テラーノベル
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──俺、何かやっちゃったっけ? いやまぁ、覚えのあることは沢山ある。
カグアの──魔人の封印を解いたことがバレたか?
それとも勝手にダンジョンに行ったことか⋯⋯?
それとも⋯⋯まぁ、挙げ出したらキリがないかもしれない。自分でも覚えてないことってあるしな。
まぁ、とにかく何が言いたいのかというと、俺は今、父上から呼び出されてしまったのである。父上の書斎の扉をノックし、恐る恐る入る。書斎には父上と⋯⋯ルカ兄さん?
「やぁ、来たねアステル」
「ルカ兄さん、なぜここに?」
「フフッ、これを覚えているかい?」
そう言って兄さんが机の上に置いたのは、俺の魔剣。あっ、そういえば渡したままだったな。しかし、返すだけならわざわざ父上が同席する必要はないんじゃ⋯⋯。
「これを父さんに見せた」
ファッ!?
俺が驚きのあまり、声にならない声を出すと父上も口を開く。
「まったく、アステルよ。とんでもないことをしてくれたな」
「な、何がでしょう⋯⋯?」
俺はダラダラと汗を流しながら、父上の言葉を待つ。ヤバイ、さすがにあんな魔剣を作ったのは失敗だったか⋯⋯?
「でかしたぞ! アステル!!」
──へ?
俺の戸惑いを他所に、父上は語りを続けた。ルカ兄さんも、隣でニコニコの笑顔。ということは、説教ではない?
「先日の魔人騒動、お前の作った魔剣が役に立ったそうじゃないか! しかも、ハイベアを一撃で屠る性能とはのぉ!」
「はい! アステルのおかげで、僕も兵たちも助かりました」
「お、お役に立てたなら、とても嬉しいです! えへ、へへへ⋯⋯」
よかった、説教じゃなかった。俺がホッとしている間も、父上と兄さんは嬉しそうに喋っている。そんなことを考えて安心していたら、とんでもない話を吹っ掛けてきた。
「そこでだ! アステルよ、お前にはまだ称号をやっていなかっただろう? これを期に、お前の兄たちと同じように与えておこうと思ってな」
「いや、遠慮しま⋯⋯」
「お主には『天子』の称号を授けよう!」
「それ、凄くいいですね、父さん! おめでとう、アステル!」
勝手に話を進めないでくれーーー!!
称号!? よりによって称号ときた! 俺はこの家で、自由に魔術を研究できればそれでいいというのに!
あぁもう! 全部あの名無しのせいだ! 死んでも効果を持つ呪いとか開発して、それで殺せばよかったかもなぁ。今度研究するかぁ。
結局俺のエルシア家としての称号は『天子』に決まり、俺は名無しを恨み続けるのだった。
書斎から出て、中庭へ急ぐ。今日は躾をしたい!
「おーい、来たぞー⋯⋯あれ、どこいった?」
まさか逃げてしまったんだろうか。カグアに見させていたし、ずいぶん懐いてたんだけどなぁ。そう思っていると──。
「フォフ!」
「うわー!」
「こら、めっだぞ!」
ドシンと乗っかってきたのは、ハイベアの子供。フワモコな毛を撫でていると、カグアが慌てて追いかけて来た。毛を掴んで止めている。
あの戦いのあと、生き残ったハイベアたちを治癒してやった。すると、子供が一頭ついて来たのだ。親もいないようだったし、この屋敷で飼うことにしたのだが。
「その子、ずいぶん懐きましたね!」
「クラリス! もしかして飼っちゃだめだったか?」
だよな、さすがに広い屋敷といえど、ハイベアは大きすぎるか⋯⋯?
「いえいえ、私も小さい頃は、フォックスウルフを飼っていましたよ。狼としての知能もあるので、しっかり番犬をしてくれました」
「おおっ! そうなのか! じゃあ、1つ教えてもらってもいいか?」
「もちろん、なんなりと」
じゃあ遠慮なく。フォックスウルフは高い知能が特徴的な魔物だ。クラリスが飼っていた個体も、躾がしっかりされていたのだろう。
「コイツに芸を仕込みたいんだけど、犬みたいに上手くいかなくてな。お手くらいなら、できるようにはなったんだが⋯⋯」
「あぁ、ハイベアは生存を第一にする魔物ですからね。それこそ、躾けるとなると召喚士や魔獣使いの分野ではないでしょうか」
なるほど、魔獣使い⋯⋯ん? 思えば、意外と近くに協力してくれそうな人がいたな。あまり気は乗らないが⋯⋯。
「まさか、アステル様⋯⋯あの人に教えを乞うのですか!?」
「だって、しょうがないだろ? 俺だって行く気にはならないけど、このまま適当に飼うわけにもいかないし」
「クラリスは反対です⋯⋯」
まぁ、嘆いていても始まらないので仕方ない。まだ行く気がある内に、さっさと用を済ませてしまおう。
俺とクラリス、ハイベアとカグアは、領内にある牧場にやって来た。看板には『エルシア公爵家所有』と書かれている。柵の先にはたくさんの動物が暮らしている。また増えたみたいだな。クラリスが入り口に置かれたベルを鳴らす。するとすぐに、原っぱを駆けてくる人影が見えた。
「あっ、アステル様ではありませんか! ご無沙汰しております! クラリス先輩も!」
「久しぶり〜、エウラ」
ここに住んでいる俺の兄のメイド、エウラだ。白黒のメイド服には、動物の毛が目立っており、エウラが慌てて摘み取っている。相変わらず大変そうだな。
「兄さんに会いに来たんだけど⋯⋯」
「えぇっ、ミオン様に、ですか!? えっと、その⋯⋯大丈夫なのですか?」
「いや〜、俺も乗り気じゃないんだけどさ⋯⋯」
そんなことを話していると、向こうからまた人影が走ってきた。人影⋯⋯っていうか、あれ魔獣か! でけぇ! そして足、速えぇ!
「ア・ス・テル〜〜〜!!」
「グフッ」
今日は魔獣にどつかれる日、だな⋯⋯そんなことを考えていると。
「ゥムッ!?」
兄にキスをされた。途端に周りがうるさくなる。あぁ、これだから来たくなかったんだよな⋯⋯。
「ア、アステル様〜!?」
「ちょ、ミオン様、おやめくださいまし!」
「え〜、なんでだよ」
「兄弟でBL始めないでください!!」
「BLじゃねぇよ!? てゆーか、アステルが可愛いのも悪いんだからな!」
「アステル様が可愛いのは当たり前です! てゆーか、さっさと離れてくれません!?」
「おまっ、それでもメイドか!?」
エウラが慌てて止め、ミオン兄さんとクラリスは何か言い合いをしている。
いや、俺が可愛いとかありえないから。納得いかないし、収拾つかないからやめてほしいな⋯⋯。こうして、俺の兄の1人──『ミオン・リ・エルシア』との再会は、てんやわんやに始まったのだった。
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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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コメント
1件
いやもう、アステルの「称号!? よりによって称号!?」って絶叫が面白すぎたよ😂💕 父上とルカ兄さんが勝手に話進めて天子って称号授けちゃうし、アステルの戸惑いが可愛すぎてキュンきた…! そしてハイベアの子供がドシンと乗っかってくるシーンとか、フワモコ感が伝わってきて癒された〜🐻✨ 最後のミオン兄さんの登場、キスからの「兄弟でBL始めないで!!」ってエウラのツッコミ最高すぎる🤣💕 アステルが可愛いのも悪いって言い張る兄、確かに…って思っちゃったよ! 次回も楽しみにしてるね、蒼依ジンさん!📖💫