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濃茶の瞳が見開かれ、しばらくの間、目を丸くさせたまま侑を凝視する瑠衣。


「響野先生と……家族……? え……?」


これって……プロポーズなのだろうか? プロポーズといえば『結婚して下さい』とか『結婚しよう』って言うものだと思っている瑠衣は、侑の言葉の意味がイマイチ分からずにいる。


「なぁ瑠衣。先生じゃないだろ?」


彼はまだ呼称に口出ししているが、瑠衣は侑から顔を逸らし、病室の白い天井を見上げて冷静になろうとする。


(妻じゃなくて家族……かぁ……)


瑠衣が薄く笑った後、寂しげに目尻を下げて困ったような面持ちになると、侑は焦ったように瑠衣を宥めた。


「す……すまない。『家族にならないか?』なんて言われてもピンと来ないよな?」


瑠衣は肯首しながらも、上を向いたままだった。




瑠衣へのプロポーズで『家族にならないか?』と言い、プロポーズと受け止めてもらえなかった事に、侑は内心、自分が思っている以上にヘタレである事を突き付けられた。


恥ずかしさと照れもあって、『家族』なんて口走ってしまったばかりに、瑠衣には悲しい思いをさせてしまっただろう。


(瑠衣の手術が終わったら、己の想いと愛をしっかり伝えようと決意を固めたのではなかったのか……!)


侑は自身を鼓舞するように、今一度大きく息を吐き出すと、背筋をピンと伸ばし、『瑠衣』と呼んだ。


「瑠衣。俺と…………結婚してくれないか?」


天井が突き抜けるほど上を見据えていた瑠衣が、辿々しく侑へと顔を向ける。


「俺はこの先…………お前なしの人生が考えられない。だから……俺と結婚して欲しい。俺の妻になって欲しい」


彼女は無言で彼に顔を向けたまま、彼なりの愛と想いに耳を澄ませている。


「ずっと……俺の側にいて欲しいし、俺もずっと…………瑠衣の側にいる。お前が病気の時に言う事ではないのは、俺も重々承知している。だが俺は……」


侑は言葉を途切らせ、一度顔を伏せたが、真っ直ぐに瑠衣を見つめた。


「…………俺はお前を……瑠衣を…………愛している」


侑は初めて『愛している』と言葉にして瑠衣に伝えると、大きな瞳から清らかな雫が頬を伝って流れ落ちていった。

もう一度、きかせて……

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