テラーノベル
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のんびりとした夕方・・・帰り道をポテポテ歩きながら考える・・・小説教室は今月20人を超えてホッとした、でも来月は分からない
いつまでこんな自転車操業をやっているんだろう、WEB小説は相変わらず春ウララの小説をパクっても少し「いいね」が増えただけで、いまだ書籍化打診のメールも来ない
家にもお金をいれなきゃいけないし・・・両親が死んだらそれこそ、一人であの家の相続税や固定資産税を払っていけない
金・・・金・・・金・・・光熱費に、住民税に、国民保険料に年金・・・生きているだけでお金が付きまとっている、いつもお金のことを考えている、かといって油まみれになって兄の工場で働くのは絶対嫌だし、こんなことなら大学在学中にやっぱり司書の資格をとっておけばよかった
そんなことを考えながら家の門についた、今の桜子はなんの楽しみもない、ただダラダラ食べて、寝る日々を過ごしているだけ
家に着き、門の横のポストを確認すると、数枚のダイレクトメールと少し大きめの白い封筒が地面にハラりと落ちた、買い物袋を片手に提げたまま桜子はしゃがんでそれを拾い上げる、白くて厚手の封筒の宛名は桜子の名前だった、裏を返して差出人を見て見る
「東京・・・丸の内・・・法律事務所?」
名前の下に赤インクで「親展」の文字が印字されていた
ドクンッ・・・―え?―
急に背筋がゾワッとし、桜子はしばらくその場に立ち尽くしたが、ダッと走り出した、玄関に買い物を放り投げ、アイスクリームが入っているがそんなことはもう意識になった、ドスドスと階段を勢いよく駆け上がり、バタンッと自室にこもって扉を閉める
ドキン・・・ドキン「な・・・何?何なの?」
嫌な予感しかしなく、ペーパーナイフで封を切り、慌てて書類を広げて読む、せわしなく目が左から右へ動く
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【名誉毀損に基づく損害賠償請求及び謝罪要求に関する通知】
令和8年10月○日
美木桜子様宛
丸の内総合法律事務所
(弁護士 鷺沼俊之)
当職は【小説家・春ウララ氏】より委任を受け、貴殿に対し下記のとおり通知いたします。
依頼者は、インターネット上の電子掲示板「5ちゃんねる」の特定スレッドにおいて、貴殿が投稿したものと認められる複数の書き込みにより、名誉及び社会的信用を著しく毀損されました。
当該投稿には、依頼者の人格を貶める表現、事実に反する記述、並びに依頼者の社会的評価の低下を招くことが明らかな文言が、短期間のうちに繰り返し掲載されております。
当職において発信者情報開示手続を含む調査を行った結果、当該投稿は貴殿の使用に係る通信回線及び端末からなされたものと認められました。投稿の時期は○年○月頃から数日間にわたり、現時点で削除されていないものも一部確認しております。つきましては、本書面到達後7日以内に、下記各事項について書面にて回答いただくよう求めます。
・本件各投稿が貴殿によるものであることの認否
・依頼者に対する謝罪の意思の有無
・慰謝料及び調査費用等として「金百万円」を支払う意思の有無
上記期限までに誠意ある回答がない場合、やむを得ず【名誉棄損、損害賠償請求訴訟】の法的手続を検討いたします。その際は、本通知後の貴殿の対応につきましても、裁判所に提出する事情として考慮される可能性がございます。
なお、本書面は当事者間の話し合いによる解決を排除するものではございません。もっとも、匿名性を理由に責任を否定されるお考えであれば、その点についても、当職より法的な見解を申し述べる所存です。
まずは本書面をもってご通知申し上げます。
草々
空音
37
シュメール
604
39
2,810
東京都千代田区丸の内○丁目○番○号丸の内グランドタワー23階 丸の内総合法律事務所
電話 03-××××-××××(代表)
担当事件番号 令和8年(受)第102〇号 控
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―春ウララ―
―匿名掲示板―
―発信者開示請求―
―損害賠償請求―
―慰謝料百万円―
指が紙の端をつまんだまま動かなくなった、桜子はその場に立ち尽くしたまま、通知書から衝撃の文字が飛び込んで来る
「慰謝料ひゃくまんえん・・・」
画面の向こうにいる顔も知らない相手・・・それなのに春ウララが気に入らなくて、夜中スレッドに執拗に彼女の悪口を書いたのはハッキリ覚えている・・・
匿名なら、何を書いても許されると思っていた、だって昔自分だって書かれて傷ついた、悪口を書いた側は名前も分からず言い逃げられて、言われた側だけがいつまでも傷を抱えて残るのだということを、あの夜の自分は少しも考えていなかった
むしろ、モニターの向こうで一人勝ちしているように見えた春ウララを、少しでも引きずり下ろしてやりたい――そんな浅ましい気持ちしかなかった
―バレないと思っていた―
―だって匿名なんだから身バレなんかしないんだから―
「それを・・・」
口を両手で押さえると、ヒラリと通知書が床に落ちた
「まさか本人が掲示板を見ていて訴えてくるなんて・・・」
自室で夕日に照らされて、桜子はいつまでもそこに立ち尽くした
コメント
2件
内容パクった上に執拗に悪口まで書かれたんじゃ、春ウララさんもそりゃ黙ってないよ😓自業自得だね🥺
うわっ……第17話、めっちゃ重い展開ですね。あの法律事務所からの通知、読んでいてこっちまで息が止まりました。桜子が匿名掲示板に書いた悪口が、まさか百万円の賠償請求で返ってくるなんて……「匿名なら何を書いても許される」と思ってた気持ち、分からなくもないけど、現実はそう甘くないって突きつけられた感じです。伏線として、春ウララの小説をパクっても大した成果が出てない描写が効いてましたね。続きが気になります!