テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
夜が嫌いだ。暗いし、怖いし、何があるのか予想ができない。
………
ため息をついてカーテンを閉める。
予想ができないものは怖い。わからないことは恐怖に直結する。未知は怖い。自分が何もできないように感じるからだ。
…兄のことも、良くわからない。
最近はよく出かけている。それも夜に。
なんで夜に出るんだろう…暗くて怖いだけなのに。
屋内はいい。明るいし、自分の好きなものに囲まれることができる。不安もない。
静かな音楽は好きだ。気分が落ち着くし、リラックスできる。
ずっとこれでいいのに。なんてね……
昔から暗闇が苦手だった。自分以外誰も助けてくれないような、孤独の感覚。呑み込まれるような、そんな実感。
……自分から怖いこと考えるのやめよ。
なんだって踏み込みすぎるのはよくない。
のめり込みすぎるのも、過信しすぎるのも、よくない。画面越しくらいがちょうどいい。
夜景は好きだ。夜の景色はただただ美しい。部屋の窓から見る景色が一番いい。
あ、あのマンション。今日は明かりのつき方が違うな。
それくらいでいい。それくらいがいい。
車が多いな…あ。あっちには新しい建物もあるや。
窓越しの夜は綺麗だ。窓という画面越しの世界は、どこか非現実的だ。
想像をする。この夜に、自由に飛び立つ自分の姿を。
宵闇を歩き、1人で跳ね回る。私。
…夜景っていいな。
夜は今日も更けていく。
夜更かしもほどほどにね。
夜は等しく更けていく。それぞれの夜として。貴方だけの夜として。
32
10
#オリジナル
えれめんたる
107
17,261
コメント
5件
兄弟で思考が対になってるの面白いね! 画面越しで十分な気持ち、めっちゃ分かるし 自分は弟くんタイプかなぁ
「夜が怖いのに夜景は好き」――その感覚、すごくわかります。窓越しなら綺麗に見えるのに、飛び込むのは怖い。画面の向こうみたいな距離感が切なかったです。兄の夜の外出も気になるし…。最後の「貴方だけの夜として」が優しくて、そっと背中を押された気持ちになりました。続きも楽しみにしてます📖