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#普通
野々さくら
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ありあ
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コメント
1件
いやもう、読んでてじんわり来ちゃいました…。千歳が「お母さんにちゃんとお別れできた」って言葉、すごく重くて温かかったです。信愛の優しさがちゃんと輪になって返ってきてる感じがして、涙腺緩みました。壁をすり抜ける描写も、霊としての存在が自然に物語に溶け込んでて素敵。次、両親と対面するシーンが待ち遠しいです…!
皆が笑いながら料理の仕上げをしていると、不意に玄関の扉が開いた。
姿を現したのは、この別宅の主である小諸哲哉だった。
整然と並べられた料理を見渡し、哲哉は満足そうに微笑む。
「おぉ〜♬料理もう出来上がってるね〜♬」
「あ、小諸さん」
信愛が軽く会釈をする。
そこへ、美沙が庭の方から戻ってきた。
「中庭の式場のセッティングもバッチリよ」
続けて安心したように笑う。
「後はご両親が来るのを待つだけね」
信愛は豪華な屋敷を見回しながら申し訳なさそうに目を伏せた。
「こんな豪邸使わせてもらって
何から何まですいません」
しかし哲哉は首を横に振る。
「なぁに、気にしなくていいよ」
その声はどこまでも穏やかだった。
「これ僕らからのは感謝の気持ちなんだ」
その一言に、信愛は胸の奥が少し熱くなる。
その時だった。
廊下の向こうから、元気いっぱいの声が響く。
「信愛♬信愛♬」
聞き覚えのある声に、信愛は目を見開いた。
「あ、佳苗!? それに
千歳まで来てくれたんだ」
姿を現したのは、佐藤佳苗と春日井千歳だった。
千歳は当然と言わんばかりに微笑む。
「当たり前でしょ」
そして少し表情を和らげながら続けた。
「私にも信愛のお母さんには恩があるから」
「恩?」
信愛は不思議そうに首を傾げる。
「覚えてない?」
千歳はゆっくりと、あの日の出来事を思い返した。
「私の事がバレて、信愛がお母さんに怒られた時
信愛のお母さんは、すでに亡くなってる私の
『お母さんに会って一言謝りたい』
ってワガママを聞き入れてくれたでしょ?」
その言葉で、信愛の記憶が鮮明によみがえる。
「ああ、そうだったね」
千歳は静かに微笑んだ。
「あのおかげで私は、お母さんに
私の想いを言葉にして伝えられたの
あの時、ちゃんとお別れができた
だから私は、何の未練もなく天国へ行けた
その恩は計り知れない」
信愛は胸が締めつけられるような想いで千歳を見つめる。
「千歳・・・」
すると、今度は佳苗が勢いよく手を挙げた。
「私も〜♬私も恩あるよ〜♬」
「佳苗・・・」
信愛が優しく名前を呼ぶ。
周囲で話を聞いていた鳴子が、小さく信愛へ問いかけた。
「信愛ちゃん?もしかして、この子達が例の?」
信愛は静かに頷く。
「はい。佳苗と千歳です」
秋穂は二人を見つめながら、小さく呟いた。
「この子たちが霊ね・・・」
鳴子は驚きを隠せない様子だった。
「にわかに信じがたいわ」
信愛は二人へ向き直る。
「でも急にどうしたの?」
佳苗は無邪気な笑顔で答えた。
「私たちにも何かお手伝いさせて
なんでもいいから」
千歳も静かに頷く。
「私も佳苗と同じ。何か役に立ちたい」
その申し出に、信愛は自然と笑みを浮かべた。
「ありがとう、二人とも」
少し考えると、信愛は窓の外へ視線を向ける。
「なら外の様子見てきてくれる?
そろそろ来る頃だと思うから」
佳苗は満面の笑みで敬礼する。
「わかった♬任せて♬」
次の瞬間、佳苗と千歳の身体は音もなく壁へ近づき、そのまま何の抵抗もなく壁の中へ溶け込むようにすり抜けていった。
その光景に、部屋中の空気が一瞬止まる。
「す、すり抜けた!?」
鳴子が思わず声を上げる。
小夜も目を丸くした。
「本当に霊なのね・・・」
秋穂は感心したように呟く。
「おじろくおばさの時もそうだったけど
こんなにハッキリと目視できるの凄いわね」
しばらくして、壁の向こうから再び佳苗の元気な声が聞こえてきた。
「信愛!♬信愛♬
すぐそこまで来てるよ」
「本当!?」
信愛が身を乗り出す。
続いて千歳も姿を現し、穏やかな笑みを浮かべた。
「うん! 二人で手を繋いでこっちに向かって来てる」
「よし・・・いよいよだな」
焔垂が静かに息を吐く。
信愛は嬉しそうに頷いた。
「うん♬」
朝陽は皆を見渡し、小さく気持ちを引き締める。
「よし! なら手筈通りに始めてましょうか!」