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#普通
野々さくら
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ありあ
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銚子と多磨雄が首を傾げている頃。
田園調布にある哲哉の別宅では、まったく別の熱気が満ちていた。
広いリビングでは、皆が何やら慌ただしく動き回っている。
テーブルクロスを整える者、花を飾る者、最後の料理を運ぶ者。
それぞれが役割を持ち、ひとつのサプライズを成功させるために忙しく手を動かしていた。
そして、長いダイニングテーブルの上には、色鮮やかな料理が隙間なく並べられていく。
前菜から肉料理、魚料理、デザートまで、まるで一流レストランのビュッフェのような豪華さだった。
鳴子が全体を見渡しながら満足そうに頷く。
「よし♬こんな感じね♬」
「おいしそ〜♬」
思わず茜が声を弾ませる。
すると焔垂が腕を組みながら苦笑した。
「つまみ食いすんなよ」
「失礼ね!しないわよ!」
頬を膨らませる茜。
そのやり取りを眺めていた信愛が、ふと小さく呟いた。
「怪しいな」
「うん、茜は怪しい」
さくらまで追い打ちをかける。
「そんな事ないよね朝陽くん」
突然話を振られた朝陽は困ったように頭を掻いた。
「『無いです』とキッパリ言えない
所がなんともって感じですね」
「絹さぁ〜ん!朝陽くんがいじめてきま〜す」
茜は絹に助け舟を出す。
「そ、それズルいじゃないですか!卑怯ですよ!」
朝陽は両手をばたつかせながら抗議する。
しかし絹は口元に手を添えて楽しそうに笑うだけだった。
「ふふふ」
「も〜う!笑ってないで怒ってくださいよ〜」
微笑ましいやりとりに、部屋は笑い声に包まれる。
そんな中、鳴子は料理を運んできた高館ひよりへ目を向けた。
「それにしても、ひよりさん?お料理上手なんですね」
「ほんとですよね。惚れ惚れしちゃう」
小夜も感心しながら頷く。
ひよりは照れくさそうに笑った。
「あはは、ありがとうございます」
すると秋穂が興味津々に身を乗り出す。
「お料理教室とか開いてみたら?繁盛しそうじゃ無い?」
思わぬ提案に、ひよりは慌てて首を横に振った。
「そ、そんな・・私なんかが教室なんて」
「いや、そんな事ないわよ」
鳴子が優しく微笑む。
「そ、そうでしょうか?」
その様子を見ていた宗太郎が、自慢げな笑みを浮かべた。
「料理教室か〜、うん、いいんじゃないか?
ひよりの料理は世界一だからな!」
「もう、宗太郎ったら」
頬を赤らめるひより。
「いやぁ、いいわね。世界一だなんて」
鳴子は羨ましそうに肩をすくめた。
「旦那なんてすぐ食べて、すぐに
お酒飲んでさっさと寝ちゃうのよ?
『おいしかった』の一言くらいも言えないのよ」
「ウチもです」
小夜が深く頷く。
すると絹が微笑みながら朝陽へ視線を向けた。
「朝陽はちゃんと『おいしい』
って言ってくれるもんね〜♬」
「もう、やめてよ。みんなの前で」
耳まで赤くなった朝陽に、焔垂がニヤリと笑う。
「さすがはキャラモだな」
「だからその呼び方やめてくださいってば」
「キャラモって?」
首を傾げる絹へ、焔垂は真面目な顔で説明した。
「キャラ弁大好き子供。略してキャラモです」
「あ〜はっは、あ〜キャラ弁ね」
絹が笑うと、鳴子は興味を示した。
「え? 絹さんってキャラ弁
作ってるんですか?」
「まぁ、はい」
「私も作ってみようかしら」
鳴子が悪戯っぽく焔垂を見る。
「ね〜♬焔垂(笑)」
「そ、それだけは勘弁してくれ」
その一言に、信愛は思わず吹き出した。
「ふふふ」
穏やかな笑いが広がる中、信愛はひよりを見つめながら宗太郎に声をかける。
「なんかひよりさん、前よりだいぶ明るくなりましたね」
「ほんとそれ! 見違えたよね!」
さくらも嬉しそうに頷く。
「顔色も良くなったしな」
焔垂も笑顔を見せた。
宗太郎はひよりの肩にそっと手を置く。
「これも君ら怪異探求倶楽部と
白縫さんのお母さんのおかげだ
だから今回の件をひよりに話したら
ぜひ参加して恩返ししたいって言ってな」
宗太郎はひよりを見つめながら微笑む
「君らには救われた恩があるからな」
信愛は静かに問い掛ける。
「あれから何もありませんか?」
「ああ、平穏そのものって感じだよ」
宗太郎は穏やかな笑みを浮かべた。
「ひよりも有栖の件は自分の せいじゃない
って、ようやくわかってくれたし
俺たち夫婦は前に進めてる
これも君らが居てくれたからだよ」
その言葉に、部屋の空気が少しだけ温かくなる。
「本当にありがとう」
宗太郎は深々と頭を下げた。
「どういたしまして〜♬」
茜が明るく笑う。
しかし焔垂が冷静に突っ込む。
「いや、俺らは何もしてねーだろーが!
それは白縫さんとお母さんの台詞だろ」
「いちいちうるさいな」
茜の返しに、再び部屋いっぱいに笑い声が響いた。
コメント
1件
×××さん、第311話読みました! 今回はいつもと違って、みんなでサプライズ準備してる温かい雰囲気にほっこりしました🥀🤍 茜と朝陽のやり取りとか、絹さんの「ふふふ」がめっちゃ可愛いなって思って。 ひよりさんが「世界一の料理」って言われるの、なんかじんわり来ましたね…前より明るくなってて、本当に良かった。 キャラモ呼び、私も好きです(笑) 温かい一章、ありがとうございました🌙