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花月夜れん
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柴田
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#バイオハザード
そまもんた@ペア画募集
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みんながギャーギャーと騒ぐ中、カグアがハイベアの毛から顔を出す。いい隠れ蓑になるな、そこ。
「ビックリしやしたぜ⋯⋯あんなクセの強い兄者もいたんですね」
「あぁ、あんまり人前には出したくないんだけどな」
ミオン兄さんの特徴といえば、癖っ毛の赤髪を長く伸ばし、1つに括っているところ。動物たちと触れ合うために特注している、厚手の革製コート。そして何より、常に何かしらの動物が近くにいるということである。今もスノウフェンリルに乗ってきたしな。それくらいミオン兄さんは、動物に好かれる体質なのだろう。
「で? アステルよ。俺に用って、このハイベアのことか?」
「さすがですね、兄さん! 実は、躾け方とかを教えてほしくて⋯⋯」
「それは別に構わねぇけどよ⋯⋯名前くらいねぇのか?」
あっ、そういえば。まだ考えてなかったな。純白のフワモコ、モフモフな毛が俺は気に入ってるから⋯⋯。
「じゃあ、コイツの名前は『モフ』にします! よろしくな、モフ!」
「フォフ!」
「ストレートな名前だなぁ」
「とっても聡明でよい名前かと♡」
ミオン兄さんの感想が気に入らなかったのか、クラリスが笑顔で圧を掛けている。やめてくれ、そうやって毎回争われると俺が動きにくい。
「よし、名前も決まったことだし、早速特訓だな!」
「はい! よろしくお願いします、ミオン兄さん!」
原っぱの切り株に腰掛け、兄さんと向かい合うように座る。魔獣使いであり、『契使』の称号を持つ兄さんなら、きっといいアドバイスをくれることだろう。
──と思っていた時期が俺にもあった。
「──で、頭に思い浮かべたことを、ピピーンってしたら、ワーってなるからよ⋯⋯」
ミオン兄さんときたら、説明が擬音ばかりで下手くそなのだ。兄たちの中でも、とくに困った人なのではなかろうか。これなら、実際に見せてもらったほうがいいな⋯⋯。
「あのー、兄さん。座学はもう十分わかったので、せっかくだし、実際に見せていただければと⋯⋯」
「おぅ、それもそうだな──てゆーか、もうやってる」
え? そう思った瞬間、俺の背後に巨大な黒い影があることに気づく。うわっ、さっきのスノウフェンリルじゃないか。全然気づかなかった。
「改めて紹介するぜ。俺の相棒、スノウフェンリルのフランだ!」
ミオン兄さんがそう言うと、フランは礼儀正しく座り、頭を下げてきた。
「おぉー! カッコイイーー!」
「フォフフォフ!」
フェンリルはとくに知能が高いことで知られる、魔獣使いの憧れの一匹だ。きっと芸も凄いんだろうなぁ。
「よーし、いくぞーフラン? ⋯⋯」
「⋯⋯」
ミオン兄さんとフランが顔を合わせ、何かを念じ始める。すると──。
「あっ、俺のネクタイ!」
気づいたときには、ネクタイをフランに取られてしまっていた。振り返れば、どこか得意げにしているフランの姿が。もしかして、思考を繋げたのか? 面白い⋯⋯!
「ま、こんなもんだな」
「凄いです、ミオン兄さん! 何かコツとかあるんですか!? やっぱり、『絆』とか?」
「お、『絆』も大事なんだがな⋯⋯それよりもっと大事なもんがここにある!」
そう言うと兄さんはドンと自分の胸を叩いた。心⋯⋯?
「『愛』だ」
⋯⋯?
「帰りましょう、アステル様!」
「おいおい、話は最後まで聞くもんだぜ! このムッツリメイド!」
「ですから、アステル様にいかがわしいことを教えるのはやめてくださいと⋯⋯」
「だー、そーいうんじゃねーよ!」
なるほど⋯⋯? 愛⋯⋯?
「相棒との距離感こそ、魔獣使いにとって1番大切なものだと俺は考えてる。てゆーかよぅ、魔獣『使い』なんて名称、俺は好きじゃねぇんだよな。友達とか、相棒とかを『使う』なんてひでぇと思わねぇか?」
「なるほど、それで『愛』ですか」
そう言われると深いな、『愛』⋯⋯!
「よし、俺たちもやってみよう、モフ!」
「フォフ!」
俺はモフの方を見て、強く念じてみる。兄さんは『愛』だと言っていたが、恐らくあれは兄さんが特殊だからだろう。同じように上手くいくとは思えない。そもそも、クマって人語を理解できるのか?
──だったら、俺はこうしてみるか。
「⋯⋯」
「⋯⋯! フォフ!」
俺から何かを感じ取ったモフが、その場でクルクルと回り、高らかに吠える。『3回まわってフォフ』⋯⋯よし、成功だ!
「さすがじゃねぇか、アステル!」
「はい、兄さんのおかげです!」
俺はモフと思考を繋げるイメージを念じることで、この芸を成功させた。いうなれば、イメージの伝達! これなら人語を理解できない魔獣も、言うことを聞いてくれるってわけだ。ミオン兄さんは、無意識にこれをしているんだろうな。さすがは『契使』。屋敷に帰ったら、他の芸も練習してみよっと。
「では、ありがとうございました、ミオン兄さん!」
「おいおい、もう帰っちまうのか? せっかく久しぶりに来てくれたんだ。茶くらい用意して⋯⋯」
「いえ、喉は渇いていないので! それに、ここに長居するとクラリスが⋯⋯」
実はクラリスのやつ、さっきからミオン兄さんに威嚇しまくりなのである。そんなにスキンシップが嫌いだったのか? まぁともあれ、また喧嘩にならない内に帰るか。
「あれっ、アステル様、お茶は飲まれていかないのですか?」
ちょうどティーセットを運んできたエウラが、牧場を出ていこうとする俺たちを慌てて止める。ちょっと悪いことしたかな。けどまぁ、仕方ないんだ。
「コツは教えてもらったから、大丈夫! わからないことがあれば、また来るからー!」
「は、はい! アステル様もクラリス先輩も、お元気でー!」
俺はモフの背に乗って小道を進む。騒がしいけど、面倒見のいい兄さんなんだよな。エウラには今度、菓子折りでも送っておくか。
「アステル様、魔獣使いにご興味がおありなら、冒険者ギルドに加入してみてはいかがでしょう?」
「えっ、いいのか?」
クラリスが唐突に口にした話を聞いて俺は驚きを表す。クラリス、そういうことはさせてくれないと思ってたのに。
「私が以前通っていた支部が、ここから近いところにあるんです。知り合いのギルド嬢にも挨拶したいですし。寄っていきませんか?」
おぉ⋯⋯クラリスから遊びの誘いとは⋯⋯! そりゃあもちろん⋯⋯。
「行く!!」
今日はいろんなところに出かけられるな! 自由って感じで、ワクワクするぞ! それにしても、冒険者⋯⋯冒険者かぁ⋯⋯。
コメント
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第16話、読ませていただきました! 「愛」ってミオン兄さんが言ったとき、一瞬クラリスに連れ去られそうになる流れが面白かったです(笑)でも「相棒を使う」という表現が嫌だっていう価値観、すごく沁みました。アステルくんがモフと「3回まわってフォフ」を成功させたシーン、思わず笑顔になりました。最後の冒険者ギルドの展開も気になりますね!