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「 あ~…、 」
撮影が始まって1週間。
この1週間、ラウールに振り回されまくってついに 風邪を引いた。
「 マネージャー、本当にごめん…、まじごめん… すみません… 」
「 大丈夫ですよ!
今日は学校での撮影ですし、深澤さんがいないシーンを重点的に撮影していくそうなので!
ゆっくり休んでくれとのことです! 」
マネージャーに休みの電話をすると、そう言ってくれた。
「 本当にありがと…、早く熱下げるわ…。 」
「 前回の映画撮影から間もなくドラマ撮影始まっちゃったので、体調崩すのも無理ないですよ! ゆっくり休んでください! 」
礼をして、電話を切る。
とにかく今日はたくさん寝て、一刻も早く熱を下げよう。
少しうたた寝をしていると、スマホがなった。
「 ん、…もしもし…? 」
電話をとると、相手は目黒だった。
「 深澤さん…、大丈夫ですか…! 」
「 ん…あぁ、蓮か。
おぅ、大丈夫だけど… 」
「本当に大丈夫なんですか、?
熱あるってマネージャーさんから聞いたんですけど…、 」
「 あ~、…あいつ…わざわざ伝えなくていいのに…、
大丈夫だよ。そんな長引く熱でも無さそうだし、薬も飲んだから。 」
そう言うと、電話越しに溜息が聞こえた。
「 …よかった、 」
俺は、つい嬉しくなってしまい、蓮をからかうことにした。
「 なに、心配してくれてたの? 」
「 はい…、は~… 」
「 ふ~ん、…溜息つくくらい心配してくれてたんだ。
優しいねぇ…笑 」
俺は少し煽るような口調で言うと
蓮は大きな声で言った。
「 当たり前ですよ…、34歳の熱なんか、20代よりも、ウイルス性の可能性高いんですから…もしかしてって思いますよ…!」
俺がからかったはずなのに、…
そんなことを真剣に言われて、20代とは違うということを改めて突きつけられた。
そして、俺が傷ついた。
因果応報とはこういう事だろうか。
「 ぁ、…あぁ、そうだよな…心配かけてごめんな。 」
「 いえ。
今日早く上がれるかもしれないので、仕事終わったらお家に行きますね。
スポドリとか、簡単にできるレトルトのものとか持っていきます。 」
「 あぁ、悪いな。
本当ありがとう、頼んだわ。 」
そう言って電話を切った。
改めてあいつの性格の良さに感動しつつ、眠りについた。
ー 14:30 ー
家のチャイムが鳴った。
「 ん、…はぁぃ… 」
モニターを見る。
ラウールが立っていた。
「 っ、なんでラウール、!? 」
通話ボタンを押して、話しかけた。
「 ラウール、なんで来てんだよ…!?
撮影じゃねぇの!?? 」
「 あ、深澤さ~ん!
俺、今日は出番少なくて俺のシーンが、先に終わったんで、目黒さんの代わりにお見舞い来ました! 」
無邪気な笑顔でパンパンの買い物袋を見せつけてきた。
たしかに、俺がいないということはラウールの撮れるシーンも限られてくる。
逆に、サブカップルの2人をメインに撮っているからそりゃあ早く終わらないだろう。
ここまで来させておいて、追い返すのも可哀想なのでとりあえず家にあげることにした。
「 すみませ~ん、お邪魔します! 」
「 あぁ、…移ったらあれだし、あんま長居するなよ…。 」
「 は~い! 」
絶対聞いてない。
部屋の置物に興味津々で頭に入っていないだろう。
そう思いつつ、ラウールを眺めていると突然キッチンに向かい、買い物袋から食材を取り出し始めた。
「 っ、この食いもん…どうした、!? 」
「 あ、買ってきました!
多分ずっと寝ててなにも食べてないだろうな~と思って!
