テラーノベル
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強盗は茶髪の男の人に殴りかかろうとした─。その瞬間。茶髪の男の人が強盗の拳を受け止め、背負い投げをした。そのまま無言でどすどすと殴っていく。強盗の顔から血が滲んできた。
「やめ、っ⋯ぐあっ、!」
やがて、強盗はぱたりと気を失った。気を失った強盗をもう1人の強盗が怯えた目をしてずるずると引きずっていく。周りに人はあまり居ない。まあ強盗と若い男の人が喧嘩していて片方から血が流れていたら周りに誰も居なくなるのも分かる。
「僕の言うこと聞かないからこうなるんだよー。」
血付いちゃった、最悪ーなんて零して何事も無かったかのようにその場を立ち去ろうとしている。
「ちょ、あの!」
たまらずアリアが声を掛けた。強盗の事ぶん殴ってそのままどっか行っちゃうなんて何者!?
「ん?僕ー?」
おっとりとした声で振り向く。心做しか右目がきらりと光ったような気がした。
「ごめぇん、取り敢えずこの気持ち悪い血流したいから水道のところ行ってもいいー?」
「あ、も、勿論!」
アリアは茶髪の男の人の血だらけの手を間近に見て、ぎょっとしてしまう。すると、今まで何処かに行っていたセオドアが近づいてきた。
「アリア。警察と話してきたんだ。あいつらは⋯おっと、初めまして。俺はセオドア・S・サファイア。」
セオドアはアリアに話しかけたが、茶髪の男の人に気付き、自分の名を名乗る。
「初めまして、セオドアくん!取り敢えず血がこびり付いちゃうと嫌だから歩きながら話そう?」
そう言って、茶髪の男の人は歩き始めた。アリアとセオドアもそれについて行く。アリアは、そういえばまだ自己紹介してなかったな、と思い、セオドアに続いて自己紹介をした。
「私はアリア・R・ルビィ。よろしくね。」
「アリアちゃん!僕はレオン・A・ダイア。よろしくね。」
水道に着くと、茶髪の男の人改めレオンは、「あーもー、気持ち悪い!」なんて言いながら血液を洗い流していく。鉄分のつんとした匂いが鼻腔をつく。水道の方を見ると、生々しい赤い血が水と一緒に流れていっているのが見え、咄嗟に目を逸らしてしまう。
「そういえば、セオドアくん、さっき警察さんと話してきたって言ってたよね。詳しく聞きたいなぁ!」
血液を洗い流したレオンは近くにあったペーパーで手を拭きながらそう問いかける。強盗達の事に興味があるようで、わくわくした目でセオドアの方を見ていた。
「嗚呼、さっきの強盗達はladroである可能性が高いそうだ。」
ladro ─。それはこの街で有名な強盗団だった。真っ黒な覆面と真っ黒な服装。それがladroの特徴だ。確か懸賞金があったような気がする⋯。
「セオの所からは何が盗まれたの?」
「tesoroがモチーフになった時計だ。100万円ほどのな。」
tesoroがモチーフの時計。Belloから盗まれたのもtesoroがモチーフになったブラウスだ。
「⋯ねぇ、宝石屋さんから盗まれた物は!?」
アリアが食い気味にそう聞く。すると、レオンが答えた。
「なんか⋯指輪?これもtesoroのやつらしいけど⋯たっっっかいやつ!」
皆、高いから盗んだと思っている様だ。でもきっと真実はそうじゃない。
「ねぇ、セオ、レオン。うちの店から盗まれたのもtesoroがモチーフのブラウスなの。」
セオドアがはっとしたような表情になる。レオンの頭上にははてなマークが浮かんでいる様だが。
「だからさ、きっとladroが狙ってるのはtesoroに関係のあるものなんじゃない?」
レオンが「あぁー、なるほど!」と声をあげる。すると、セオドアが徐ろに自身のスマートフォンを取り出し、弄り始めた。
「セオ、こんな時にMyTube!?」
MyTubeとは、知らない人は居ないほど大人気の動画配信アプリだ。セオドアや私もMyTubeでよく動画を見てるんだ。
「違う。ladroについて調べているんだ。」
デクレッシェンドのようにどんどん語尾が小さくなっていく。セオドアが集中する前の癖のようなものだ。セオドアは1度集中モードに入ってしまうとなかなかこっちの世界に帰ってこない。
「僕もladroについて知りたいなぁ〜」
レオンがふわふわとした声で話す。
「レオン、多分セオ今から集中モード入るからちょっと待つと思う⋯」
アリアは少し眉を下げてそう言う。レオンは「おっけ〜」と言って被害のあった宝石屋の方へと歩いていった。
***
「アリア。」
上から声が降ってきた。その声の主を知るべく上を仰ぎ見ると、セオドアが座っている私を見ていた。こっちの世界に帰ってきたようだ。時間は30分ほど経っていた。
「どお?なんか分かった?」
アリアが首を傾げるとセオドアは自慢げな表情になる。
「ああ。最高だよ。レオンはどこ行ったんだ?」
「そっちの宝石屋さんのところに行ったよ」
アリアが指を指すと、タイミング良くレオンが宝石屋から出てきた。
「あれ?セオドアくん調べ物はおしまい?」
レオンが小走りでこちらに近づいてくる。
「ああ。レオンも調査結果聞くか?」
「うん!聞きます!」
レオンがアリアの隣に腰掛ける。
「まず。やはりladroがこれまでに盗んできたものはtesoroに関係のある物のようだ。」
アリアは小さくガッツポーズを作る。私の予想正解ってことだ!
「それから、大体だがladroのアジトの場所も分かった。ladroのアジトはソリトゥーディネの方にあるそうだ。」
ソリトゥーディネ。それはここから少し北に進んだ方にある地名だ。
「んー、僕行ったことないや。アリアちゃんとセオドアくん、行ったことある?」
「んー、私は無いかな⋯」
「アリアと同じく。」
ここに居る皆がソリトゥーディネには行ったことが無いようだ。
「じゃあソリトゥーディネまで行こうよ!エマさんのブラウス取り返さなきゃ!」
アリアが2人に呼びかける。
「嗚呼⋯俺も行きたいがだいぶ遠いぞ?俺お前も車なんて運転できないじゃないか」
セオドアが冷静にそう言う。すると、レオンが小さく手を挙げた。
「僕、車運転できるよ?」
「ほんとに!?じゃあ行けるじゃん!セオ!レオン!行こうよ!!」
アリアは興奮気味に2人に言う。
「ああ、俺もladroが気になるしな。レオン、運転お願いしてもいいか?」
「もちろん!まかせてください!」
レオンがびしっと敬礼をする。
「じゃあ僕の車取りに行こー」
そう言ってアリアたち3人は歩き出した─。
コメント
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ごめん!忙しくてみるのが遅くなった、! 今回も面白かったぁぁ!!