コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
体を引きずり、縁側に出る。
虚空を見つめ、考える。
あの日あの山見た古屋。
兄弟だって聞いたけれど、無事だったのだろうか。
結局自分は逃げただけだった。
あの日を思い出してしまったから。
私は、鬼の姿と人間の姿で別れているから、陽に焼かれて死ぬことは無い。
ずるい生き物だ。
本当は死ぬべきだった。
鬼殺隊に入っても尚、罪悪感消えなかった。
ただ、自分への憎悪で腑が煮え繰り返りそうだった。
ああ。
辛いなあ。
「バサッバサッ」
激しい羽音がする。
峰だ。
「……急いで…る…?」
「今スグ産屋敷邸ニ向カエ!鬼舞辻ガ近クニイル!」
「ええ……!?」
まさかあいつが?
血鬼術は使わない方がいい。
気配を感じ取られる。
「産屋敷邸ヘト向カッテイル!」
嘘でしょ……
早く行かなきゃ。
私は鬼舞辻と縁がある。
よくない縁だ。
だから知っている。
鬼舞辻は切っても意味は無い。
「スゥ…」
呼吸を整える。
これで大丈夫だ。
やれる。
隊服に急いで着替え、腰に日輪刀を差す。
屋根を蔦って、走る。
とりあえず、誰かに伝えないと。
「ここから一番近い柱に鬼舞辻の事伝えて!できれば鬼殺隊全体に!」
峰は、バサッと大きな羽音をたてて飛んで行く。
それを見届けながら、産屋敷邸へと急いだ。