサムさんの呼び掛けに答えずに、俺が花に近付こうとすると「ガルルルルッ!!!」唸り声を上げて、四つん這いの体勢で俺を近付せないようにしていた。
「ご、ないでっ、見ないでっ、こんな姿の、私を見ないで」
「っ…、花っ」
化け物になった花の目から大粒の涙が溢れ、花への思いが込み上げてくる。
俺はお前の事が好きだ、もう何年も前からだ。
どうしてこうなってしまったんだろうな、ずっと一緒にいたし、側にいる事が当たり前だと思っていた。
***
花と出会ったのは俺が六歳の時、この頃の俺は雛のように修行を真面目にしていなかった。
いや、する理由を見失っていた。
いつか酒呑童子が復活した時に闘えるようにと、父さんに口酸っぱく言われ、実際に鬼に会った事がないし実感が沸かなったのもある。
もう百年近くも眠っているのに、封印が解かれ復活する筈がないと思っていたからだ。
このままずっと、現実味もない目標を掲げて修行する日をいつまで送る?
父さんの言いつけ通りに修行をして、何の意味がある?
悶々としていた生活の中に一つの変化が産まれた、それは俺達の家の近くに引っ越して来た花と出会ってからだ。
両親と箱に詰められた菓子を持って、花は顔を真っ赤にさせながら俺と雛に挨拶をする。
「初めまして、山田花です」
普通の女の子だ、花と初めて出会った時に抱いた感情だった。
俺と雛とは違う世界の子だで、普通の生活をして家族とも仲が良くて、妖怪とも陰陽師とも関係のない世界の子だと。
「私は雛、こっちは双子の弟の美月だよ」
「宜しく」
雛に紹介されたので、仕方なく花に軽く頭を下げて挨拶をする。
花の事を受け入れられなかった。
だってそうだろ?この時の俺は、普通の生活が羨ましかったから。
雛と花はすぐに仲が良くなり、稽古の後は二人で遊んでいるの見て、雛を取られた気持ちになった。
呑気な顔して笑ってる花を見ると苛々する。
俺達は死に物狂いで稽古をしているのに、勝手にやって来て雛を取って、俺の目が届く範囲で遊んでいるのも気に入らない。
雛と遊んでいる姿を見せつけて、俺への当てつけがしたいのか?
そう思いながら遠くから二人の姿を見つめていると、花がこっちに向かって走って来た。
「美月君もこっちにおいでよ!一緒に花冠作らない?」
そう言って、そこら辺に生えている花を摘んで作った花冠を見せ、俺の事を遊びに誘ってくる。
「やらねぇよ」
「あ、男の子は花に興味ないよね?鬼ごっこかかくれんぼはどうかな?三人で遊べる遊びにしようか」
「近寄んな!!」
パシッ!!
花が近付いて来たので花冠の持っていた手を払い除けると、地面に落ちた衝撃で花冠が崩れてしまった。
俺達のやり取りを見ていた雛はすぐに飛んできて、花を庇うような体勢で俺の前に立つ。
「ちょっと美月!!何してんのよ!!」
「雛はそんなにコイツが大事かよ」
「美月…?」
「何だよ!!雛までコイツの味方かよ、ふざけんなよ」
「美月!?どこに行くの!!?」
雛の返事を聞かずに俺は走った。
何だよっ、雛までアイツの味方をするなんて、アイツは雛まで奪うつもりかよ。
苛々する、アイツが来てから苛々してばかりだ。
「待って!!美月君!!」
「!?」
追い掛けて来たのか!?
花が追い掛けてくる姿を見て、俺は不意に足を止めてしまった。
「は?何しに来たんだよ」
「はぁ、はぁ。良かった…っ、追いついて…、へへっ」
「お前、何で追い掛けて来たんだよ?俺、酷い事言ったのに」
汗だくになってまで、俺の事を追い掛けて来る理由が分からない。
「私…謝りたくて。美月君の気持ちを考えないで誘ったりして、雛ちゃんの事を取ったつもりはなかったの」
違う…、本当は謝ってほしかったんじゃない。
謝られたって、こっちが虚しくなる事は分かってた。
ただ、俺は普通の生活をしている花が羨ましかったんだ。
「俺、俺は…。お前の事が羨ましかったんだ」
「え?」
口にした途端、目に涙が溜まって行くのが分かる。
一度、口に出したら言葉が止められなくなり、感情がぐちゃぐちゃになって、何が言いたいのか分からなくなってきた。
「普通の生活が羨ましかった。俺達は普通の…っ、普通のさ」
「私は美月君達の力になりたいよ」
そう言って花は俺の手を握った。
「え?何言って…」
「美月君を苦しめるモノから全から、美月君の事を守りたい」
その言葉を聞いて、父さんが言っていた事を思い出した。
「良いかい?美月。いつか大切な人や支えたい人が出来た時に、今のうちに守れるように力を付けなさい。後悔しない為にな」
「母様の事を言っているのですか?」
「あぁ、そうだ。だが、俺は母さんの事を守れなかった。自分に力がなかったら所為でな?だから、俺と同じ思いを美月や雛にさせたくない。選択肢があるのとないのとでは全然違う、強くなれ美月」
そうだ、父さんが俺達に厳しい修行をさせているのは、大切な人を守れるようにする為だった。
母さんが妖怪退治の際で亡くなってしまった時、人の目も気にせずに父さんは母さんが眠る棺桶の前で泣き崩れていた姿を見てきたじゃないか。
その言葉をどうして忘れていたんだろう、花の言葉で思い出すなんてな。
俺は今やっている事には大きな意味があったんだ。
「花は強いな」
「美月君…?」
