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「デートに行っちゃ、やだ」
「なんで?」
亮介はいじわるな顔をした。これは誘導尋問だ。それでも気持ちはもう止まらない。
「もとにもどる練習は、いつも私でしてほしいから……」
「それだけ?」
「いじわるっ──」
亮介にギュッと抱きしめられる。石けんのいい香りがして、頭がクラクラする。
「未央さん、言って?」
耳元でそう言われると、もうそうするしか選択肢がない。未央は亮介の背中に手を回した。
「郡司くん……すき」
「うん」
亮介の未央を抱きしめる腕の力が強くなる。
「いつもの郡司くんも、夜のキャラ変した郡司くんも……」
未央はすーっと息を吸った。
「すき、ぜんぶ好き」
7.すき、ぜんぶ好き
──すき、ぜんぶ好き。
未央がそう言ってから、ずいぶん時間がたったような気がした。亮介はぎゅっと未央を抱きしめたまま動かない。腕の力が強くて苦しい。
「郡司くん……、くるしいっ」
はっとすると、亮介は力を抜いて未央を離す。郡司くん、顔が真っ赤だ。
亮介は未央と手を重ねた。じっと見つめあう亮介の目の中に未央がうつっている。
「……僕も未央さんのこと、好きです」
「ほんと?」
「嘘ついてどうするんですか」
「だって、郡司くんモテるし、私よりすてきな子いくらでもいる──」
いくらでもいるでしょ? そう言い終わらないうちに唇を塞がれる。舌が絡まって亮介の飲んでいたレモンチューハイの味がした。
「……あっ」
服の上から胸をむにっとさわられて、体が跳ねた。
「僕は、未央さんがいいんです。……ベッドいきますよ?」
未央は目を床に落としたままコクンと小さくうなづいた。
亮介に手をつかまれて、ベットまで連れて行かれ、押し倒される。
「待って、郡司くん。お風呂入ってないからっ……っ!!」
亮介は話も聞かず、未央にバンザイをさせて服を脱がせた。
「未央さん、僕どれだけ我慢してたと思ってるんですか? 優しくなんてしませんよ?」
えっ……がっ、がまん? 未央の頭をはてなマークがふわふわ飛び回るが、そんなことはお構いなしにあっというまにぜんぶ脱がされてしまった。
あまりに恥ずかしすぎて、ささっと未央はタオルケットに隠れる。
「郡司くん、電気……消して?」亮介は部屋の真ん中にある、昔ながらの照明の紐を引っ張って消した。ハーフパンツを脱いで、未央の隣に潜り込んだ。薄明かりに見える腹筋にドキッとする。
亮介は未央の上から覆い被さって、目を胸に落とす。視線が痛い。
「わ……わたし、こういうの久しぶりでなんていうか……その……」
緊張しすぎて、うまく言葉が出てこない。久しぶりというか、いまから郡司くんとするんだと思うと、心臓に悪い。
「未央さん、大丈夫だから」
亮介は、胸の先をきゅっとつまんで口に含んだ。