薬飲むにも空きっ腹に直は流石にやばいですから! 」
「 そんなの、別にいいのに…。 」
「 今日、なんにも食べてないでしょ。 」
「 ~、… 」
図星をつかれすぎて言葉が出ない。
「 …黙って寝ててください。起こすんで。 」
「 …はぃ、… 」
言われるがまま寝室に向かった。
ベッドに入り、状況を整理する。
「 …ラウールの飯….. 」
「 っ、ラウールがうちにいる…!? 」
付き合ってもないのに、ただの友達なのに
23歳を家にあげてしまっていいのだろうか…!?
「 いゃ、…ただの友達だし…、
いやでも、今の時代メディアの載せ方で、俺たちの言い分なんか聞いてもらえないし…、」
頭をフル回転させた。
次世代の売れっ子俳優を家にあげて看病させてるなんて、大丈夫なのか!?
いや、大丈夫じゃない。
絶対良くない、こんなの。
ラウールにはほんとに悪いけど飯を断ろう。
俺は寝室のドアを開けた。
「 ぁぁ、ラウールっ、飯…やっぱり、! 」
開けた瞬間、食を唆る匂いが鼻を突き抜けた。
「 ぁ、ちょうどできましたよ。 」
エプロンをつけたラウールは、
彼氏感満載だった。
「 ぁ、あぁ…ありがと、…んじゃ、…もう…」
「 俺、昼食べてないんで一緒に頂きますね。 」
「 ぇ…仕事、大丈夫なのか? 」
「 今日はもうOFFなんですよ~。タイミングいい事に。笑 」
「 ぁ、そうなの… 」
キッチンを覗くと、確実にお粥ではない何かがあった。
「 …それなに? 」
「 ハンバーグです。 チーズ入ってますよ~。 」
頭の上にハテナが浮かんだ。
「 …病人にハンバーグ作るやつがいるか? 」
「 別に胃が悪いわけじゃないんだからお粥である必要ないでしょ。
美味いもん食って寝るのが1番ですよ~。 」
「 …まぁ、…たしかに… 」
謎の持論に言いくるめられてしまった。
その後、俺は着席させられ、準備は全てラウールがやってくれた。
「 …いただきます、 」
「 いただきま~す! 」
ハンバーグを割ると、肉汁が溢れ出してきた。
空腹だった俺は、そのビジュアルの良さと匂いにつられた。
急いで口に運ぶと、
濃厚なチーズと、重すぎないソースがマッチして今まで食べてきた中で、1番美味かった。
「 …うまぁ、…! 」
「 …んふふ、おかわりあるんで、たくさん食べてください。笑 」
あっという間に食べ終わってしまった。
「 ハンバーグいっぱい作ったのに、もうあと2つしか残ってないです。笑
タッパーに詰めときますね。 」
「 あぁ…ありがと、… 」
ぶつくさ言って、病人のくせに腹がはち切れるほど食べてしまった。
顔がない。
「 なんか、思ったより元気そうで安心しました。笑
“ラウール、一緒に寝て~“とか言うくらいダウンしてると思ったんですけどね~。」
「 馬鹿。誰がそんなになんだよ。 」
「 …言い返す元気もありそうですし。笑 」
優しい笑顔を向けてくるラウール。
「 …お前のおかげだよ。 」
「 …! 」
「 ラウールが来てくんなかったら、…死んでたと思う…。 」
「 …迷惑がられてるかと思って、不安だったので…めっちゃ嬉しいです。」
ラウールは安堵したような笑みを見せた。
大人びてて、余裕があるラウールでも
不安に思うんだ。
俺なんかで不安になってくれるんだって
少し安心してしまう自分がいた。
「 …ラウール、ありがとうな。 」
ラウールの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でてやった。
俺はいつもみたいに
「 ちょっと、やめてくださいよ! 」
とか言うのかと思ったのに、
あいつは、俺の手に頭を押し付けて
嬉しそうな顔をした。
「 …ん、… 」
逆に俺が恥ずかしくなってしまった。
「 っ、じゃ、じゃあ…移っても大変だから、…な? 」
「 …はい。わかってますよ。笑
帰りますね。体冷やさないように暖かくして寝るんですよ?
