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「美花ぁ〜っ! ありがとう! チョー嬉しいんだけどっ!」
「美花ちゃん、本当にありがとうございます」
彼女の目の前で、怜と奏がペーパーバッグの中を覗き込んだ。
ラッピングを綺麗に剥がし、現れたCDを見て、親友カップルがきょとんとしている。
「え! 美花? もしかして…………曲を作ってくれたの!?」
「うん。お二方が店に来た時、せっかくなら結婚祝いは、一曲作ろうって思ってたんだ」
「うわぁっ! ヤバいんですけどっ!!」
「おおっ…………すげぇ! 美花ちゃん、さっそく聴いてみてもいいかな?」
「もっ…………もちろんですっ」
予想以上の感激ぶりの二人を見て、美花は唇を緩めて、はにかんだ。
怜がCDを丁寧に取り出し、プレイヤーにセットして再生ボタンを押すと、エレクトリックピアノの前奏が流れ始めた。
「おお…………ソプラノとアルトかぁ……いいねぇ」
怜は今もサックスを吹いているだけあって、すぐに分かったらしく、ポツリと独りごちている。
同封したメッセージカードを、寄り添いながら読み、微笑む二人。
五分近い楽曲を、親友カップルは真剣な表情で耳を澄ませていた。
曲が後奏部分に入り、静かに曲が終わると、怜と奏が拍手をしてくれる。
「ごっ……ご清聴、ありがとうございましたっ」
美花はペコリと頭を下げると、奏と怜に温和な眼差しを向けられる。
「美花。この曲、パソコンで音楽を作ったの?」
「うん。私、楽譜は読めないし、楽器も触った事ないからさぁ。あ、中学校の時に、アルトリコーダーを音楽の授業で吹いたっけ。もう忘れちゃった」
現役ピアノ講師の奏を前にして、美花は唇から小さく舌を覗かせながら、眉尻を下げる。
楽器の事を、彼女よりも熟知している怜と奏に自作曲を聴かれ、頭から湯気が出そうなほどに恥ずかしい。
「そういえば美花、かなり前からパソコンで曲を作って、ネットにアップしてるって言ってたもんね」
女子二人の会話を耳にしていた怜が、何かを勘付いたような表情を浮かべた。
顎に筋張った指先を当てながら、涼しげな眼差しを遠くに向けている怜を見て、美花は、つい圭の姿を重ねてしまう。
(双子ちゃんだから、やっぱりそっくりだよねぇ……)
「なぁ、美花ちゃん、もしかして……」
おにーさんと瓜二つの声音に、美花が弾かれたように我に返った。