「酷い事言ったりしてごめん。でも、花のお蔭で思い出したよ」
「思い出した?」
「これからは雛の事も花の事も守れるように強くなるから」
そう言って、俺は花の手を力強く握ると、花は顔を真っ赤にさせながら俺と目を合わせる。
「わ、私も同じだよ。二人を守りたいから」
その日から俺と花は仲良くなり、三人で行動する日が増え、次第に花の事を見る目も変わってきた。
花が結界師になると言って、父さんの元で修行を始め、頑張ってる姿から目が離せなくて。
花の事を見る度に苦しくなったり、嬉しくなったり、恥ずかしくなるのは俺が花の事を好きだからか。
恋心を自覚してしまえば、今までの仲の良い幼馴染の関係では嫌だと強く思うようになってしまった。
俺の名前を呼んで微笑んでくれる度に、鼓動は速まり、好きという感情が大きくなっていく。
そんな中、御子柴家で封印されていた八岐大蛇が解き放たれ、次々と封印された妖怪達が溢れ出し、酒呑童子の呪いさえも解かれてしまう事態になった。
野々山家にも要請の声が掛かり、雛と共に妖怪達との抗争に参加する為に車に乗り込もうとした時、家から出て来た花が父さんに同行したいと申し出る。
「私も連れて行って下さい!美月達と一緒に戦いに参加します!」
「花ちゃん、君を連れて行く事は出来ない」
「そんなっ、どうしてですか!?私だって、結界師として…っ」
「今から君に酷な事を言うよ、今の実力で来られても迷惑なんだ」
父さんの言葉を聞いた花の表情から血の気が引いて行き、青くなった顔を見ればショックを受けているのが分かった。
俺も雛も、今回ばかりは父さんの判断に賛成するしかなかったのだ。
結界師としては下の下で、修行を始めたばかりなのだから実力が無いのは当たり前。
壱級の妖怪達を相手にしないと中で、花が居ても戦力の足しにもならないのは俺達も分かっていた。
「すまないね、花ちゃん。家で雛と美月の帰りを待っていてくれ、二人共行くぞ」
父さんに呼び掛けられ、雛と共に乗り込もうとした時、花に手を掴まれる。
「花?どうした?」
「美月、役に立てなくてごめんね」
花の言葉を聞いて、胸が締め付けられた。
今にも泣きそうなのに涙を堪え、俺達の事を送り出そうとしているのだから。
俺は花に手を引き、抱き寄せて優しく頭を撫でながら口を開く。
「必ず帰って来るから、俺達の帰りを待っててくれるか?」
「うん、美月と雛が帰ってくるの待ってるから」
力強く言葉を吐いた花は俺の背中に腕を回し、ありったけの力を込めて抱き締め返してきた。
小学校、中学校に上がり、中学三年の時に俺と雛は東京にあり陰陽師学院から声が掛かり、入学するにあたって地元を離れなければならなかった。
この事を花に話さないといけないと思うと、正直気が重いし、花と離れたくない気持ちの方が大きい。
それは雛も同じようで、「花に言いづらいわね」と苦笑した。
「え!?陰陽師学院から声が掛かった!?それって、東京にある陰陽師だけが集まる学院の事だよね?」
俺の家に晩飯を食いに来た花に話すと、案の定ものずごく驚いていた。
「うん、それでね?花、私達学院に入学しようと思ってるの。来年には地元を離れて、東京に行かないといけないのよ」
「そっか、二人はいわゆる推薦って感じなんだよね?私は受験して、雛達と一緒に学院に通うから!」
雛の言葉を聞いた花は、目を輝かせながら口を開く。
「おいおい!?まさか、学院に受験する気か?」
「当たり前でしょ?これでも美月パパに認められた結界師だよ?何回も美月達の任務にも同行してたし。学院には私と同じように結界師の人が受験して、学院に通ってるって聞いた事あるし」
「もう受かった気でいるけどさ?受からないと、俺達と一緒に通えないからな?そこの所、分かってるか?」
「そんな事は分かってるよ!死に物狂いで勉強して、合格するんだから!三人で一緒に学院に通いたいから」
花の素直な言葉を聞いて顔が赤くなっていくのが分かり、照れている事を悟られないように視線を逸らす。
もしかしたら花は地元の高校を受験するかもって思ってたけど、即答で俺達に付いて行くって言ってくれて嬉しかった。
俺が側に居ない時に、変な男が花に近付いて来たりしても嫌だし、気に入らない。
これから先も花の事を守るのは俺でありたい、もっと花の事を守る為に強くなりたいと願っていたのに。
***
昔の事を思い出しながら、花の事を守れなかった後悔と怒りが押し寄せて来る。
クソッ、何の為に修行してきたんだよ!!!
目の前には苦しんでいる花がいる、それなのに俺はどうする事も出来ない。
花の事を守るって覚悟を決めていたのに、何で何も出来ないんだ!!!
殺すしか花を助けられないのか?他に方法はないのか!?
「あるよ、あの子を助ける方法」
「え?」
女の火との声が聞こえると、目の前に広がった白い空間にヒラヒラと花の花弁が舞い落ちる。
そして、花弁の中から木花咲耶姫微笑みながら、俺の前に可憐に現れた。
コメント
1件
うわっ…、重い…!でも好き。雪女の「桜の生まれ変わり」発言で心臓がズキッてなる感じ、ヤバかった。美月くんの過去回想も切なくて、花を守れなかった後悔が痛いほど伝わってきた。聖さんが「楓に手を出したら♡♡♡」って言うシーン、ヤンデレ好きにはたまらん…。次、どうなるの?