それから、しんどいからって薬を過剰に飲まないこと。あと… 」
「 あぁ、もう…わかったから、
俺そんな子どもじゃねぇし、安心して帰れよ…。 」
「 …はい。笑
じゃあ、また明日。 」
「 …ん、またな。
今日はありがと、気をつけて帰れよ。」
ラウールを見送ったあと、部屋に戻る。
スマホには通知が溜まっていた。
あいつからだ。
「 ふっか、そろそろ会いに来いよ。 」
「 会えるだろ。」
「 自分の立場わかってるよな? 」
「 …はぁ、 」
先程までの安心感が全てなくなった。
ラウールのことで頭がいっぱいで、こいつの存在を忘れていた。
俺の同期で
俺を買った
渡辺 翔太
ー 6年前 ー
「 …お前はすげぇよな。 」
「 なにがだよ。ふっかもドラマ増えてきてんだろ? 」
「 …まぁ、そうだけど、脇役ばっかだし…
翔太みたいに主演とか務めてみたいよ…。」
同期で売れっ子俳優の渡辺翔太
主演を何本も務めあげた名俳優だ。
彼の両親は、歴史に名を残すような大物俳優と、伝説のアイドル。
いわゆる、芸能一家だった。
それに加え、彼の演技力、バラエティ力が抜群で、各方面から引っ張りだこだ。
「 …俺、今主演のオファーが来てんだけど、…仕事の兼ね合いで厳しそうなんだよ。
お前が、もしやり遂げられるって言うなら推薦しようと思うけど… 」
「 っ、え!? まじで!? 」
「 うん。 」
こいつはビジュアルも、性格もいいのか!
そう感動した。
「 ぜひ、推薦してほしい…! 」
「 ん、いいけど…1個条件があるんだ。 」
「 ぁ、あぁ…俺にできることならなんでも…!」
「 俺に買われてくれ。 」
「 …は? 」
「 んく“っ、ぉ“、…ぁ、 」
「 は~っ、…は…、ふっか、喉絞めて。 」
「 ん“、ぉえ“っ…ぁ“… 」
あれから、翔太に推薦してもらって主演を務めたドラマで、俺は名が売れた。
あれがきっかけで、様々なバラエティにも呼んでもらい、朝の情報番組のレギュラーになることもできた。
それと同時に、翔太から買われた俺は
定期的にあいつのものを咥えた。
「 ぁ“、あぁ“っ…お“、ぇ… 」
「 ふっか…、口の中、出すぞ、」
「 はっ“、…ん“~っ、、! 」
俺が拒んでも、あいつは口の中で出す。
「 っ、はぁ…..ふっか、飲めよ。 」
「 ぁ…、ん“… 」
言われるがまま、喉越しの悪いそれを飲み込む。
すると翔太は満足気な顔をして、仕事に戻っていく。
俺の尊厳を踏みにじられて、屈辱的だった。
でも、あいつのおかげで売れたのは事実。
その関係を解消することもできなかった。
ーーーーーーーーーーー
「 …、そういえば、もう2ヶ月も会ってないのか… 」
運の良いことに、映画撮影、ドラマ撮影が重なり 回避できていた。
今回もドラマ撮影があると伝えればいいのだが、
今回のドラマの監督と翔太は仲が良く、翔太の父とも繋がりがある。
これを断って監督に変なことを吹き込まれたら、俺の俳優人生が危うい。
「 … 」
“ わかってる。今から向かう。 “
そう返信して、
準備をした。
「 …俺、本当最低…、 」
コメント
1件
えー…まさかの展開すぎて動揺してます(笑)。ラウールのハンバーグ看病、あの「病人にハンバーグ」理論には笑ったけど、ちゃんと元気にしてくれるし優しさにじんわり。頭撫でたときに押し付けてきた仕草、あれは反則ですよ…。でもそこからの渡辺さん。過去が一気に色を変えて、胸がぎゅっとなりました。あの同期の関係が、ふっかさんをどこに連れて行くのか…続きが気になりすぎます。